これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」

日曜日を映画コラムニストの日にするために観たような映画。
それは言い過ぎだな(笑)。
昨日はほぼ一日家にいたので、久しぶりにAmazonプライムで鑑賞。

Amazonプライムに入会した時はなんてお得なサービスかと思ったが、
使っていたのは最初のうちでここ最近はほとんど使っていない。
サブスクリプションのいい餌食になってしまった。
子供たちが密かに使っているので、損はしていないと思うが・・・。

それはさておき本作品。
2年前に上映された映画でキネマ旬報洋画ベストテンの1位にも輝いている。
ようやく観る機会を得た。

昨年末に観た「家族を想うとき」と同じイギリスの巨匠ケン・ローチ監督。
舞台も同じイギリスのニューカッスルだ。
監督はこの街に恨みでもあるのかな(笑)。

「家族を想うとき」も切なく苦しい先品だったが本作も同様。
むしろこちらの方が深刻な問題を抱えているのかもしれない。
日本国内でも生き辛さを感じている人が多いだろうが、
(僕はそうは感じてないけど・・・)
この2本の作品を観るとイギリスの方がより生き辛いのかもしれない。

その複雑な社会制度、貧困、失業率など普段ニュースとして入らない様々な問題がここには描かれる。
それは社会を痛烈に批判しているのではない。
主人公ダニエル・ブレイクの生き様を通して、時に感情的に、時に淡々と、
そしてどんよりとした天候と共に日常を描いているのだ。

観る者のほとんどはダニエル・ブレイクの行動にやきもきしながらも共感するだろう。
それは彼が軽度な犯罪を犯した時の拍手喝采のように・・・。

観終わった後も清々しい気分になるわけではない。
むしろ気持ちは重くなる。
しかし、それを感じることも僕ら大人の責任。
日々の在り方方を含め言い聞かせなければならない。
そんなことを感じた作品だった。

本作はカンヌ映画祭パルムドール受賞作。
つい先日観た「パラサイト半地下の家族」も昨年観た「万引き家族」もそう。
パルムドール受賞作って共通点があるな…と思ったのは僕だけではないはず。

この類の作品が評価されるのかな。
とどうでもいい感想を・・・。
ぜひ、Amazonプライムで観てもらいたい。
(宣伝になってしまったか・・・笑)

映画「グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」

達者という表現が正しいかは分からない。
しかし、僕の中では上手いのではなく達者。
それは本作の主役を演じる小池栄子さん。
相方の大泉洋さんも同じ。

以前から大泉洋さんのいかにもアドリブが効いてそうな演技は流石だと思っていたが、
この作品でいえば小池栄子がより上回っていたといえるだろう。
今どきの女優であんなハチャメチャな演技をできる人は少ないはず。

汚れ役もあんな馬鹿力を発揮できるのも、
一方で品のある奥様を魅せつけるのも彼女ならではの役どころ。
あんな役を他に誰が演じられるのかは思いつかない。
バカさ加減でいえばお笑い系をもってこれなくはないが、到底無理だろう。
そんな意味では本作は彼女のためにあるといえる。

なんとなくシアワセを感じて終わる映画だし、全編飽きることなく楽しめる映画。
そこについては何の文句もない。
終戦後、そんな時代があったんだとも思わせてくれる。

しかし、冷静に振り返ってみれば、大した内容ではない。
太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」を戯曲化し出来上がったようだが、
よくよく見てみれば、女性にだらしのない編集長が
自分の都合で女性たちとスムーズに別れていくという随分と自分勝手な話。

まあ、この程度ではネタバレにはならないだろう。
しかし、残念ながらそのだらしのない話に観る者は吸い込まれてしまうからやっかいだ。
この映画で何か学ぼうとか自分を奮い立たせようとか思うのであれば観ない方がいい。
単純に楽しむことしかできない。

逆に気分が晴れない時とか、もっと明るくなりたい時にはうってつけだろう。
大体、この映画に登場する人物はロクな人間がいない。
役名はともかく松重豊にしても濱田岳しても木村多江にしてもロクなもんじゃない。
長渕剛が歌いそうなものだ。

