業界リサーチ2018

業界インタビュー/リユース

株式会社 コメ兵
代表取締役社長 石原卓児氏

日本最大級のリユースデパートを運営するコメ兵は、リユース市場を切り開いた先駆者だ。現在、盛り上がる業界を俯瞰して、代表の石原卓児氏が今とこれからを冷静に語る。

消費低迷が叫ばれていますが、リユース業界は堅調な伸びと聞きます。実際はどうでしょうか?

確かに伸びている業界です。多くの業界の企業がリーマンショックの影響で2009年は売上を大幅に落としました。しかし私たちリユース業界は、それ以降も活況をキープし、今日まで右肩上がりです。リユース業といっても、当社のように店舗を構え、B to Cを基本に商売をしている企業もあれば、スマホから誰でも気軽に売買が楽しめるアプリを開発し、C to Cの商売をしている企業もあります。このアプリを通じた売買形態が近年リユース業界をさらに盛り上げています。また、実店舗ではなく、ネットにおける通信販売も軒並み好調。もちろん当社もネット販売には力を入れており、全体売上の15%を占めています。

リユース市場は、リーマンショック以降も活況。

東海エリアでのリユース業界事情についてお聞かせください。

昨年度の売上トップ3のうち、2社が東海エリアに本社を構えており、うち1社が当社です。また、トップ100社の中で東海エリアに本社を置く企業は全部で15社あります。当社は地元名古屋だけでなく、2003年から全国展開を本格化させました。一方、他府県で店舗展開していた他社が、近年になって東海エリアでの店舗展開をはじめ、まさにこのエリアは群雄割拠。かつてない盛り上がりのムードを感じさせます。

御社ならではの強みとは何ですか?

当社は2017年に創業70周年を迎えます。他社よりもこの業界における経験値は豊富だと言えるでしょう。長らく売買を続けてきた中で、各ブランドやアイテムが持つ潜在的な価値や真贋を見極める力が備わりました。この力は情報として蓄積され、バイヤーからバイヤーに受け継がれています。それと同時に、教育プログラムも確立。学ぶ気持ちが強ければ、誰でもバイヤーとしてスムーズに買取り現場に立てるようになりました。バイヤーが買取ったモノは、のちにコメ兵にとって大切な商品となります。つまり、買取りを手がけるバイヤーが、商品を毎日仕入れているというわけです。商品は買う側にとってお金を払う価値がなければなりません。価値あるものを適正価格で買取り、次の方へ新しい価値としてお届けする。その中継点としての重責を担っているのがバイヤーです。そう考えると、バイヤーは当社にとって要中の要であり、その強化に取り組み、目利きのすぐれたバイヤーを常に輩出していることも当社の大きな強みと言えます。

商材確保で力を発揮できる企業が今後を生き抜く。

今いただいたお話以外の強みもぜひ教えてください。

バイヤーの強化とともに成長のエンジンとなっているのが、商品センターの存在です。2012年に完成したこの施設は、コメ兵全店で買取った商品が店頭に並ぶ前に集積される拠点。集まった買取り品は一度真贋チェックがなされ、機能や外観の検査・補修までの過程を経て、美しく生まれ変わった上で各店に送られます。センターが確かな品質を保つ任務を遂行することで、買う側にとって満足度の高い商品を提供することができるのです。

ズバリ、今後の業界を生き残るには?

より幅広くスピーディに店舗を全国展開している他社も多いので、どのリユース会社も商材を切に求めています。言い換えれば、商材確保に力を入れられることができるかどうかが今後の競争を勝ち抜くためのポイントです。だからこそ、買取り現場の最前線に立つバイヤー育成は今後も突き詰めるべきだと考えます。

最後に、御社が掲げる「求める人物像」をお知らせください

ひと言で申せば「コツコツ完遂型」の方です。今、新品で販売中の商品も数年後には中古品となる場合がありますから、常に商品知識はバージョンアッップさせる必要があります。つまり、勉強に終わりはないのです。従いまして、地道な努力を惜しまず、物事を前向きに捉え、困難にも諦めることなく取り組む。そういった方を求めています。

株式会社 コメ兵

リユース業界のけん引役として業界の底上げに大きく貢献。ジュエリー、時計、ブランドバッグ、衣料品などを売買。2003年、地元名古屋から本格的に全国展開に着手。

創業/1947年(昭和22年) 設立/1979年(昭和54年)5月 資本金/18億378万円 売上高/459億円(2016年3月期)

http://www.komehyo.co.jp