コミュニケーション力はコンテンツ力
「どんな人材を求められますか?」と求人企業の担当者の方にお伺いすると「コミュニケーション力のある人」という答えが返ってくることが多いと感じています。たしかに、学生諸君の話を聞いたり文章を見たりしていると、ひと通りの敬語を使いこなしたり、文章の起承転結を考えたり、といった大人としてのコミュニケーションがうまくできない人もいるのは事実です。
学生生活を送る中でアルバイトやボランティア、インターンシップなどの機会で社会に出る訓練を積んでいる人も大勢いますが、大学の中で同世代の仲間とのつきあいが多くて、なかなか実際の社会で通用する言葉づかいや文章、大人としてのマナーが身についていないという人もいます。そういう場合、かなり意識してコミュニケーションの勉強をしなければなりません。
しかし、これらはあくまでもコミュニケーションの「うつわ」です。うつわだけが立派でも中身が貧弱だと料理も楽しめません。では、エントリーシートや面接の場で相手に伝えていく中身とはいったい何でしょうか。それは大学生活で最も時間やエネルギーを使って学んだり、経験したり、気づいたりしたこと、そしてそれを生かしてこれから仕事をしていきたい、という「あのこと」です。
それは苦労して達成した勉学の「あの」成果かもしれないし、これから取り組む卒業研究の「あの」テーマかもしれない。仲間と汗を流しながら勝ち取った「あの」感動かもしれない。例え話で言えば相手に味わってほしい料理そのもの、人事担当者や面接官に語るべきコンテンツ、それをしっかりと固めて会話や文章といううつわに盛ることで、力のあるコミュニケーションが実現するのではないでしょうか。