でも、なんだろう。
誰一人として憎むことができない。
まあまあ、いいよ、いいよと許してしまう。
世の中、それで済んでいけば、みんなハッピーなのかもしれない。
おおらかにならなきゃダメなわけね。

そんなことを感じた映画だった。
そして、持ち込むべきはウイスキーとピーナッツ。
僕もいいウイスキーを買って持っていくかな(笑)。

50代からの人生戦略

この年齢になるまで行き当たりばったりで過ごしてきた。
それだと適当すぎるか(笑)。
目の前のことを懸命にこなす生き方をしてきた。
この表現の方が正しいかもしれない。

現在53歳。
間もなく54歳で、とうに人生の折り返しは過ぎている。
そろそろこの先のことを考えなきゃならない。

ここ最近、特にそんなことを思うようになり、本書を手に取った。
著者は哲学的な難解な書籍を多数出しているので、
(ほとんど読んでないけど)
本書も相当難しい内容かと思っていた。

ところが拍子抜けするほど分かりやすい。
飛び抜けた事を求めているのではなく、ごくごく当たり前の人生戦略。
期待値が高すぎたのかな。
ただきっとこれから描くシアワセとはきっとそういうことなんだろう。

本書は6章で構成され、残り時間、働き方、職場の人間関係、
お金、家族関係、自分磨きに分かれている。
50代とはいえ、立場は人それぞれ。
感銘を受ける面とそうでない面と温度差は出てくるのも当然。

僕が参考になったのは、残り時間と自分磨き。
この章は何らかの形で活かしていきたい。

これから何を学ぶか。
著者は50代は地元の歴史や文化だという。
確かにそれは感じるところ。
今まではそれをないがしろしていたわけではないが、
優先順位として上に上がってくることはなかった。

今後、生活に余裕が出てくるとすれば、
(それは自分で作らねば・・・)
そんな時間の使い方もしたい。
そして、終わりから逆算して何ができるのかも考えねばならない。

終わりをいつに設定するのか。
80歳なのか、75歳なのか、
いくつかのパターンも想定しなきゃいけないのかな・・・。

そして、高校の教科書を読んでみるのもいいかもしれない。
幸い息子が今年卒業するので、
要らなくなった教科書を譲り受ければ元手は掛からない(笑)。
数学はチンプンカンプンでストレスが溜まるだろうから、
倫理の教科書をじっくりと読んでみる。
それもいいだろう。

「情報」を沢山得ることが教養ではないことも
この歳になってようやく理解できるレベルはいかがなものと思うが、
今からでも遅くはないだろう。
いや、遅いか・・・。

本書のタイトルには”いまある武器をどう生かすか”と書いてあるが、
自分の武器って一体何だろう。
改めて振り返ると何もないような気がして・・・。

あるとすればこの10年で書き上げた2500本近いブログくらいかな。
そんなんは武器にはならんか・・・笑。

これからの人生戦略を自分の中でも描かなきゃいけないね。

時間資本主義の時代

盟友櫻山さんが以前紹介していて気になり手に取った1冊。
1日にスマホを150回開き、延べの使用時間が3時間となる昨今でいえば、
(多分、今の若者はもっと長い時間使用するだろう)
すきま時間の使い方は時代が求めることであり、
それを有効的に活用することがビジネスにおいてもプライベートにおいても重要。
いつの間にかそれが当たり前の時代になってきたのだ。

確かに僕の今の生活をみても、エレベーターを待つ時間、電車を待つ時間など
ほんのわずかな時間でさえ、スマホを開いたりする。
余裕がないだけともいえるが、ちょっとしたすき間でさえ無駄な時間を作りたくない表れ。

それがいいどうかは別問題だが、ざっぱに言えばそれが分かりやすい「すきま時間」。
いかに「効率化」することで得られる時間。

その一方で重要なのが「かたまり時間」。
どうその時間を作り、自分にとっての「快適化」に向かうことができるのか。
それが「創造時間価値」となり、何事にも代えがたい価値となる。
それをうまく使える人がより成功に近づくわけだ。

