これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「人について考える」の記事一覧:

ゴンちゃん、お疲れさまでした!

馴れ馴れしく「ちゃん付け」で呼んでいるが、当然知り合いではない。そんな言い方が相応しいと思って・・・。
先週、Jリーガー中山雅史選手の引退発表があった。
厳密には引退ではなく、現役を退く会見のようだが、僕にとても感慨深い会見だった。中山は僕より一つ年下の45歳。僕とカズとは同級生(ここから呼び捨てスミマセン)。同世代で活躍するプレーヤーで、この世代の誇りでもある。
最近の見方は違うが、30歳前後の頃、カズと中山では圧倒的に中山の方が好きだった。過剰なパフォーマンスは多少鼻についたが(笑)、サービス精神が旺盛なのも良かったし、何より常に全力でひたむきなプレースタイルが好きだった。サッカーに向き合う姿勢も・・・。
フランスW杯最終予選の途中まで、中山は代表には呼ばれていなかった。僕の記憶が正しければ、第6戦目のUAEとの試合ではTV番組のレポーターとして、スタジアムの雰囲気を伝えていた。本来であれば、選ばれない自分に悔しさが募り、そんな気分ではないはずだ。それでも、明るく代表を応援していた。
その後、代表に復帰しNumberの表紙にあるような、ジョホールバルでのゴールを生むわけだが、この時の背番号は「32番」。オマケのような感じだった。
naka1
この号のNumberは売り切れ続出し、手に入れるのが相当困難だったような気がする。アマゾンもなかったし・・・。
Number次いでに、中山が表紙を飾ったバックナンバーを探してみた。手元にあるのは計3冊。澄ました格好でポーズをとる表紙は一つもない。どれも躍動的なシーンばかりだ。
naka2
naka3
「まだ未練たらたらです。」と会見の場で言っていた言葉も彼らしい素直な表現だと思う。プロ野球選手が現役を引退する際、悔いは全くありませんという発言が目立つが、僕はそんなに簡単なのかなとも思ってしまう(本当なんだろうけど・・・)。
だからこそ、その言葉は正直な気持ちを表す清々しい発言に思える。
ここ最近は活躍するシーンは見れなかったが、これまで多くの勇気をもらってきた。本当に素晴らしいプレーヤーだった。
きっと今後はキャラクターを生かし、メディアを騒がせることにはなるだろうが、ひとまず、ゴンちゃん、お疲れさまでした。
当面ゆっくり休んでください。
そして、そして、ありがとうございました。

「良い習慣は才能を超える」を聴く

一昨日は日本経済新聞主催のセミナーに参加。
会場は金山にある日本特殊陶業市民会館。つい先日までは中京大学文化市民会館と呼ばれていた。名古屋在住の方には名古屋市民会館という方が馴染み深いと思うが、今はネーミングライツを取得した日本特殊陶業の冠である。
今回は1500名集客できる大きな会場。この規模のセミナーに参加するのは実に久しぶり。
受付を済ませて会場内に入ろうとすると、声を掛けられた。以前、名大社で働いていた後輩の会社がこのセミナーを仕切っているという。「な~んだ、教えてくれよ」と会話しながら指定された座席に着く。
講演前は日経新聞のPRが延々と続く。今回の講演は日経で知ったので、参加者は購読者がほとんどではないかと思うが、著名人の日経の読み方を学ばせてもらった。
関係ない話が随分と続いたが、今回の目的は東レ経営研究所の佐々木常夫氏の講演を聴くこと。名前とその活躍ぶりは以前から存じ上げていたが、情けない話、著書は一度も触れたことがなかった。
講演終了後の感想は、これは著書を読まないといけないなという至って単純な感想。佐々木氏の歩んできた人生からその価値観、仕事に対しての考え方、姿勢まで、学ぶ点は数えきれないほど。
講演内容も素晴らしかったが、その中味から垣間見れる佐々木氏の人物像を、全てを達観した人間性の持ち主だと感じてしまった。人に悟られたくない面を飄々と語り、その苦労話をいとも簡単に当たり前のように話してしまう。
人間は自分の苦労をよりオーバーに話したい生き物だと思うが、そのかけらが全くない。まさに達観しているのだ。
今回、学んだ肝心な仕事術については、著書を読んでからまとめてみたい。それが礼儀だと感じてしまって・・・。
自分自身がいかに毎日何も考えずに仕事をしていたか痛感してしまった。
少しだけ印象に残ったことを披露すると、40代はしなやかに生きろということ。シンプルな言葉だが、その半生を伺えば、その言葉は深い。
そして、日経新聞でまず最初に読むのは「私の履歴書」。但し、経営者が登場する時は、自慢話ばかりでつまらないということ。最近では桂三枝や君原健二が良かったと・・・。それは同感!
いい話を聞いて満足するだけでは何の意味もないという佐々木氏の話の通り、僕も満足してブログに書いてるだけでは何の意味もない。
う~ん、困ったと思いながら(笑)、一つ二つはマネさせてもらおう。

