これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

あの会社はこうして潰れた

この類の書籍は定期的に読むようにしている。
定期購読している「日経トップリーダー」も”破綻の真相”を真っ先に読む。
自社が危ないとか、他人の失敗を喜ぶのが理由ではない。
他社の失敗を反面教師として捉えることが目的。
自分に驕ることなく、常に客観的な視点を持つことが必要。
(驕るような成功体験もないけど・・・笑)。

本書では誰でも知っている大手企業から
業界内では一定のポジションを築きながら消えていった企業が並ぶ。
倒産までの事例がずらりと紹介されている。

自分のレベルは棚に上げて言えるのは経営者の能力不足がその原因。
戦略ミス、無駄な投資、事業に対する驕り、財テク失敗、構造不況の影響・・・。
失敗の事例は様々だが、すべて経営者の判断がそうさせているのは間違いない。

中には時代の変化に対応しきれず淘汰されている企業もあるが、
世の中には上手く事業変換している企業もあるので、それは言い訳に過ぎない。
今は無責任に読んでいる立場だが、いつ何時、そちら側に立つことはあり得る話。
そうならないためにも失敗の理由を学ぶ必要がある。

僕は会社の若手にはどんどん失敗しろ!と言っている。
それは自己の成長に繋げるために通るべき道のり。
若手が失敗したところで会社の経営が揺らぐことはない。
だから許される。

しかし、僕の失敗は別だ。
酔っ払って人に迷惑を掛けた程度ならいいが、
(いや、それも状況によってはダメ・・・苦笑)
僕の失敗は致命的なケースも考えられる。

自分のエゴが、自分の過信が、
自分の強欲さがそうさせることはいつだって可能性はある。
それは少しでもなくすために失敗事例も学ばねばならない。

と同時に成長戦略も描かねばならない。
そう考えると経営者は重要なポジション。

今頃、気づいてどうする(笑)。

本書は失敗事例が簡潔にまとめられている。
読みやすいのはいいが、
もう少し深堀してもらえるとより緊張感が増すのではないだろうか。

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

静かに流れていく映画。
ほとんどが寒々しいどんよりとした風景。
主人公のリーは不愛想で喧嘩っ早い。

映画全体を包む悲しげな雰囲気が何か過去を予感させる。
それがひとつの死を機会に紐解かれ、人間模様が表層化していく。
現在と過去が入り混じるシーンの連続。
リーが背負ってきた過去が次第に明らかになる。
なぜリーが喧嘩っ早くて、人に対して一定の距離を持つのか・・・。
段々とリーに対して感情移入していく。

妙に真面目な表現をしてしまったが、そんな映画。

アカデミー賞に6部門ノミネートされたとか、
マット・デイモンがプロデューサーだとか話題性はあるが、
名古屋では地味に公開されている。
テーマが重いせいか、派手な盛り上がりはみえない。
それでいいと思う。

観る観客を選ぶ映画だし、感動どころも人によってマチマチ。
派手な演出があるわけでもなく、悲しいドラマだが泣かせるシーンがあるわけでもない。
静かに静かに映画は流れていく。
そして、静かに映画は終わる。

ラストシーンは「えっ?」と思う人もいるかもしれない。
しかし、これが正しい終わり方できっと日常なんてこんなもんだ。

洋画の場合、超大作に振り回されることが多いが、僕はこんな地味な映画の方が好きだ。
何も考えずエンターテイメント性だけを追求するのもいいが、
映画が終わった後、しみじみ考えるのも悪くない。
父の死を思い出してしまった。

海外の俳優については全然詳しくない。
「あ~、どっかで見たことあるぞ・・・」という程度で名前と顔は一致しない。
本作もそんな感じだったが、一人だけ見覚えある俳優が出演していた。
端役での登場だったが、80年代活躍していたマシュー・ブロデリック。
当時は主役を張る人気俳優だったが、この作品ではちょい役。
随分と丸いオジサンになってしまった。