1日24時間は誰しも与えられた平等なもの。
子供でも大人でも、大金持ちでもそうでなくても与えられる時間は一緒。
当たり前なことなんだけど、その価値に気づいていない人が案外多いのかもしれない。

僕なんて普段ボーっとしている割には貧乏性で、
(あっ、これも創造的な価値・・・笑)
一分一秒が勿体なかったりする。

しかし、「すきま時間」「かたまり時間」を意識しているかといえばそうではない。
どうでもいいところで無駄な時間を使うくせに、コンビニで並ぶのはせっかちになったりする。
それを「すきま時間」と受け止めればいいだけだけど・・・。

いずれにせよ快適な時間価値の提供が、今後、ビジネスになっていく時代。
時間に大金を注ぎ込む人が増えてくるのだろう。

僕らのようなリアル中心でビジネスをする者はもっと時間の価値を考えなきゃいけない。
わざわざ出向く価値、そこで生まれる価値。
「かたまり時間」を頂く以上は、「創造時間価値」を提供しなきゃいけない。

自分自身の行動、そして自分たちの事業ドメイン、それを改めて考えるいい機会になった。
ありがとうございました。

映画「ジョジョ・ラビット」

本作はアカデミー賞の有力候補だった。
結果的には「パラサイト半地下の家族」だったけど。
これはこれで驚いた。

この作品は雑誌で読んだ評論ではすでに2020年のナンバー1作品に挙げられていた。
ちょっと早すぎるだろと思ったが、
評論家の方はそれだけ素晴らしい作品と捉えたのだろう。

確かに今年の映画の中では注目される作品に違いない。
社会派ドラマとも反戦映画ともコメディとも受け止めることができる。
社会派ドラマや反戦映画にありがちな暗くて重い要素が全くない。
戦争の悲惨なシーンもあまりそれを感じさせない。
戦争が及ぼす緊張感、切迫感もない。
映し出される景色や建物もほのぼのとしている。

逆にそのコントラストが高い評価に繋がっているともいえるのではないだろうか。
映画の描き方もどんどん変化してきているのだ。

僕の中では本作は青春映画。
有識者からは「お前はバカか!」と言われるかもしれないが、
僕の中のジャンルはそう。
くすぐったさを覚える青春映画なのだ。

なぜそう思ったかは、10歳の主役ジョジョ役を演じる
ローマン・グリフィン・デイビスをなくしては語れない。
いやあ~、彼は天才ですね。

その愛くるしい演技。おびえる表情、はにかむ表情、
甘える表情、そしてダンス。
どこをとっても抜群。
脇を固める役者陣もよかったが、彼のパフォーマンスが映画の価値を大きく高めた。

そんなふうに思う。
将来大物になっていくだろうが、チヤホヤされ天狗になり変な遊びを覚え、
堕落していかないことを祈るばかり。
周りの大人はしっかり育てるように(笑)。

そして、ジョジョの友達役ヨーキーも最高。
戦争に駆り出されても何の悲壮感も感じさせない。
誤射して家をぶち壊しても、あっけらかんとしている。
映画の中でいい空気を作っている。
子供を使って感動させるなんてズルいと思うが、
お涙頂戴映画ではないので許しておこう。

今年は結構なハイペースで映画を観ているが、例年に比べハイレベルではないか。
2020年がスタートし、たかだか1ヶ月半だが、
これまで観た6本はどの作品も素晴らしい。
外れがない。

今年は期待できる一年になるのか、
それとも前半飛ばし過ぎて後半失速するのか。
それは僕自身の鑑賞本数も含めて・・・。

映画って、やっぱりいいですね。
とありきたりな終わり方。
すみません。

妻のトリセツ

こんな本を紹介すると「奥さんがどんな対応するの?」なんて思う方がいるだろう。
それは心配無用。
カミさんは僕のブログに全く興味を示さないので読むことはない。
本人が直接知ることはない。

カミさんの友達が読んでいて、
たまにブログのことを伝えることがあるのでそれは心配。
そんな友達に言っておこう。
”余計なことはしなくてよろしい”