特集「今、入るべき会社」を読んで

親ダイヤ
今週の週刊ダイヤモンドは就職特集「今、入るべき会社」。来週の東洋経済は就職関連の別冊が発行される。昨日の新聞やTVも就職活動解禁のニュースを大々的に取り上げていた。まさに就職戦線一色である。
今回の特集でも分かるように今や就職活動は学生本人の問題ではなく、親にとっても切り離せない問題のようだ。それについて否定するつもりはないが、あまりにも過激な取り上げ方には違和感を感じることはある。
本特集も、共感する面と違和感を持つ面の両面で読み終えた。
各業界の動向や今後の予測はさすがビジネス専門誌という切り口で、就職に関わる者だけでなく、単純にビジネスマンとして参考になる点は多かった。
一方でこれはどうか?と首をかしげる記事があったのも事実。
年収が高い企業が勝ち組企業という錯覚を与えているような気もする(実際はそんな断定はしていないが・・・)し、地方企業に対して、ここに行けば一生安泰という表現も誤解を招きかねない。
入社3年以内の離職率のデータを示した「つらい業界ランキング」なんて、トップの業界はかなりイメージダウンだろう。ウソの数字ではないとはいえ、その数字だけが一人歩きしてしまうと、その業界内で社員満足度が高く懸命に努力している優良企業も同様に見られてしまう。そのダメージは大きいと想像する。
ただ親子で業界全体を把握するにはいい機会だとも思うし、お互いに気づきを与える場としてはこんな特集は効果的だ。
でも、親としてこれだけはやってほしくない。
「名古屋の一生安泰な会社は○○と○○と書いてあるから、ここに行きなさい!」というような安易なアドバイス。
それこそ「就活親子の大誤解」の大誤解になってしまうから・・・。

ビジネスプランコンテストにて

昨日は勤労感謝の日。
しかし、勤労を感謝されることもなければ、ゆっくりすることもできない慌ただしい一日だった。午後の出来事は僕にとって重要で忘れることのできない時間。これに関してはもう少し落ち着いた時期にじっくりと話したいと思う。
ビジコン2
午前は以前から依頼を受けていた「NAGOYAビジネスプランコンテスト」での講演。
大学生と若手経営者が企画するイベントで、学生を中心にビジネスプランを考えプレゼンをし競い合うというもの。2泊3日の合宿で、いくつかのチームに分かれ、マーケティング、財務・会計、プレゼンスキルなどを学んだ後、事業計画書・収支計画書を作成し発表する内容。
今どきの若者はこんなことにチャレンジするんだと感心しながらも、僕がそのイベントに先駆けて行われる基調講演の講師。参加者は自らの意志で少なくないお金を払い、合宿に臨むのだから意欲的なメンバーが多い。
講演をやらせてもらうとわかるのだが、舞台から会場を見渡した瞬間に参加者の姿勢を感じ取ることができる。ここで何かを学ぼうとするのか、しないのかを・・・。
今回は前者だったため、僕も話す内容には熱が入ってしまい、終盤は時間調整しなければならない状態だった。
ビジコン3
これまで講演と言えば、就職の関することがほとんどであるが、昨日は全くの別物。僕が入社して社長に就任するまでの軌跡を、その時々に頂いた言葉を引用しながら進める形式。
ある出来事が重なったため、その話の流れに自分自身が感傷的になってしまう愚かさはあったものの、あっという間に時間は経過してしまった。(自分でしゃべってるんだから当たり前か・・・)
僕がスタッフ含め参加者に遠まわしに言いたかったのは、僕のような大して能力のない者でも、続ければ何とかなるぞ!でも、それは自分の力だけではないぞ!ということ。単純明快、超シンプルな話。
講演終了後は、次の予定があるため、まるで人気タレントのようにそそくさと会場を後にした。感想を聞くことも、イベント全体を知ることもできなかったのは残念だったけど・・・。
少しでも今後の生き方の参考にしてもらえれば幸い。できるだけ多くに人に出会ってもらいたいと思うし。
本日はこの後、河口湖に向かう。
いよいよ明日である。いい天気になることを期待したい。

