こんにちは!名大社の梅原です!
もう既にGWに入った方もいるかと思いますが、皆さんはどのように過ごす予定でしょうか?
ちなみに私は、家でゆっくりすることで忙しいです!笑

 
ゆっくりすることで忙しいなんて矛盾があるじゃないか!?そんな声が聞こえてきそうですが、自分にとっては、ゆっくり過ごして、リセットする時間は大切なんです。
友人と遊びに行ったり、旅行したり充実した時間を過ごすことも楽しいですが、時には自分に向き合って、まったり過ごしてみてはいかがでしょう?私はゆっくり読書でもしようかと思っています。
読書は結構好きで、幅広いジャンルの本を読みます。最近では、ずっと気になっていた就活を題材にした小説を読んだので、せっかくの機会ですし、ここで紹介したいと思います。

おそらく読んだことがあるという方も多くいらっしゃるかもしれませんが、朝井リョウさん原作の「何者」という作品。
朝井さんと言えば、「桐島、部活やめるってよ」と答える方も多いと思いますが、私はこの作品が1番好きかもしれないです!
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この小説は、のちに作者が説明していますが、「就活小説」ではなく、「就活をしている人達の小説」。
だからこそ読者、特に現在就活をしている人の胸に刺さります。

ホンネとタテマエを巧みに使い分けながら、高らかに自分という人間を表現しなければならない就職活動。
そんな初めて経験に戸惑った時、一番近くて頼りにしやすいのが同じ就活生。
ですが、その就活生どうしの関係性というのも、スタート地点が一緒であるがゆえに、時として嫉妬や劣等感、優越感、対抗心など、複雑な感情が入り乱れるもの。近いようで遠い・・・ 実は壊れやすい関係だったりするのかもしれません。
そのような状況下で、就活生が一度はぶつかる壁と言っても過言ではないのが、本当は自分は『何者』であるのかという問題です。
同書の主人公も、人知れずその問題に苦悩しています。そんな主人公を悟った、ある登場人物(誰かというのは、ネタバレになるので伏せておきます)が言い放ったセリフを紹介します。

「いい加減気づこうよ。私たちは、何者かになんてなれない」

「自分は自分にしかなれない。痛くてカッコ悪い今の自分を、理想の自分に近づけることしかできない。みんなそれをわかってるから、痛くてカッコ悪くたってがんばるんだよ。カッコ悪い姿のままあがくんだよ。・・・(以下略)」~P264より~

自分の言葉や行動に責任を持ち、一度決め込んだらこうしなければならない。それが自分のアイデンティティなのだから。
固い信念を貫き通す人はカッコいいですし、尊敬すべき人間だと思います。

けれど、人は一通りの信念でずっと生き続けられるものなのでしょうか。
思っているよりはるかに、人間の心は複雑なつくりをしていて、いろいろな面があるんだと思います。もちろんカッコいいところも、カッコ悪いところも。自分のいろんな面を認めて、受け入れて、そうしないと前に進むことはできない!自分に無理をして「何者か」になろうとする必要はない。そんな強いメッセージを感じる一冊でした。

ちょうど、現在就活中の16卒学生さんには、非常に共感しやすい内容になっているかと思います。ちょっと就活に疲れてきた、迷うことがある、そんな方は、気分転換に本屋へ行って手に取ってみるのもよいかもしれません。
読み終わった頃にはきっと、スッキリした表情になれるはずです!