元々、本書を読むつもりはなかった。
昨年、懇意にする議員さんの囲む会に出席。
著者の黒川さんが基調講演を行われ、それが面白かったので手に取った。

カミさんを上手くコントロールしようなんていう邪な考えはない。
決してそんな危ういことは考えていない。
そのためkindleで購入したものの、
空いた時間に少しずつしか読まなかったので、結構な時間が掛かった。
鼻息荒く読んだわけではないことを理解頂きたい(笑)。

しかし、読みながら
「なるほどね・・・」
「あの時はそんな感じだったんだ・・・」
と行動を思い出しながら納得する点は多かった。

それはカミさんだけにいえるのではなく、女性脳がもたらすこと。
自分の言動を疑っていたので、そうじゃないことを確認出来て一安心。
そんな場じゃない時も多いだろうけど。

本書が勧めるとおりの行動をすれば関係性はよくなるだろうが、そんな簡単ではない。
相手は気にしないと言われても、何か怪しいと疑われる。
その段階でこのブログの存在を知られてしまったら・・・。

なんともお粗末な結果になりそうだ。
ここまで書いてきたが取り下げた方がいいのかもね(笑)。
バレないような言動を心掛けたい。

いずれにせよ、僕は一人では生きられない。
同居30年以上の離婚のケースはこの30年で4倍になっているという。
捨てられる夫が多いという証。
気をつけなければ・・・。

しかし、こんなこともいえるらしい。
妻がガミガミ言うのは、夫と長く暮らしたいからだと。
それだけ心配しているからだと。
ガミガミいわれることを喜ばないと思わなきゃいけない。

僕の知り合いには酔って記憶を失くし訳の分からない行動で、
奥さんに激怒される方がいるが、それはどうなんだろうか。
相手のことを心配してガミガミ言うのとは違うんじゃないのかな。

女性の特性を知ることは大切。
勉強になりました。

ちなみに今日は結婚記念日。
平穏無事な1年にしたいと思います。
よろしくお願いします。

映画「フォードvsフェラーリ」

いやあ~、シビレた。
痺れた映画だった。

僕はさほどカーレースには興味はない。
山本左近氏は応援しているが、F1もル・マン24もほとんど見たことがない。
過酷なレースであることは知っているが、その程度のこと。

それでも大いに興奮する。
手に汗握るシーンが繰り返される。
車好きならより楽しめるはず。

こんな表現をするとアクション性の高い映画に思われるが、そればかりではない。
男同士の友情と意地を賭けた戦いであり、
企業のプライド、個人の名誉欲を描いた映画でもある。

本作は1966年のル・マン24時間耐久レースを描いた実話。
その背景にあるフォードとフェラーリの攻防も面白い。
そんな事実があったとはこの映画を観るまで知らなかった。
短絡的に互いの技術力を競っていると思っていた。
無知は罪ですね(笑)。

褒め称える友人が多く、それにつられて観たわけだが、これは大正解。
間もなく公開も終わりそうなので、男同士の熱いドラマに興味のある人は、お早めに。

1960年代の色使いも巧みだし、ハラハラドキドキするレース展開も見ものだし、
実在する企業トップの人物像も上手く表現されている。
そして何よりいいいのがダブル主演のクリスチャン・ベールとマット・ディモン。
特にクリスチャン・ベールの役作りは尊敬を超える。

映画の最後にモデルとなったケン・マイルズとキャロル・シェルビーの写真が紹介されるが、
ケン・マイルズはクリスチャン・ベールにそっくり。
クリスチャン・ベールが完璧な役作りをしたということ。
「バイス」でもそのこだわりに感動したが、本作でも凄まじいものを感じた。
とてもバットマンと同人物とは思えない。

映画の中の登場人物もそうだが、とことんこだわる男はいつの時代もカッコいい。
こんな生き様を見せつけられると一体自分は何をやっているんだ…
と余計なオーバーラップをしてしまう。

そして、ところどろこ笑わせるところ、泣かせるところがあるのもいい。
勝負にこだわるマット・ディモン扮するシェルビーは意外にこっすいしね。
まあ、それも含め熱き戦いなんだろう。