若者たちの目的意識

最近のブログでは、どちらかといえば学生のネガティブな情報を載せてきた。約束を守らないとか、堂々と寝てしまうとか・・・。そんなブログに対し、賛同する沢山の意見も頂いたりもした。
その現状を打開する策を考える必要はあるだろうが、今の学生がそんな者ばかりではない。
こちらが驚くほど意識が高い学生も多い。自分たちが学生の頃、周りを見渡しても皆無だった層が今はゴロゴロしている。
先日の母校でのパネルディスカッションしかり、先週参加したアスバシLIVEしかり、そう感じることは多かった。
自分の夢に向かい何一つぶれることなく、その目的達成のために全ての生活を組み立てる。バイトにせよ、学ぶ科目にせよ。その目的意識の高さに感動を覚える。
先日、パネルディスカッションを一緒に行った女子学生はまさにそれ。客室乗務員になるために、大学の学部も選択し、どのバイトが一番役立つかを考え、その道を進む。
他の学生も優秀だったが、夢を追いかけるその情熱は群を抜いていた。どんな苦労でも乗り越えていけるのではないだろうか・・・。
若者
先週のアスバシLIVEでプレゼンした学生連中にも大いに感心させられた。考えているのは自分の事ではない。他の学生、それも何事にも無関心な学生をいかにヤル気を起こさせ、行動させることを真剣に考えている。
彼らが異口同音に言うのは、「自分たちで考えて行動することの大切さ」。それを伝え動かす活動を積極的に行うのだ。
自らがサークルを立ち上げたり、学校の支援を受けサポートしたりと・・・。
僕も学生時代はサークル活動やバイトに明け暮れていたが、それは自分の好きなことをやるため、稼ぐため、女子のモテるためであったように思う。他人のために貢献したいなんて思いもつかなかった。
情報発信の手段が容易になり、動きやすい環境が整った時代とはいえ、その目的意識の高さを尊敬せざるを得ない。甘い面がないとは言えないが、彼らが力を発揮できる環境を我々大人が作らなければならない。
今の若者は捨てたもんじゃない。むしろ、僕が学生だった頃に比べれば、余程しっかりした考えや目標を持っている。
強いて言えば、欲の深さが違うのかもしれないが・・・(笑)。