今、ギラギラした中年役で映画界を引っ張る俳優と比べ、残念だが見劣りする。
歳の取り方は難しい。
変わらないのもダメだが、変わりすぎるのもダメ。
映画の良し悪しとは関係ないがそんなことも感じてしまった。

まあ、いろんな楽しみ方ができるのも映画。
さて、次は何を観るかな・・・。

ステキな土曜の朝

なにも予定のない土曜日の朝が好きだ。

大概は何らかの予定が入っていて自由にならない時が多いが、
何もない時は嬉しい。
昨日はそんな土曜日だった。

6時半から10kmランニングし、シャワーを浴び朝食をいただく。
その後はフリー。
縛られることはない。
爽やかで癒し系の音楽をYouTubeで選び、Bluetoothでスピーカーに繋げ聴く。

新聞を読んだ後は雑誌を気分のままにパラパラとめくる。
手元にあっても週末じゃないと読めないことが多い。

最近、楽天マガジンの購読も始めたので、テキトーに雑誌を選びiPadで読む。
パラパラめくるのではなく、シュッシュッとページを送る。
普段読むことのないナンパな週刊誌も嫁さん気づかれないように読んでみる。
肝心な写真がカットされているのは残念(笑)。

リビングのソファーに座り、そんな時間を過ごすのはとても贅沢で優雅。
朝は窓から心地いい風が入ってくるので気持ちもいい。
誰にも文句を言われないし、時間を気にする必要もない。

毎月送られてくる「VISA」。
沢木耕太郎氏のコーナーもいいが、
今回、良かったのは作曲家の佐藤直紀氏のインタビュー。

初めてお顔を拝見。
自分が抱いていたイメージとはまるで違う。
もっと厳しい顔つきの作曲家と思っていた。

有名なのは「龍馬伝」とか「海賊とよばれた男」だと思うが、
僕にとって一番印象的なのはドラマ「ハゲタカ」のテーマ。
「タ~♪タ~♪タ~♪」というメインテーマで思い出したファンも多いと思う。
これじゃ、わからんか・・・(笑)。
あれもいい曲だった。

一人悦に入りながらそんな時間を過ごす。
自己満足極まりないが幸せな時間。
時々眠くなるもよかったり・・・。

しかし、この自分だけの贅沢な時間はある瞬間に途切れることもある。
嫁さんがおもむろに掃除機を取り出し、グオーンという響きと共に掃除を始める。
ソファーにのん気に座っている姿はただの暇人としか思えないのだろう。
「掃除の邪魔!」と一言言われ、僕はいそいそと自分の書斎へ逃げていく。

まあまあ、長い時間は許されないですね(笑)。
それも含め、何も予定のない土曜の朝は自分にとってステキな時間。

来週は何か予定はあったかな・・・。

映画館が便利な時代

月2本、映画館で映画を観ることをノルマとしている。
大した意味はないが、自分の中のルーティンのひとつ。
数年前まで映画館よりはDVDで観る方が多かったが、
最近はほとんどDVDを観ることはない。

通い始めるとやはり映画館がいい。
そのほとんどが名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマ、
もしくは昨年オープンしたミッドランドスクエアシネマ2。
たまに伏見のミリオン座だったり、近所の中川コロナだったり。

ミッドランドスクエアシネマを運営する中日本興業は
学生時代にバイトしていたこともあり愛着もある。
お世話になった方も活躍されている。
名古屋駅前なのでレイトショーでも都合がいい。
そんなこともありお世話になっている。

今年から「MM CINEMA CLUB」に入会した。
年間費200円支払えばメンバーになり様々な特典が得られる。
通常1800円が1500円、レイトショー1300円が1100円で鑑賞できる。
1回で元が取れるという計算。

セコい僕にとしては助かる。
ポイントがたまれば無料鑑賞もできる。
それだけでも十分なのだが、さらに便利なのはネットでのチケット購入。
今や当たり前のサービスかもしれないが、
これまで僕は他の映画館を含め利用したことがなかった。

