私はいつものように円頓寺を歩いていた。
ぼんやりと考え事をしながら歩いていた。

「思いのほか、先週、先々週の食べ物ブログは好評だ。
これは師匠に対しての裏切り行為に当たらないか・・・」

そんなことを考えていたのだ。
私の食べ物ブログは師匠の文体を真似て、また「孤独のグルメ」を参考に作られたもの。
守破離と言えば聞こえはいいが、実際は大した修業をしていない身として正しいあり方ではない。
しかし、今は新しい可能性を求め挑戦していく段階と自分に言い聞かせている。

珍しく工事中の円頓寺商店街も何かの因果だろうか。

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そんなことを考えるうちに目的地であるお店に辿りついた。
目にしたのは「臨時休業」という貼り紙。
一つの目的を失った。
一方で新たな挑戦がある。
生きていくことはそんなことの繰り返しかもしれない。

気持ちを切り替え、私は円頓寺本町に向かった。
そして昭和の香りのする喫茶店「散歩」に入った。

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スタバやコメダが台頭する中、昔ながらの喫茶店が減少傾向にあるのは間違いない。
後継者不足を含め様々な問題を抱えているだろうが、
店を切り盛りする店主はそんな雰囲気を微塵も感じさせない。
それが私に少しばかりの勇気を与えてくれた。

焼うどん定食 650円

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いかにも昭和を感じさせる。
その頑固ともいえるスタイルに涙が出そうになった。
その姿勢を噛みしめながら私は食べ始めた。

「焼うどんが600円で焼うどん定食は650円。50円でご飯とみそ汁が付くわけだな。
これはみそ汁じゃないぞ。豚汁じゃないか。お~、なかなかやるじゃないか。」

以前の私ならきっとこんなことを呟いていたはずだ。
たかだか3週間前の話だが、遠い過去のようだ。
時折、以前の私が垣間見えそうな瞬間はあるが、あえて自分に厳しくし、以前の私を消し去る。
これも生きていくための試練と捉えるべきなのだろう。

理解者を増やす行為は賛同者が離脱する行為。
食べ物ブログという小さな枠組みの中でも与える影響は少なくはない。
私は常にそんなことを意識しながら、今日も円頓寺を歩いていく。