業界リサーチ2018

自動車、工作機械、航空機…。日本が誇る製造業の拠点。

製造関連 自動車/各種製造・機械・設備/エレクトロニクス

自動車

全国に誇る自動車産業の中心地。
優秀な技術を有する中小企業も多数。

東海エリアは日本を代表する自動車産業の集積地。特にトヨタが牽引役なのは周知の事実であり、同社の2015年の世界販売台数は1015万台を記録し、4年連続世界一の座に輝いた。2位はフォルクスワーゲングループで993万台。もはやトヨタの独走と言っても過言ではない。2016年8月には、連結子会社だったダイハツを完全子会社化。その後スズキとの業務提携も囁かれている。これらの動きは世界トップの座を守るためと分析する専門家も多く、やはり戦略は万全という印象だ。

先のダイハツをはじめ、トヨタには数多くのグループ企業が存在するため、当然ながらグループ全体も勢いづいている。また、トヨタグループの各企業に材料、部品、設備を納める中小企業も無数にあり、中には実に高度な技術を持つ優良企業も。ちなみに国内シェア2位に食い込んだホンダは、三重県での製造が活発。当然ここを取り巻く企業も周辺に多い。いずれにせよ、自動車や自動車部品をキーワードに企業をリサーチすると、意外な形で自動車産業に関わっている優良企業を数多く発見できるはずだ。

IoT(※)化の大きな波が自動車業界を巻き込む。

自動車産業は、円高や円安の影響を受けやすいので、為替の動きは特に注視しなければならない。昨今の増収の背景には円安による海外販売の好調があった。一方、国内市場に目を向けると、2015年度の国内販売台数は前年比6.8%マイナスの493万台に。特に軽自動車の落ち込みが大きく、これは2015年4月の軽自動車税の増税が大きな原因と考えられる。海外向けは好調のようでも、地場の国内で明るい未来を築くことができなければ、安心でいられるとは到底思えない。

落ち込んでいく国内市場を活気づけるためのキーとして注目されるのが、引き続き次世代エコカー、そして自動運転が挙げられる。トヨタは2016年1月に人工知能技術の研究開発を手がけるTRIを設立した。今後はIoT(インターネット・オブ・シングス)という切り口からクルマづくりに関われる会社を探せるチャンスも増えるだろう。

(※)IoT(インターネット・オブ・シングス)の略称。モノがインターネットに接続されることにより、情報の抽出・伝達・把握が相互化する仕組み。また、それによる社会の形成を指す。

各種製造・機械・設備

工作機械、航空宇宙産業も盛ん。
広がるモノづくりの可能性。

東海エリアは、自動車だけでなく様々なモノをつくるメーカーの拠点となっている。例えば、工作機械を製造する大手・中小メーカーも東海エリアには優良企業が集結。もちろん、発展の背景には、自動車メーカーからの恩恵があったことは事実だ。つまり、工作機械製造は自動車業界と密接な関わりを持っている業界とも言えよう。かつてのリーマンショックの際は、厳しい環境下にさらされ、受注数は著しく減少したが、2015年上半期にはリーマンショック前の水準に戻った。しかし、中国経済の減速が大きな不安要素に挙げられ、いかに早く対策を立て乗り越えるかがポイントだ。

中部は、これからの航空宇宙産業をより発展させる目的で「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」の指定を受けた。国産旅客機MRJの開発も進み、海外からの航空機製造のオーダーも依然として目立つなど、空の分野でも確かな信頼を獲得している。自動車同様、航空機製造会社と取引を進める優良部品メーカーも多いので、やはり目が離せない。東海のモノづくりは、想像以上にレンジが広いのだ。

エレクトロニクス

勢い増す海外勢。
電子部品については日本製が優位。

テレビをはじめ生活家電などは、高度経済成長期から日本メーカーが牽引してきたが、現在はかつての勢いは感じられない。近年出荷台数を伸ばすスマホについてもサムスンやアップルの2強状態が続き、日本メーカーは後れをとっている。市場が飽和状態であるパソコンとタブレットについても、やはり海外勢が強い。日本のエレクトロニクス機器全般は海外に後れを取った状況だが、スマホの製品化に必須の精密・電子部品については日本製が優位。スマホが高機能化するにつれて一台あたりの部品数が増加し、収益拡大の機会がうかがえる。一方で自動車業界への電子部品供給需要にも期待大。有機ELパネルの量産化ではサムスングループとLGが先行しており、日本は巻き返しを図りたいところだ。

低調気味のエレクトロニクス業界だが、東海および中部は、コンピュータ周辺機器やインターホンなど、生活に欠かせない機器を製造する老舗メーカーも多く存在。中小規模でも世界を相手に取引しているメーカーも少なくない。このほか、アミューズメント系の大手がひしめくのもこのエリアの特徴。それに伴ってアミューズメント用電子部品や精密機器製造を手がけるメーカーが自動車部品メーカーのように多く見られる。