カウンターに並びその場で席を選ぶ。
混んでる時は待ち時間も長い。
先日、初めて利用してみたがとっても便利。
作品、時間が決まっていれば、焦ることなく自分の好みの席が予約できる。
あとは自動発券機からチケットを出力するだけ。

余談だが、僕のバイト時代はこんなことは考えられかった。
指定席すらなく人気の映画は早く並ぶことが求められていた。
僕の仕事はチケットのもぎり。
販売口で購入したチケットを入り口で半券をちぎる係。
今から考えれば不効率極まりない仕事だが、その当時は当たり前だった。
仕事も映画が始まる前と終了時は忙しかったが、それ以外はメチャクチャ暇だった。

入り口先にある小さな席に立ち、ひたすらチケットを切るだけ。
映画が始まってしまえばやることがないので、席に座りずっと本を読んでいた。
そこにいるのが重要な仕事だった。
たまに変なお客に絡まれ殴られたこともあったが、実に牧歌的な仕事。
恐ろしく時給は安かったが映画がタダで観れたので元は取れた。
それが映画館ごとにあったので、シネコン全盛時代では人の無駄使い。

まあ、そんなことはいい。
気軽に映画館に足を運び、ストレスを感じることなく楽しむことができる。
なんていい時代なんだ。

すっかり中日本興業の回し者のようなブログになったが(笑)、
もっと映画館に足を運ぶ人が増えればいい。
DVDも悪くないが、やっぱり映画館で映画を観るのがいい。

映画「美しい星」

この映画はなんと表現したらいいだろう。
大真面目なふざけた映画。
コメディのような社会派ドラマ。
観る人によって解釈は異なるだろうが、
僕は何とも言えない沈んだ気持ちと清々しさが入り混じった映画だった。

原作は三島由紀夫。
作品名すら知らなかった。

映画を観る限り、原作はあくまでも原作でストーリーは全然違うといっていい。
その当時は地球温暖化が騒がれていなければ、
ストリートミュージシャンもいなかった。
リリーフランキー扮する天気予報士も
今ほどクローズアップされた職業ではなかったはず。
だから、三島由紀夫の原作と言われても???と思う人は多いんじゃないだろうか。

しかし、三島由紀夫が描きたかった世界を吉田監督は描いているような気もする。
あくまでもそんな気がするだけで全く確信はない。
それはまるで亀梨クンが自分が水星人であることに疑問を持つ点に似ている。
なんのこっちゃ(笑)。

金星人の橋本愛は美しい。
ほとんど笑顔を見せず、暗い表情からは余計に美しさが目立つ。
美しい笑顔が似合う女優さんは沢山いると思うが、
沈んだ表情だけで美しさを出す女優さんって少ないだろう。
改めて感心。

本作は奇想天外すぎるので次にどんな展開になるのかさっぱり読めない。
唯一読めるのは家族の中で唯一人間である蛍ちゃん演じるお母さんの騙される世界だけ。
ごく普通の人間である僕は後の展開は全然読めなかった。
それでもあのラストは感動したし、一見バラバラに思える家族の絆を感じることができた。

観る者を選ぶ作品であると思う。
リリーフランキーのポーズだけでも観る価値はあるのではないかとも思う。
そんな映画。

そして、思うのは、今は評価は低くても、
20年後に傑作として取り上げられるのではないかということ。
まるでエド・ウッドのように・・・。
それは、ちょっと言い過ぎか。
評価が低いわけでもないし・・・(笑)。

2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方

最近、僕の周りの友人、知人が本をよく書いている。
それだけ能力の高い仲間が身近にいる証だろう。
僕もいろんな方から「山田さんも本出したら?」
なんて冗談とも本気とも思えない話があったりするが、
残念ながらそんな力量はない。
訳の分からないブログくらいしか書くことはできないし、
出版社からのオファーがあるわけでもない。

