業界リサーチ2018

業界インタビュー/製造業

株式会社 イワタツール
代表取締役社長 岩田昌尚氏

ドリルという工具づくりを通じ、東海エリア、そして世界の製造業を支えるイワタツール。
名だたる大手から指名がかかる同社で代表を務める岩田昌尚氏が就活生にメッセージを送る。

東海エリアの製造業界について、今ご自身が思うことは何ですか?

東海エリアは、自動車産業や航空宇宙産業が盛んな地域です。さらに、工業品をつくる工作機械のメーカーも集まっているなど、製造業が地域経済を支えています。中でも自動車産業がリード役ですが、2015年度の国内の販売台数を見ると、500万台を割り込み、市場はやや縮小傾向です。とはいえ、視点を世界に広げると、まだまだ日本の自動車産業は戦える状況にあると思います。現在は自動運転やIoT(インターネット・オブ・シングス)など、より先進的な技術を取り込む事が業界のトレンドとなり、どの企業もつかみどころを探っていると思いますが、新しい企業の参入が増える可能性もあり、楽しみです。

御社の概要についてお聞かせください。

当社も自動車産業に関わっている企業ですが、クルマや部品をつくっているわけではなく、それらをつくるために必要なドリルを製造しています。20年以上前までは、納入先となるお客さまは約9割が自動車業界。しかし、今では自動車業界は全体の5割で、IT機器メーカーとの取引も増えています。ほかにも、玩具、航空関連などで当社のドリルが使われるようになりました。取引先業界を拡大したことは当社にとって大きなターニングポイントと言えます。

東海には小粒でも存在感のある企業が数多くあります。

なぜ取引先業界を拡大しようとしましたか?

クルマを動かすためのコアとも言えるエンジン。今後は電気自動車がもっと普及し、電動モーターが今以上に生産されると推測できます。電動モーターはエンジンよりも構造がシンプルなため、部品点数を抑えることが可能です。当社のドリルはエンジン製造の現場で多用されていますから、部品点数が減ることになった場合、出荷数も減ってしまいます。そういった将来が想定されるならば、早いうちから手を打つべきだと考え、IT機器メーカーにアプローチしたのです。現在、世界のハードディスク製造現場の約9割で、私たちのドリルが使われています。モノづくりで沸く東海エリアには、小粒でピリリと存在感を示す企業が数多くあります。得意分野に力を入れる戦略で、存在価値を高め、大手が提示する高い要求をクリア。そんなおもしろい会社と出会う楽しみが東海エリアにはきっとあると思います。イワタツールもそのような企業の1つだと自負しています。

先読み能力に長けた会社との出会いを!

事業継続のためにポイントとなることは何だと思われますか?

事業を続けていると、世の中が変わる兆候がどこかで見えてきます。そのタイミングで、来たるべき時に備えた対策立案に乗り出せるかどうかが生き残るためのポイントです。会社は大きな変化にはすぐに対応できません。兆候が見えた時から準備を始め、少しずつ会社の向かう方向を変え、または事業を広げていかないと、いざという時に手遅れになります。そういった先読みの力に長けた会社を見つけることは難しいかもしれませんが、会社探しを進める上でのひとつの参考材料にしていただければと思います。

変化の激しい時代だが、挑戦し甲斐ある時代でもある。

就活生へのメッセージをお願いします

スピーディに変化していく今の世の中は、多様な価値観が交錯しています。だからこそ、若い人が考えた新しいアイデアや意見は受け入れてもらいやすいと思うんです。仮に今の時代が変化に乏しく、ひたすら安定しているだけだったら、新しい声が受け入れられることはあまりないかもしれません。そういう意味では、今は挑戦し甲斐ある時代でもあり、常に「もしかしたら」と成功への可能性が感じられます。そんな時代だからこそ、私は仕事をしていて楽しいです。

株式会社 イワタツール

ドリルやグラインダーといった工具を自社で開発・製造・販売。大手工具メーカーとの差別化戦略を推進し、小径の特殊用途向けドリルについては製造業界で唯一無二の存在感を放つ。

創業/1928年(昭和3年) 資本金/4000万円
売上高/8億4,000万円(2016年3月期)

http://www.iwatatool.co.jp