|

「J-SOX法」「日本版SOX法」という言葉をニュースなどで耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今年からのスタートに大手企業は大わらわで、会計士やコンサルタントも絶好のビジネスチャンスとして積極的に活動を始めています。
実際、どのようなものなのでしょう?
それを知る前に、まず誤解を解く必要があります。
「J-SOX法」「日本版SOX法」という法律はこの世に存在しないのです。なにかの法律の言い換えですらありません。
会社法と金融商品取引法の一部が内容的には当てはまりますが、かといってこの2つの法律がJ-SOX法というわけでもないのです。
実をいうと、2006年に施行された会社法の中に書かれている「内部統制」、そして2009年3月期施行の金融商品取引法の中にある「内部統制報告書の提出の義務」の部分が、世間でいわゆるJ-SOX法と呼ばれているものなのです。
つまり正しくは、金融商品取引法の中で義務づけられた内部統制報告書を提出するための対応の仕方、が「J-SOX法」の中身といえるでしょう。
アメリカではひと足先に「SOX法(サーベンス・オクスリー法)」がスタートしています。それと役割が似ていることから、マスコミや専門家が、その名前を借りて法律でもないのに「J-SOX法」と呼んでいるのです。

会計の不祥事、コンプライアンスの欠如など、昨今の企業では不祥事が相次いでいます。
それを防ぐため、上場企業と連結子会社に会計監査の充実と内部統制の強化を求めることにしたのです。そのあらわれが、「内部統制報告書提出の義務」というわけです。
アメリカではエンロンなど大企業の不正が社会問題にもなったのを受けて、SOX法がつくられました。日本でもそれを参考にしたのです。
この中の「内部統制」というのは直訳風でなんだかピンとこない言葉ですが、ざっと次のような内容がチェックされます。
社風や経営陣のスタンスのように統制の基盤となるもの、内部統制を監視・チェックするモニタリング、情報システムや更新履歴などITへの対応、リスク評価や対応のシステム、責任の所在や手続きを明確にする統制活動、組織内の情報と伝達、などです。
これらについて報告書を提出しなければいけないのです。
たしかにこの制度を徹底することで、法令違反や誤った判断、情報の停滞、パワハラ・セクハラなどの社内トラブル、情報漏えいなどを防ぎ、損害や信用失墜を避けられる効果が期待できるでしょう。

ただし、そのための業務の改善や社員教育、制度を管理する専門家への委託料など、コストが膨大なものになって経営を圧迫するのではないかと心配されています。
また内部統制の仕組みに縛られ、柔軟なビジネス展開や組織改善が損なわれる、というデメリットも生じるかもしれません。
実際、先行するアメリカでは企業の大きな負担になっている、とSOX法への批判が相次いでいます。
また上場企業の支配下にあるすべての企業が報告書提出義務の対象となるので、上場企業から投資を受ける小規模なベンチャーなども対象になりかねないのです。
今年からの施行では、すぐに効果は現われず、むしろ混乱気味の試行錯誤のスタートになるかもしれません。
とはいえ、利益優先、弱者切り捨ての風潮がはびこり、企業社会のモラルが損なわれているのはたしかです。
「J-SOX法」がその流れを変えてよい方向へと向かわせるかもしれません。
|