私の経営パート2

何だかアパートを経営しているようなタイトル。もちろん全く関係ない。
昨日は愛知県のある大学で講義の機会を頂いた。昨年も同じ時期に対応したので、今年はパート2ということ。
学泉1
経営学部の3年生を対象とした授業で、週替わりで東海地区のトップを招き、経営者講座を実施するのだ。
テーマは「経営者が語る”私の経営”」のため、意味不明なブログタイトルになった(笑)。
数ある企業の中で、僕が2年連続受け持つのは、どう考えてもミスジャッジだとは思うが、学生に近い事業を行っているのがオファーの理由だろう。
学生時代にほとんど授業に出ていない自分がいうのはおこがましいが、最近の授業はこんなもんかというのが終わった後の感想。
正々堂々と寝ている学生が多い。講座が始まる前に私語を厳禁した代わりに、「眠たかったら寝てもいい」と発言したことが要因かもしれないが、あまりにも素直すぎ(笑)。もう少し遠慮がちに寝るのが、話し手に対しての配慮じゃないかなと訳が分からないことを思ってしまった。純粋で素朴なのかな・・・。
しかし、それは学生が悪いわけではなく、学生を責めるのは間違っている。僕の話が魅力的であれば、寝ようと思っても惹き込まれて起きているだろうし、僕が伝えたいことと学生が求めることとマッチすれば寝ないだろうし・・・。
学校の授業のように強制力の求められる講義で相手を惹きつけるのは難しいことだろうが、まだまだ実力が足りないわけだ。
それでも真剣に耳を傾けてくれる学生も多数出席していたので、やりがいのある講座であるのも事実。
僕が伝えたかったのは、どんどん失敗をして悩め、でも諦めるなということ。自らの経験と就職活動の現状を踏まえ、70分程度話をさせてもらった。
学生の顔つきを見る限り、将来に明確な考えを持っている者は少ないと思うが、これをキッカケにしてもらえるのであれば喜ばしい。
ローカルなエリアにある大学は、のんびりしている学生が多い。それはそれで悪くない。だが、もう少し他の大学との接点など刺激を与えられる環境があると、競争意識も芽生えるだろう。
と、そんな感想も持ってしまった。

記念祭で「就職」を語る

昨日は母校の同窓会創立60周年記念祭。
僕は「キャリア講演会」として保護者及び大学3年生向けの講演依頼を頂き、就職をテーマに講演とパネルディスカッションのコーディネーターを担当させて頂いた。
大学祭も同時に行われているので、お邪魔した9時前でもバンドがリハーサルを繰り返し、既に華やかな雰囲気が学内を覆っていた。
愛大1
600名収容する大学内で一番大きな教室が今回の会場。それだけでは収容しきれず、別会場で中継も行われたようだ。
パート1は「就職環境の実態」と何とも意味深なタイトル(笑)の講演。
愛大2
就職環境の現状を説明しながら、企業の本音や学生の実態を伝えていった。僕が伝えたかったのは、現実問題として必ずしも就職難ではないということ。就職氷河期という言葉だけが先行しているが、そうではない現状を保護者の方には理解していただきたかった。
親としての関わり方については、「背中」をキーワードに、背中を押すこと、背中で教えることを強調。引っ張るのではなく、そっと押すことが大切。
当初の持ち時間より短くなってしまったことで、伝えきれなかった面はあるが、できるだけ分かりやすく話をしたつもり。まだまだ改善点は多いが、貴重な経験をさせて頂いた。
パート2のパネルディスカッションは「意義ある就職活動を行うために」というタイトルで人事担当2名、内定学生3名、大学キャリア担当の計6名で実施。
愛大3
僕はコーディネーター役として、パネラーに適当に(表現がよくない)質問を振り、突っ込んで聞いていくだけの楽な役割。
学生さんはともかく人事担当の方にはムチャ振りをして、困らせてしまったが(笑)、見事な発言で会場内を唸らせ、盛り上がったのではないだろうか。学生さんも流石パネラーとして選ばれる存在で、模範的な話だけではなく、ちょっと恥ずかしいような内容まで惜しげもなく披露してくれた。
とても60分という時間では伝えきれないくらい中味の濃い内容。(僕の仕切りが悪いだけかもしれないが・・・)。せっかくなので話の詳細は改めて書きたいと思う。
2時間の「キャリア講演会」はあっという間に終了。お役御免となった。昨日話した内容が少しでも役に立てば幸い。今後の参考になれば、ありがたい話だ。
出席者で昼食を共にした後、解散。1階フロアに降りると人、人、人。
愛大4
あいにくの雨で土曜日よりは少なかったようだが、そこら中で学生が声を掛け、模擬店からいい香りが流れ、学園祭らしい賑やかさが伝わってきた。
お土産に頂いた日本酒。
愛大5
大学が誇る画家 平松礼二氏の絵画をまとった記念の大吟醸。大切に飲まないと・・・。
どれだけ母校に貢献できたかは何ともいえないが、このような機会を頂いただけでも光栄なこと。
これからもよろしくお願いします。

