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COLUMN 就活応援コラム

日本の伝統的なものづくりを世界に発信する|日本デザイン・マーケティング株式会社 早瀬氏

就職活動がはじまると、就活サイトに登録し、自己分析や業界分析、志望動機やエントリーシートの作成など、やることはめじろ押しです。
また、就職先はジモトを選択するのか、都市部で就職する道を選ぶのか、悩みは尽きません。
今回は、進学・就職・起業とオールジモトの、日本デザイン・マーケティング株式会社 CEO早瀬 由芙氏にお話を伺いました。

早瀬 由芙|プロフィール
1985年生まれ、愛知県豊橋市出身。
豊田高専、名古屋工業大学大学院卒業後、地元豊橋市の食品メーカーに就職し、マーケティングおよび新商品開発に従事する。
スタートアップ体験イベント「Startup Weekend」では、訪日外国人向けサービスを開発。
2014年に日本デザイン・マーケティング株式会社を愛知県岡崎市にて設立し、代表取締役社長に就任。
同年より、デザイン性の優れた伝統工芸品を中心とした通販サイト「日本デザインストア」を運営する。

“いつか”を待てるほど人生は長くない、20代最後の年にジモトで起業

画像引用:日本デザインストア 公式HPのスクリーンショット

ージモトで進学・就職・起業した早瀬さん。これまでの活動について教えてください。
早瀬:小さい頃から建築やデザイン、アート、インテリアなどが好きで、学生時代に建築とプロダクトデザイン、マーケティングを学びました。
また、ドイツ留学をした際に日本の素晴らしさを改めて実感し、将来は何か日本の良いモノ・コトを海外に伝える仕事をしたいと思うようになりました。
就職活動では、悩みに悩んだ結果、「伝統的なものづくりのメーカー・全国展開をしている・地元」という3点を軸にして企業を探し、前職の食品メーカーに巡り会いました。
そこでは職場の業務内容や人間関係、業績にも恵まれ、非常に楽しくやりがいがありました。
けれど、一時期は建築家やデザイナーを志していたこともあり「いつかは起業したい」という想いが、どこか心の奥底にありました。

ー起業されるきっかけは何だったのでしょうか?
早瀬:28歳の時に起業家だった祖父が急死し「“いつか”を待てるほど人生は長くない」と時間の有限性を自覚したことです。
そこから、何かに背中を押されるように起業しました。
起業する際には「自分が得意なことをして人様のお役に立てたら幸せ」と思い、日本の伝統工芸品の中から特にデザインの優れたものを厳選したセレクトショップ「日本デザインストア」をウェブで開業しました。
会社は今年で5年目。日々予期せぬことが起こりますが、スタッフや取引先、お客さまに支えられて元気に育っています。

外の世界を見た上で、「自分らしい生活をするならここがいい」と決意

ー就職や起業するタイミングで、ジモトを出ようと思ったことは一度もなかったのでしょうか?
早瀬:実は高専進学、留学、受験、東京でのインターン・就職活動・起業など、6回ほどジモトを出ています。思い立ったら直ぐに行動するタイプなので、今でも必要があればいつでも出られる状態ではあります。
今のところ、いくつか外の世界を見た上で「自分らしい生活をするならここがいい」と判断してジモトにいるのでしょうね。仕事で月に数回出張がありますが、自宅のある豊橋市は新幹線が停まるため、働くうえで不自由だと感じたことはありません。

ージモトで働くメリットは何でしょうか?
早瀬:住みやすいジモトに、根を張って生活できることです。東京に比べると東海地方は入ってくる情報が少ないので、ビジネスを進めるスピードは落ちます。
ただし、1つの事業を集中して育てるときには雑音が少なくて良いと私は考えています。
その他、事業経営の上でのメリットは3つあります。
1つめは、物流効率が良いということ。日本各地から商品を仕入れて日本全国・世界各国に発送するため、物流の拠点が日本の中心である愛知県にあるのは効率が良いです。
2つめは、地代家賃が安いこと。都心部と比較するとオフィスや倉庫の地代家賃が安いので、ゆとりのあるスペースで仕事ができます。
今のオフィスは110坪にスタッフ10名、キッチンとラウンジもあるので、よくスタッフの友人や家族を交えたパーティーを開いています。
3つめは、有能な女性スタッフの採用です。オフィスのある岡崎市は比較的保育園に入園できるため、子育て中の有能な女性スタッフも働きに来てくれます。

ープライベートでは、都市部に比べて物足りなさを感じることがありませんか?
早瀬:都心部へは、ときどき旅行で行けば良いので、物足りなさはありません。
働いていると、多かれ少なかれ緊張を強いられる場面があります。
寝ている時間も含め、日々過ごす場所はノンストレスで居心地の良い場所が良いなと思っていました。
それが、私にとってはジモトだったのです。
東海地方は自然、文化、芸術、歴史、産業の全てが揃っているところ。心豊かに過ごすことができます。
会社の近くにも大きな公園や美術館があるので、休憩がてらスタッフと行くこともありますよ。

「日本の文化・芸術を総合的にプロデュースする会社」へ育てるために

ー現在、会社で力を入れている取り組みを教えてください。
早瀬:原点回帰で「ジモト」の良いものを発掘することに力を入れています。
開業当時は伝統工芸品として知名度の高い「江戸切子」や「南部鉄器」などを中心にセレクトしていました。
しかし、東海地方だけでも美濃焼や常滑焼、瀬戸焼、美濃和紙に有松絞りや豊橋筆などの、素晴らしい伝統工芸品が数多くあります。
今までは誰に頼れば良いかも分からず、一人で商品探しに奔走してきました。
今後は、行政や地元の自治体、組合の方とタッグを組んで、ジモトの良いものを発信できるよう取り組んでいきたいです。
来年は、沖縄県石垣市に小さなリゾートホテルを開業する予定です。
“ギャラリーホテル”として、客室のインテリアやアメニティを伝統工芸品や現地の産品で設えて、気に入っていただいたお品物は、ホテル内ショップやウェブでご購入いただけるようにします。
今は「工芸品のセレクトショップ」として芽吹いたばかりの弊社ですが、最終的には「日本の文化・芸術を総合的にプロデュースする会社」に育てていきます。
大好きなジモト日本が、これからも素晴らしい国であり続けられるよう、応援してくれる仲間とともに、知恵を出し合って邁進していきたいですね。

ージモト就職をしたい学生に向けたメッセージやアドバイスをお願いします。
早瀬:東海地方は商業・産業界で高く評価される、すばらしい企業がたくさんある土地。
学生にとって知名度が低くても、大小問わずBtoBで世界的に活躍している企業が多々あります。
ただし、自分に合った地元中小企業を探すのはなかなか至難の業。私も学生時代には、名大社主催の企業展への参加はもちろん、商工会議所が主催する展示会や、地元の求人情報誌で根気よく探していました。
万が一、新卒で就職した企業が肌に合わなかったり、第一希望の企業に就職できくても大丈夫。中途採用のみの優良企業もありますし、自分で独立をしたり、誰かとチームを組んで理想の会社を作るという選択肢もあります。(ちなみにもし起業をするのなら、経験よりも体力が必要なので早い方がおすすめです)
長い人生、やり直しは何度でもできます。
今はインターネットのおかげで、仕事の内容もスケールも、住んでいる場所で制限されない時代。
「人生の大半を過ごすならどんな環境に身を置きたいか?」という視点で考えても良いかもしれませんね。
学生の皆さまが素晴らしい仕事に出会い、生き生きと自分らしくご活躍されることを、心より願っております。