出版された話を聞くと羨ましい反面、相当なプレッシャー何だろうなとも思う。
無責任に誰にも干渉されず、ブログを書いている方が気持ちは楽。
とてつもなく面倒な時やネタ不足で泥酔したい時もあるけど・・・。

いやいや、今回はそんなことを言いたいわけではない。

今回紹介する本がこれ。

一緒に研修をやったり、勉強会をやったりしている働きごこち研究所の藤野さんの著書。
採用コンサルやコンテンツ作成もやられているので、
近しい存在ではあるが、僕と違ってとても頭がいい。
僕よりもひと回り下だが、モノの見方から発想力まで勉強になることは多い。
勝てるとしたら酒の強さくらい(笑)。
ここ数年はAIの方向にどっぷりと浸かり、ついには本まで出してしまった。

本書は一言でいえば、とても藤野さんらしい。
彼を知る人はきっと同じことを思うだろうが、
知らない人からすれば、そんなこと言われても困るよ!と言い返される(笑)。
一般的に出版されているAIの書籍は難解な内容が多く、
また、働くことにおいて不安を煽るものが多い。

それとは全く逆。
優しく分かりやすいし、何より人が人であることに希望が持てる。
AIを生きることや働くことを楽しくする存在として扱う。
もちろんそのために人がやらねばならないことはあるのだが、
よく言われるようにAIによって仕事がなくなってしまうわけではない。
どの立ち位置に身を置くべきかを本書は分かりやすく示している。

タテ軸を非構造的と構造的に分け、
ヨコ軸を論理的、分析的、統計的と感性的、身体的、感覚的に分ける。
この4軸でAIが得意とするもの、人が得意とするものが明確になる。
論理的、分析的、統計的と構造的のフレームは明らかにAIに代替される。
これは誰にでも分かること。
現段階で既に代替が起きている面も多い。
だとすれば、人がやるべきことは・・・。

詳細は本書を読んでもらえればと思うが、僕のように単純で直感的な人間は安心してしまう(笑)。
そのためにやらなきゃいけないことは多いけど。
本書は僕らのような世代の変わり目は必読になるだろうが、
学生や若手ビジネスマンにも読んでもらいたい。

自分たちの求められる価値が明確になるはず。
そのための勉強はしなきゃいけないし、
論理的にも非構造的にも動けるような基本は押さえなければならない。

そして、おじさんは「りんな」で時々遊びながら、感性を磨くとしよう(笑)

夢のあきらめ方

正式タイトルは「クルンボルツに学ぶ 夢のあきらめ方」。
4月に参加した海老原嗣生氏のセミナーで紹介されていた著書。
キャリアカウンセラーの一人としては読んでおかねばならない。
若者を支援する経営者としてはボキャブラリーも増やさなければならない。

自分で発する言葉には限界がある。
チープさも漂う。
だとすれば、人から学ぶのが一番効果的。
そんなわけで勉強させてもらった一冊。

書籍の内容は前回のブログで書いたこととほぼ同じ。
そのまま感想を書くと同じネタを2度書くことなる。
それは避けたい。

と考えた時に僕はこの書籍を誰に読ませたいか。
それは二つ。
一つは今、就職活動真っ最中の学生くん。
それも大手の選考に漏れてしまったちょっと落ちこんだ学生。
もう一つは大学2年生の娘。
多分、彷徨っている途中だと思うので、本書を読んでラクになって欲しいと思う。

大手に落ちた就活生はこれから選ぶ先行きに相当不安を抱えているだろう。
そんな時こそ、計画的偶発性理論。
その文字だけだと難しく感じるが、偶然の出会いを大事にしろ!
偶然からきっと自分にとっていいキャリアが生まれる!というもの。
その姿勢があれば、これからの道は確実に明るくなる。
落ち込み過ぎず頑張ってもらいたい。
27日に開催されるディスコさんとの共催イベントにも来て欲しい(笑)。