約束の重み

ここ数日、田中真紀子大臣による大学開設の不認可問題がニュースでクローズアップされていた。
その件に関して論じたいわけではないが、今回のブログは遠からず繋がっているのかもしれない。
名大社の事業の一つに人材紹介があり、現在は新卒学生の紹介もさせて頂いている。いくつかの大学との提携や自社でセミナーを行って、学生をカウンセリングを行った後、企業と学生のマッチングを行う。希望条件に合う企業の選考に臨んでもらい、内定までフォローするサービスだ。
つい先日もこのサービスを利用した学生から名大社に感謝のメールが送られてきた。
名大社のおかげで無事に就職が決まった。これから頑張っていきたいという内容のメールを・・・。こういったメールを頂くとこちらもうれしくなるし、我々が果たすべき役割が大切だと実感できる。仕事の喜びにもなる。
しかし、一方でこんなケースも少ないとはいえない。
選考に臨むはずの学生が当日の約束の時間に現れない。将来が決まるかもしれない企業の選考の場に・・・。
当然のように企業からはクレームの電話が営業にかかってくる。学生担当が本人に連絡を取ると「交通費が無くて行けなかった」と悪びれることもなく答える。本人から連絡があるわけではなく、こちらが理由を確かめた時に初めてその事実を知る。
別のケースでいうと既に選考が始まった段階で会社にメールが入る。
「○○会社の選考には行けません。すみません」と。本人の署名もなければ、理由も一切書かれていない。そのメールアドレスから本人と特定するだけだ。
相変わらずスッポカシも多い。その対応とお詫びとフォローを営業や学生担当が行う。繋ぐ場やキッカケの場を提供するのが我々の仕事であるため、それも業務であることは間違いない。しかし、それを見ているとやるせない気持ちになるのも事実。
僕はブログをスタートさせる時に誹謗中傷は書かないと宣言した。人によってはそう捉えられるかもしれないが、仕方ない。確かに感情的な面はあるが、今は事実を述べている。
今週の日経新聞では「働けない若者の危機」というタイトルで記事が連載されている。今の外部環境や企業の実態を見れば否定する要素はない。これも事実だ。しかし、伝えられていない情報も多い。
約束に重いも軽いもない。約束は約束で全て守るもの。守れないのであれば、しっかりと連絡するのが常識。
それが友達との買物の約束だろうが、企業の選考だろうが関係ない。中学生でも十分行える行為のはず。その事ができないのが非常に残念であり、寂しい。
大学入試に「約束は守るべきか?」という問題は出ない。出たとしても正解率は100%のはず。しかし、実際の行動となると大きく履き違える。それも4年生の後半に及んでも・・・。
就職氷河期を嘆く前に、人として重要なことは何かを理解し正さなければならない。そうすれば、就職氷河期も少しは改善されるはずだと思う。

