「あの~、最初に挨拶をさせてもらうのですが、日大のことを触れても大丈夫ですか?」
「全然問題ないですよ。かえってウケるんじゃないですか?」

これが僕が元関取 舞の海秀平氏に挨拶に伺った時の会話。
何かと言えば、一昨日開催された母校の父母教育懇談会。

記念講演会の講師は舞の海さんで、
僕は後援会長として最初に挨拶をしなければならない。
舞の海さんは日大相撲部の出身だったため、失礼と思いながら冒頭の質問をしてみた。
実際に「今話題の日大の話が出るか、分かりませんが・・・」
というような挨拶をしたが、一定の関心は集めた(笑)。

舞の海さんといえば、新弟子検査で
頭にシリコンを埋めて身長を高くして臨んだというのは有名な話。
今回はそのあたりの苦労話から現在の相撲界の裏事情、
自分の現役時代のエピソードについて語って頂いた。

「みなさんに持ち帰ってもらうような話はひとつもありません。」
と言われていたが、それはあくまでもアイスブレイク的なネタであることは
話を伺ううちに理解できた。

以前、伺った山本昌さんにしろ、舞の海さんにしろ、
この手の方は話が上手い。
何よりも頭の良さを感じる。

ただ経験を感情的に話すのではなく、論理的な組み立てもされており、
あちこちに話題を飛ばしながらも、
きっちりと元の話題に戻って納得させるのはさすが。
だからこそ、現役を退いてからもひっきりなしに講演依頼があるのだろう。

僕の感覚にすぎないが、元アスリートの講演はきっと2つに分かれる。
ひとつはその名を利用していくつも講演をするが、
全然つまらなくて次第に消えていくケース。
もうひとつは話をブラッシュアップさせ続け、講師業としても成立するケース。
そんなんじゃないだろうか。
名を生かせるも生かせないのも本人の努力とセンスだと思う。

相撲界の裏事情はこのブログで公開できないので僕の胸の内に留めておく。
日大の件については、軽く触れられた。
田中理事長は舞の海さんが学生時代の監督。
それも相撲部屋を紹介してくれた恩人。
立場的にあまり辛辣は発言ができないのもよく分かる・・・。

曙や小錦との対戦秘話も披露。
タイトルにあるような「少よく大を制す」のための葛藤。
それは恐怖が伴うことでもあるが、実に面白かった。
なんせ自分の3倍の体重の人間が圧し掛かってくるのである。
傍から見てる分にはいいが、本人にとってはたまったもんじゃない。

そんな舞の海さんが小結まで上り詰めた理由は、
真面目で素直じゃなかったからという。
十分、真面目で素直だと思うのだが、肝心なところではそうじゃなかったようだ。
それが人のやらない技や思いがけないアイデアを繰り出したことに繋がった。
いい意味での開き直りが状況、状況で打ち出せたことによる。
それは相撲の世界だけでなくすべてにおいて言えること。
そんな意味では持ち換えるに十分な講演だった。

せっかくならツーショット写真をお願いすればよかった。
僕の方が間違いなく背が高い(笑)。

貴重な機会を頂き、ありがとうございました。