そして、娘に対して。
正直、会話をしていないので実態は不明。
あくまでも想像の話。
多分、今、自分の夢、将来やりたいことを持っていないと思う。
それがダメなことと感じているんじゃないかと思う。
そんな大学生は僕らが思っている以上に多いはず。
だから、娘に限らず、夢のない自分を否定する若者に読んで欲しい。

夢は叶えるものでもなく、見つけるものでもなく、見つかるもの。
毎日懸命に動いていればきっと何かが生まれてくる。
だから、好奇心や持続性も大事なんだ。

それは僕のキャリアを見てもらえれば、納得しやすい。
偶然が重なって今や会社のトップである。
そんなもんだ(笑)。

書籍の感想をほとんどブッ飛ばしているような感じもするが、
気持ちも楽になるし、勇気も湧く。

おススメです。

映画「光」

映画コラムニストとして、どう表現していいか、久々に迷う作品。
まあ、自称映画コラムニストだからどんな映評でも責任は取らないんだけれど・・・(笑)。

ポスターには「珠玉のラブストーリー」と書かれているが、
本当にそうなんだろうか。
ラブストーリーに近いけど、僕はそこまで辿り着いていないとも思う。
しかし、それは僕の感性がハンパなく鈍いだけで、
これだけ純愛を描いた作品はないのかもしれない。

その純愛はどこで見出せばいいのか。
夕日を眺めながら発作的に起こるキスシーンなのか、
部屋の窓から射す光と焼ける音なのか、
発する重い言葉なのか、想像力を要する映画。

河瀬監督は僕らに人間としての感受性がどの程度なのか
試しているのではないだろうか。
必要以上に展開される主役のドアップ映像、
それに逆らうような生々しい夕日や砂丘。
実験的要素が強すぎると感じたのは僕だけだろうか。

この映画は最後部の席で観るべき。
最前列だと間違いなく酔ってしまうと思う。
そんな意図はないだろうが、映像とストーリーで頭をクラクラさせる。

それでも映画は美しく純粋で、真っすぐ生きる大切さを教えてくれる。
不安を抱えることが恐怖ではなく希望であること。
堕ちていく先にも確かな未来があること。
映画はそれを悟っているように感じた。
本当かどうかは分からない。

ただ、観客は永瀬正敏くん扮するカメラマンと水崎綾女さん扮する音声ガイドにダブらせてしまう。
この2人の演技は素晴らしい。
同級生の永瀬くんについては今さら言うことはない。
「ションベン・ライダー」なんて懐かしいだけ(笑)。

水崎綾女さんはこの作品で初めて知ったが、
こんな魅力的な女優がまだいるんだと感心してしまった。
あれだけ続くアップの映像もビビることなく、堂々と肌の隅々まで披露していた。
きっとこれから大物になっていく。
もしくはこのままかな・・・(笑)。

こんなふうに映画の感想を書くと褒めているのか、
けなしているのかさっぱり分からないと思う。
基本的には褒めている。

僕は日本映画特有の重さや暗さが好きだ。
TVで観ると眠くなってしまうが、
劇場で観るとヒシヒシと伝わる緊張感が鑑賞後の心地よい疲れを誘う。

スケールの大きさもなければ派手さもないが、
大きなスクリーンでこの類の映画を観ることに意味がある。
どんな意味なんだ?と聞かれると答えには窮してしまうが・・・。

時間のある方は観てください(笑)。

「総理」を読む

僕はこれまで政治にはほとんど関心がなかった。
厳密にいえば今もあまりない。
しかし、そんな呑気なことを言ってられない立場だし、
最近はいろんな場で政治家の方とご一緒するケースも多い。
今週も勉強会があったし・・・。