そして、エンディングで示されたル・マンでのフォードの成績。
これは一体、どんなメッセージなんだろうか?
賞賛とも皮肉とも受け止められる。
アメリカ全体に発したメッセージとも受け止められる。
一番何が大切なのかと・・・。

本作は153分と長い作品だが、時間の長さを感じることはなかった。
いやいや、面白かった。

大人のカタチを語ろう。

先月のニュースには驚かされた。
伊集院静氏がくも膜下出血で倒れ、緊急搬送されたというニュース。
手術は成功したとのことだが、現状はどうなんだろうか。

新たな情報って入ってきていないよね?
日経新聞に連載されている「ミチクサ先生」はどこまでストックがあるのかな?
もう全部書き上げているのだろうか。
本人のことが心配だが、こちらも心配。

この連載は読んでいないけどね。
以前書いていた「琥珀の夢」も単行本が発売されてから読んだだけだし。
あの連載を毎日読み続けるのも結構大変だと思うのは僕だけだろうか。
時間の使い方がうまい人はあっという間に片付けちゃうんだろうね。
そういえば今月は「私の履歴書」も読んでいない。
企業経営者の場合は欠かさず読むのにね(笑)。

と本書とは関係ないことばかり書いてしまった。

伊集院氏のエッセイを読むのは久しぶり。
結構楽しみにしていたのだが、これは明らかに僕がターゲットではない。
読みながら「これはもっと若いヤツが読むべきだな・・・」という気持ちになってきた。

後で知ったことだが、
(もっと早く知るべきだろう。それは・・・)
本書は週刊プレイボーイの連載を加筆修正、再構成したもの。
当然、読者はもっと若手だ。

いや、待てよ、実際はそうじゃないかも。
雑誌HotDogは僕が大学生の頃、よこしまな考えで読んでいた雑誌。
当然、ターゲットは20代男子だった。
しかし、今、HotDogの読者ターゲットは40代男性だという。
若い連中が雑誌を読まなくなって、読者ターゲットはそのまま年齢を重ねているのかもしれない。
あと20年するとHotDogの読者は60代ということ?
それはそれで問題かな。
いやいやもっと違う問題ですね。

またまた、本書とは関係ないことばかり書いてしまった。
話を戻せば、本書の読者は僕よりもずっと若い世代。
そんな意味では今の20代、30代が読むと大いに刺激を受けるだろう。
刺激を受けるべきだ。

僕も未成熟ではあるが、多くの経験をすべきだ。
地獄を見たり、絶望を覗いたりするのは極端な話だが、若いうちにやっておくべきことは多い。
それを伊集院氏は当たり前のように語っている。
その中身についてはいつも言われていることに近い。
ギャンブルに興味がない僕はそこにはついていけないが・・・。

本書では珍しく神の存在にも触れている。
過去、あまりその分野には触れてこなかったと思うので、そんな意味では新鮮。
やはり歳を重ねることも影響しているのだろうか・・・。

そんな時に流れてきた伊集院氏のニュース。
偶然ではあるけれど・・・。
早く元気になってもらいたい。

そして、若者たちにゲキを飛ばしてもらいたい。
ガキのままじゃダメだと・・・。

映画「ラストレター」

もうこの年齢になると恋愛映画は響かないと思っていた。
10代、20代の頃はトキメイテいた映画も今やすっかり・・・。
だから、本作に対しては僕自身の自信がなかった。
この映画を感じ取ることができるかどうかと・・・。

それは杞憂に終わった。
上映中の2時間、僕は喜んだり悲しんだり涙したりと気持ちが揺り動かされていた。
そして、気づいた。
僕はまだ恋愛映画を観る感性を持ち合わせていると。

しかし、その感性はすべてに通用するわけもなく、
ごく限られた作品にあることも同時に気づいた。
この先も滅多に出会うことはないと・・・。
そう考えると本作を観れたことは幸運。
松たか子も広瀬すずも話題の森七菜もトキメキの存在だった。

