業界リサーチ2018

業界インタビュー/建築・不動産

株式会社 安江工務店
代表取締役社長 安江博幸氏

ロハスな家づくりに定評がある安江工務店。成長分野と言われるリフォームをメインに地域密着で出店を進める同社代表の安江博幸氏から住宅・リフォーム業界の動きを聞く。

住宅業界の現状についてお聞かせください。

住宅業界は税、金利、少子化をはじめ、社会環境の変化などを受けやすい業界です。新築住宅の着工件数は、この数年ゆるやかながら伸びています。2014年4月から消費税が8%に上がりましたが、その前段階では駆け込み需要の恩恵を受け、リーマンショックの打撃を受けて以降、最大値を記録しました。2015年度は、前年比4.6%増ということで、2年ぶりに90万戸台に回復。しかし、その先を予測したデータを見ると、ジワジワと右肩下がりに。原因としてはやはり少子化の影響が考えられます。単純に人口が減っていくと、住居もこれまでのように新設する必要がなくなるというわけです。

新築住宅の着工は、この先減っていく。
業界は再編の時代へ突入。

この先は低迷が考えられるということでしょうか?

確かに人口と新築着工件数の右肩下がりが予測されている現段階では、明るい未来は描きにくいかもしれません。ただ、住宅業界は、戸建、マンション、そして、当社の売り上げの中核となるリフォーム・リノベーションなど、事業分野がわかれています。特にリフォーム・リノベーションについては、住宅業界の中でも価値が見直された分野。国の施策で中古住宅の流通が促進されていることもあり、成長の余地があると捉えられています。ハウスメーカー以外にも住宅設備メーカーなどが参入してきました。これから質が高いサービスをもった会社、こだわりのある会社が生き残る時代ですね。変化や再編がスピーディに起こりうる可能性も十分あると考えられ、個人的には楽しみです。

どのような変化が起きると思われますか?

中小の会社が大きくなり、大手と資本提携を進めたり、M&Aに乗り出す会社が増えたり。外食業界のように多様化が進み、より趣味性の高い設計・施工を得意とする会社が現れる一方で、幅広い設計・施工を手がけ、チェーン展開を推進する会社も現れると推測します。実は当社も上場の実現を事業拡大のひとつの選択肢として考えていまして、そのための会社基盤の整備にも取り組んでいます。

リフォーム・リノベーション分野は成長市場。

これから躍進しようとする御社の強みをお聞かせください。

当社は、愛知県内で集中して出店し、地域密着で住まいのあらゆるニーズに対応しています。以前はハウスメーカーの下請けが売上の中心でしたが、リフォーム事業に参入して活路を見出しました。新規のお客様だけでなく、リピートのお客様が多いのが、自慢です。近年、家族の健康のために自然素材を使いたいというお施主さまの声を多くうかがうようになりました。こうした思いを実現するのは当社の得意とするところ。他社との差別化のために、漆喰を自社で開発し、床や壁面に使用する石材を海外の石材会社と直接交渉して輸入することで仕入れコストをダウン。いいものを適正な価格で提供しています。

起こりうる変化や再編。これらを楽しみと捉えたい。

それでは最後に就活生へのメッセージをお願いします。

実は石材の輸入には新卒入社の若手女性社員が大きく関わっています。その社員は、英語が堪能とのことで、持っている語学力をぜひ生かしてあげたいと思っていました。そこで建材輸入を始めることになり、彼女を担当者として抜擢したのです。「学びが生きた」と話す彼女の笑顔が印象的でした。また、将来独立を考えている社員もおり、本社に配属して投資家に向けた財務情報を発信するIRのポジションについてもらいました。経営的知識を育んで、未来に備えてもらいたいと思っています。つまり、当社は能力や自身の進みたい道に合わせたチャンスの創出を実践する会社なのです。今後5年をかけて20店舗体制にする予定ですので、まだまだ人材については、積極的な採用を行いたいと思っています。

株式会社 安江工務店

リフォームを事業の柱に、住まいづくりに関するあらゆる相談に乗る中堅ビルダー。漆喰や無垢材、天然石など、自然素材を使ったロハスな家づくりを提案。愛知県内に10店舗を展開し、大名古屋ビルヂングにもショールームがある。

創業/1970年(昭和45年) 設立/1975年(昭和50年) 資本金/3840万円 売上高/41億3000万円(2015年12月期)

http://www.yasue.co.jp