岐阜に戻って挨拶をさせてもらう機会があると、
なんて政治家はエラそうなんだと思ってしまう。
名古屋で接するとなんて低姿勢でフレンドリーなんだと思ってしまう。

誤解ないように言っておきます。
ほんのたまたまです。
岐阜を否定し、名古屋を肯定しているわけではありません。
たまたま見た光景に過ぎません(苦笑)。
しかし、少なからず政治家にそんな印象を持っている方も多いだろう。

特に世間一般でいえば、政治家と接する機会なんてほとんどないはず。
マスコミを通じてその行動や発言を知るくらい。
国会議員、それも内閣となれば一層のこと。

過去の僕であれば、本書に手を伸ばすことはなかった。
あくまでも新聞、TVで得られる情報で十分と思っていただろう。
しかし、それではやはり知識としては足りないし、
どんな考え方でどんな生活を過ごしているかもある程度は知っておかねばならない。

本書では安倍首相を中心に麻生副総理らと著者の付き合いが赤裸々につづられている。
ちょっと大袈裟?。
素直な感想はTV局のジャーナリストがプライベートを含め、
政治家とこんな深い付き合いをするのかということ。
もっと仕事と割り切り客観的な立場で情報を入手していると思っていたが、
どっぷり浸かっている。

その分、ここに書かれていることは真実だろうが、
私情も交じってるのではと反対に疑いたくなる。
しかし、本書はそれでいいのだろう。
沢木耕太郎氏が取材対象者と並走するのと一緒で
私的なノンフィクションがあってもいいのだと思う。
感じ取るのは読者次第。

これを読むと確実に安倍寄りになってしまうと思うが・・・。
それも計算しているのかな?(笑)。

僕らが思っている以上に政治家は忙しく、また頭を悩ませている。
くだらないことばかり考え、エラそうな態度ばかりの政治家もいるとは思うが、
日本のあるべき姿を真剣に考えている。

それを感じることができただけでも良かった。
あとの感想は特にないということで・・・。
むむむ・・・。

映画「追憶」

それほど多くの作品を観ているわけではないが、
降籏作品は寒空や吹雪、荒れた海がよく似合う。
それが時代をグッと引き戻させ昭和を感じさせる。

岡田准一扮する主人公の封印された子供時代は今から25年前、1992年。
バブルが崩壊した頃だが、映像はどう見ても昭和。
舞台が富山ということもあるが昭和50年代と僕なんかは錯覚してしまう。
これは時代錯誤を否定しているのではなく、映像美のなせる業。
名匠木村大作カメラマンはいつもそんな肌に突き刺さるような絵を撮っている。
(あくまでも知ったかぶりです・・・笑)

だからこそ描かれる人間関係の重さや暗い過去がより圧し掛かってくるともいえる。
同じ事件でも東京のカフェだったら、こんな緊張感は演出できなかったに違いない。
映画を観ていない人は何のことか分からないと思うが、
観てもらえば僕が言わんとしていることは理解できるはず(笑)。

こういった映画は案外先行きが予測できるものだが、本作は予測通りにはいかなかった。
それがむしろ良かったし、暗く重たい映画だが、
誰もが幸せに終えることができたのは(観客も)この作品の優れた点だろう。
やっぱり人生はハッピーエンドで終えたいもの。
全ては上手くいかないけど・・・。

この作品は99分と短め。
それ自体は悪くないが、描くべく点が描き切れていないように感じた。
最後の方はあっさりした展開になってしまったのは僕としてはちょっと残念。
もう少し深くえぐっても良かったのだと思う。
これはあくまでも個人的な感想。

しかし、大切な日本映画のジャンルであるのは間違いない。
定期的にこの類の作品が作られ続けることが日本映画の価値が永続するのにも繋がる。
そして、人は常に幸せを追い求め生きていかねばならない。
親は子を想い、子は親を想い、生きなければならない。
そんなことを感じてしまった。

岡田准一はすっかり日本映画の代表的な俳優になってしまったけど、
高倉健のようになっていくのかな(笑)。
次は「関ケ原」か。
きっとこれも観てしまうのだろうな。