「オレ流」のいい話

おれ流1
昨日は僕が加盟する団体のイベント。記念講演は前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏。
8年の在任中、4度優勝というドラゴンズ史上最も素晴らしい成績を残した監督。
講演タイトルは「”おれ流”輝ける野球人生」であったが、実際の講演内容はほとんど関係なかった。あまり関係ないだろうとは何となく予想していたからいいけど・・・。ただ予想を遥かに超えた素晴らしい講演であったことはしっかりと言わなければならない。
落合氏は無口で無愛想、サービス精神もない、まさにオレ流一本やりというイメージかもしれないが、それは全く異なる。
時折、笑いを誘い、聴衆の心理状態を把握し、巧みに話を進めるタレントだ。長いと感じるであろう90分を退屈させることなく、何の映像やパワポにも頼らず話を進められた。
ロッテ入団から三冠王を獲得する卑屈な時代からドラゴンズの監督時代、解説や講演を行う現在、そして先日のクライマックスシリーズまで、話の展開はあちこちに広がったが、落合氏の人物像は一貫していた。その生き方がぶれることはない。そこがまさに”オレ流”というべき。
いつの時代かは明らかにされなかったが、子供の学校のPTA会長も務められていたようだ。
その時に一緒に活動していた母親連中を上手くまとめあげたことが、後のドラゴンズ監督としての人材掌握術に繋がったとは驚きである。そこでの学びが監督業として全部生きたわけではないだろうが、落合氏の組織をマネジメントする基礎であり、その後の指導方針には共感する。
以前、ブログにも書いた「采配」に盛り込まれている要素も語られていたが、その手腕はビジネスにおけるリーダーシップに通じる。
どんな言葉を掛け、どんな態度を示せば人が動き、またプレッシャーとするのかを完全に把握している。野球人にありがちな感覚ではなく、理論で動いている。
何より自らの目的は何か、選手の目的は何か、そのために何が最善策なのかが明確なのだ。それは散々非難されたファンサービスについても自らの考えを貫いている。
そんな話を拝聴できただけでも十分価値はあったが、最後に話されたことにも感動を覚えた。
落合氏は退任が決まり、最後にオーナーの下へ挨拶に出向いた時に尋ねたという。「これまで自分がチームを率いて良かったのか?」と。オーナーは「お前で良かった。」と一言、感謝を述べた。
その時、それまで背負っていたものから、初めて解放されたという。気持ちよくユニフォームが脱ぐことができると・・・。
やはりプロだ。
最後の最後まで責任を全うする生き方を感じたラストの言葉だった。

またか!ソニーショック

ソニー12
金曜の午後から京都で過ごし、昨日の夕方に帰宅。それまで新聞は読めずにいた。ゆっくりと中日新聞を広げると目に飛び込んできた文字。
「ソニー美濃加茂工場閉鎖へ」
少なからずショックを受けた。
日々のニュースでソニーの不振は当然のように理解していたが、身近な存在であった美濃加茂工場が閉鎖される記事は僕にはかなり大きな衝撃。
僕にとって大切なクライアントであり、大変お世話になった会社だったからだ。
元々はソニー美濃加茂という100%出資の単体の企業であったが、その後、製造子会社が統合されソニーイーエムシーエスとなった。主力製品はその時代により変化を辿っているが、最近は携帯電話やデジタルカメラの製造を行ってきた。
僕の認識では美濃加茂工場は製造子会社の中でも比較的堅調だと捉えていただけに、今回のニュースのショックは大きかったのかもしれない。
この美濃加茂工場に初めて訪問したのは、確か入社3年目の頃だと思う。
飛び込みで訪問したわけだが、全く相手にされず、アポイントを取って訪問するも箸にも棒にもかからない時期が随分と続いた。そんな状況もあって、縁遠くなった期間もあったが、継続的に訪問し担当者と人間関係を築くことで、初めての訪問から10年後くらいにようやく取引を頂けたと記憶している。
美濃加茂工場が好調だったことも手伝い、それからはかなりの仕事を頂けるようになり、僕の大きな売上を占めるクライアントにもなった。自分自身の立場が厳しい時に助けても頂いた。自分を育ててくれたお客様と言っても過言ではない。
そんな想いもあり、昨日の新聞記事は非常に残念だった。
その残念さは僕だけの問題ではなく、岐阜県美濃加茂市にとって大きな損失であり、深刻な問題でもあるだろう。この美濃加茂工場が生み出す雇用は、この街の中では相当なボリューム。周辺には派遣会社も多く存在したし、外国人労働者の割合も高かった。地域経済にとって欠くことのできない存在であったのは間違いない。
リストラの一環でソニーの生き残りを考えれば、正当な判断になるのかもしれない。しかし、ロジカルに考えることは難しく、感傷的になるのも事実。僕がお手伝いをさせてもらったことも、今となっては正しいかどうかも疑問だ。いろんな方の顔も浮かんでくるし・・・。
大きな資本の決断がもたらす影響の大きさをまざまざと感じた昨日の新聞であった。