苦役
予備知識を全く持たず観た映画。もちろん原作も読んでいない。かえってその方が良かったのではないだろうかと映画を観終わった後の気怠い気持ちがそう思わせた。
森山未來が扮する主役 北町貫多は昭和42年生まれの19才の設定。僕は41年生まれなので、ちょうど大学時代を過ごした時期にあたる。
まさにその時代を写した映画であり、自分の青春時代とオーバーラップする。その当時を記憶しているせいもあり、時代考証の素晴らしさに感動する。
山下監督の前作「マイバックページ」の描き方も素晴らしかったが、本作はよりリアルに感じることができる。
NCAAの缶ジュースやもみあげを斜めに切るテクノカット、ストーンウォッシュのジーンズなど80年代の香りがプンプンし、流行が忠実に映し出される。それだけで唸ってしまう。
ヒロイン役の前田敦子も普段感じることのない昭和チックな姿も魅力的だった。
肝心な映画はどうだったか・・・。
ある者にとっては大いに共感するだろうし、別の者には全くつまらない映画と真っ二つに評価が分かれるのではないか。僕自身は世代的共感もあり、あのモヤモヤ感はすごく理解できた。
しかし、ちゃんとした大人が見ると情けない人物でしかないだろう。それは自分達の親の世代であり、もしかしたら現代の若者も同様な受け止め方をするのかもしれない。全く参考にならない批評だな・・・。
主役の森本未來のファンではないが、彼の作品を「ALWAYS三丁目の夕日64」「モテキ」と立て続けに見た事となる。上手い!。全く異なる役柄を期待したい。
それにしても映画の中では、ずっとタバコを吸っている。あんなにみんな吸っていたかな・・・。