こんにちは、安田です。

ハチに魅せられてから昆虫に興味を持ち、最近はバッタの本を読んでいました。

 

 

コロナに隠れて話題に上りませんが、アフリカでの大発生に端を発したサバクトビバッタ(以下、単にバッタ)の群れが中東を超え、インドにまで被害を及ぼしています。

国によっては今風に、ドローンを使って群れに対して薬剤を散布することで防ごうとしているとのこと。

深刻な食糧危機を及ぼしているというニュースを去年から見ていたので、気鋭の若手研究者、前野ウルド浩太郎氏の書籍を買いました。

↑の方がやや専門的。グロテスクな解剖図なども出てきて、ついて行くのにやや苦労します。

↓はアフリカでの研究生活を面白おかしく書いたもので、取っつきやすいです。

 

ウルドってなんじゃいな。何人(なにじん)なの?!という疑問を持ちますが、日本人です。

ウルドの名を得たエピソードも両書に収められています。前野の文才なのか、あるいは編集者が優秀なのか、とにかくコミカルで読み進めやすかったので、気になる方は是非。

 

 

さて、バッタの成虫は1日毎に自分の体重と同じだけの食料を食べるそうで、1トンのバッタは1日で2500人分の食料を消費すると前野は試算しています。

というわけで大発生すれば被害は大きいのですが、旧約聖書内の時代からバッタによる害(蝗害/こうがい)は存在しているにも関わらず、未だに有効な対策は見つけられないでいるそうです。

そもそもなぜ大発生するのか、突然に群れ、ふいに消えるのか、わかっていません。

筆者によると大量発生は数十年おきに起きるため、その間に忘れ去られてしまい、つまり研究費も途絶えてしまい、本来連綿と連なっているべき安定的な教育・研究活動が困難であるため、とのこと。

 

さて、この蝗害はサバクトビバッタ特有のものではなく、バッタに共通する「相変異」という現象に起因します。

バッタの形質には、「孤独相」と「群生相」があり、

バッタが単独あるいは少数でいるときは「孤独相」になって、緑色で大人しく暮らしています(普段草むらでみるやつです……うちの周りにはたくさんいますが、皆さんのご自宅の周りにもいますか…?)。

群れでは「群生相」になり、茶色で長距離を飛翔する体格となります。そして積極的に集まり、群れます。

 

では孤独相と群生相はいつどのように決定されるのか(成虫になってからカメレオンのように色が変わるわけではありません)……それが蝗害を抑え、あるいは予防するために必須の知識となりますが、前述の通り今まで研究が十分になされていなかったため、まだまだ謎が多いのだそうです。

 

 

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Facebookで読書記録をつけているのですが、その度に「また変な本読んどるな」と言われます。笑

ただただ知る・知識を蓄えることが面白いから読んでいるのですが、

併せて、石破茂さんが著書『国防』に書いていたことを思い出します。

 

 

「過去にはまったく要らなかった情報が、いきなり戦略情報にもなるわけです。」

「今まで情報本部ですら知らない存在だった機関や部署、例えば防衛研究所などが学術的に地味に研究していたテーマが、戦略情報となり、重要度が飛躍的に増すということもある」

石破茂(2005)『国防』新潮社 p.129

 

これはインテリジェンスの扱いについて触れている部分なのですが、初めて読んだ時は「そっか、どんな情報/勉強でも、いずれ何かの役に立つかもしれないんだな」と取りました。

 

アリの行動の研究が、組織論につながった例もありますし。

 

 

 

たぶん人生で得る知識のほとんどは、僕が日常生活あるいは職業人生を送るうえではそう役に立たないのでしょうが、活用するかどうかは自分次第ですし、そもそも学ばないことには活用のしようもないですから、これからも気の赴くままに読書を続けようと思います。