こんにちは、神谷です。

今回は、こちらの本について。

『女性の視点で見直す人材育成』
中原 淳/トーマツ イノベーション(ダイヤモンド社)

半年ほど前、この本の内容に触れたセミナーを聞く機会がありました。
とても興味深いお話だったので、
もう少し深掘りするために読んだ一冊です。

本書では、約7400人の男女を対象にリサーチを行い、
そこから見えてきたデータを読み解きながら、
「女性が活躍できる職場とは?」ということについて考察しています。
女性活躍の事例や経験談を取り上げたものはよく見ますが、
データを基に論じられているものは珍しいと思います。

 

言うまでもなく、女性活躍は昨今の大きなテーマ。
社員の約半数が女性である名大社にとっても、重要な課題と言えます。

でも「女性活躍」って、そもそもどういうことなのでしょう?

本書では、「女性の活躍」を次のように捉えています。
そのまま引用させていただくと、

1)(女性本人が望むのであれば)働き続けたい女性が、企業においてより安定的・長期的に働き続けられる状態
2)(女性本人が望むのであれば)成果を出して社会的上昇を果たしたいと思う女性が、企業においてパフォーマンスを発揮し、職位を上昇させられる状態

単に女性の管理職を増やすぞ!と考えるのと
このように捉えるのとでは、
当然、アプローチの仕方が違ってきますよね。

安定を望むのであれ、社会的上昇を望むのであれ、
本人の”働きたい”という意欲に目を向けること。
当たり前のようで、置き去りにされがちな一面だと思います。
その意欲を低下させない、そして高めていく、
そのための取り組みが必要ということになります。

もうひとつ、個人的に納得感があったのが、
置かれる立場や役割(スタッフ、リーダー、管理職、ワーキングマザー)
によって、女性が抱える課題や不安、気持ちは違ってくるということ。
それが調査結果として示されているのですが、
私自身がこれまで感じてきた思いと重なる点が多いのです。
読みながら、とても共感できました。

 

本書の本題である、
どうしたら女性が活躍できる(意欲を持って働き続けることができる)職場が作れるか?

ごくシンプルに言ってしまうと、
型にはめるのではなく、”その人”に向き合ったアプローチをしていくこと、
そしてその職場はみんなで作っていくものだということ、
こんなふうに私は理解しました。

これって実は、女性だけでなく、職場で働く人みんなに当てはまることです。
先述のセミナーにて中原氏は、
「働き方が多様化する中で、
女性が働きやすい職場作りは、誰もが働きやすい職場作りにつながる」
というようなことをおっしゃっていて、
なるほどー!と思ったものです。

 

本書で言われていることが全てではないとは思いますが、
知っておくことで、自分自身の気持ちとの向き合い方とか、
課題を抱える人へのアプローチのヒントになるのかな、と思います。

人事や管理職の方だけでなく、男性も女性も、
それぞれの立場で、それぞれの感じ方ができる一冊だと思います。
ご興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。