ネタバレしない程度でいえば、手紙を通じて過去と現在がシンクロし、
その対象となる人物もシンクロし、巧みにストーリーは展開される。
観る者はドキドキしながらその過去と現在を追っかける。

広瀬すずと森七菜の可愛らしさと松たか子の安心感にも心が躍るから不思議だ。
この作品を機に森七菜はブレイクするだろう。
それは24年前に公開された「Love Letter」で輝きを放った酒井美紀のように。
映画はかなり忘れたが、彼女の印象は今でも残っていて、個人的には中山美穂よりも強かった。
そこにもトキメイた。

「Love Letter」で主演した中山美穂やトヨエツの本作でのやつれ具合もよかった。
狙っていたとしか思えないけど(笑)。

しばらく余韻を感じながらも本作を振り返ってみるとツッコミどころは多い。
福山は女々し過ぎるとか、美咲(広瀬すずの母親)はなぜダメ男に惹かれたのか等。
それを上回る魅力があるからいいんだけど・・・。

その中で僕は娘役である広瀬すずの発した言葉に涙した。
それはドラマ「ハゲタカ第5話」のリー会長の言葉と同じ。
感動した。
この両方を分かる方は相当な方ですね(笑)。
人には捨てられない何かがあるのだ。

そして、最後に思ったこと。
監督岩井俊二も福山雅治もズルい。
絶対、美味しいところを持っていく。
世の女性はこの作家と役者にフラフラにさせられる。

なんということか・・・。
岩井俊二なんてトヨエツと同じで大して仕事していないじゃないか。

すいません。
言い過ぎでした。
モテない男のやっかみですね。

中年男子が一人で鑑賞するのはいかがかと思うが、
たまにはこの類の映画を観て若かりし頃を思い出すのもいい。
いつまでも大切にしていたい感性ですね。

映画「リチャード・ジュエル」

この90歳のジジイは今更、世の中に何を問いたいのか。
その飽くなき活力や精力はどこから生まれているのか。
最近の作品を観るとそんなことを感じてしまう。

特にここ数年はメッセージ性が強い。
実話を基に描く作品が多いのも最近の傾向。
意外と気づかないと思うけど。

昨年、僕がベストワンに選んだ「運び屋」もそうだし、
「15時17分、パリ行き」「ハドソン川の奇跡」もそう。
真実以上に真実を描くことのできるレアな監督だ。

現在は俳優が監督業も行い、成功した例だが、
30年後にはチャールズ・チャップリンと肩を並べる存在になっているだろう。
伝説的人物になっているのではないか。
違いは笑いに変えるか、真実を伝えるか。

その違い。
いずれアメリカ映画を代表する監督になるのか、その真逆。
反体制の作品も見受けられるしね(笑)。

以上、映評ブログでした。

といいたいが、そんなわけにはいかない。
ここまでのブログでは一切本作には触れていない。
どれだけ余計な文字数を稼ぐというのか・・・。

映画の背景は1996年に開催されたアトランタオリンピック。
僕は当たり前のように名大社で働いていて、
本作に登場するマイケル・ジョンソンは記憶にあるが、この事件は記憶にない。
日本ではそれほど話題にならなかったのだろうか。

そこをえぐり出すクリントイーストウッド監督の力はさすが。
大きな事件ではないが、見過ごしてはならない。
事件を救い上げるのも監督の特徴かも・・・。

そこに人間の真の姿が描かれている。
それは主役のリチャードジュエルであり、母親のボビであり、
弁護士のワトソンであり、FBIのトムである。
その真の姿が泣かせるし、人として忘れてはならない姿。

いや、違う、そう、
忘れるべき人の姿も描かれている。
それが大概は最も権力を持つ人間なので、始末にを得ない。

それはそれとして、とにかく響く。
監督はこれまで観る者を泣かせる行為はもたらさなかったが、
本作はところどころそれを見せる。
かなりズルいといえよう。

ただ僕らはそのズルさを受け入れるべきだし、自分の姿を考えるべき。
それは主役のリチャード・ジュエルのように・・・。

またもや素晴らしい映画を見せてもらった。