これがロバート・レッドフォードの引退作品だという。
僕より30歳年上で間もなく83歳。
これまで現役でバリバリ演じていたこと自体、素晴らしいこと。

ポール・ニューマンとのコンビの「明日に向かって撃て」とか「スティング」が有名だが、
僕が個人的に好きなのは「ナチュラル」。
いつ観たのかも覚えていないが、グランドを回る姿が印象的だった。
確か沢木耕太郎が長嶋一茂のことを書いた「彼らの流儀」もこの作品だったはず。

単なる二枚目でなく好感度も高い俳優だと思う。
監督作品の「リバーランズ・スルー・イット」も「クイズショウ」も好きな映画。
ここ最近の出演作を観ていないが、引退作品となれば観なければならない。
特別なファンじゃないけどね(笑)。

原題は「The Old Man & the Gun」。
そのまんまでいいと思うが、邦題はロバートレッドフォードへの愛情の証かな。
やはり好感度は高い。

僕の映画コラムニストとしての特徴は作品のことはさっぱり分からないが、
それでも観たくなるという不思議なもの。
多分・・・(笑)。

今回もそんな感じで伝えたいがそれは難しい。
「老いぼれ銀行強盗のシアワセな話」
と一行にまとめてしまえばそれまで。
それで十分だと思うが、そんなわけにはいかない。

ではどう伝えればいいのか。
忠実に描く1980年代初頭のアメリカと人間の葛藤、年齢は関係ない純粋な愛、
そして、ロバート・レッドフォードの生き様だろう。
僕はそんなふうに感じた。
はっきりいえば、愚か者ではなくろくでなしの話。
愚か者は少し違うからね(笑)。

そのろくでなしが幸せ過ぎるから映画はハッピーエンドで終わる。
しかし、それは偏った見方。
場合によっては救いようにない酷い終わり方ともいえる。
だが、ほとんどの人はこれでよかったと思うんじゃないかな。

ヒロインというか老いぼれ銀行強盗の相手役がシシー・スペイセク。
映画を観ながら「誰だっけ?」とずっと思いだそうとしていたが、最後まで出てこなかった。
改めて調べてみると、そう、彼女。
80年代から90年代にかけて結構観たように思う。
決して美人ではないが独特の雰囲気があり、本作の2人の関係性もとてもよかった。
こんな生き方をして、死ねるのがいいんだろうね。

映画の中に出てくる「楽をして生きるのではなく、楽しく生きる」。
そんなふうに人生を終えれればいい。
老いぼれになった時にでも自分にこだわって生きられたらどれだけ幸せだろうか。

そんなことを思わせてくれる作品だった。