これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

映画「グラン・トリノ」

グラン・トリノ [DVD] グラン・トリノ [DVD]
(2010/04/21)
クリント・イーストウッド、ビー・バン 他

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このDVDを見終わった後、こう思った。
自分は正々堂々とした死に方ができるだろうかと・・・。
迷いのある人生は仕方ないし、それが当然だと思う。
この映画の主人公ウォルトも同様だ。変える事のできない自分の固定概念があり、それを否定しようとも生理的にも受付けない面がある。
しかし、自らの死と向き合う事と新たな目的を見出す事で、少しずつ変化が生じる。
それは自分の近い存在ではない。心が通う存在と出会うのはほんの偶然に過ぎないのかもしれない。
映画評を読むと”クリント・イーストウッドの最高傑作”と大絶賛の声が多いこの作品。
「硫黄島からの手紙」や「インビクタス」も同じような評価はされているとは思うけど・・・。
「ダーティーハリー」や「ペイルライダー」の頃のクリント・イーストウッドは(随分開きはあるが)、僕は正直あまり好きではなかった。しかし、何故か最近の作品は好んで見るようになってしまった。
僕には最高傑作かどうかはわからないが、これからまだ40年近くあるであろう人生とどう向き合っていくべきかを考えさせられる作品ではあった。
(ちょっと大げさだが・・・)
最初は全く意味を知らなかった映画のタイトル「グラン・トリノ」
映画を見終わって、深く理解した。

「若年者就業の経済学」を読んで・・・。

若年者就業の経済学 若年者就業の経済学
(2010/11/19)
太田 聰一

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若年者だけを対象に絞り込んだ学術書(この表現は誤っているかな?)は存在しただろうか。
その点にフォーカスされている分、その対極の存在となる中高年の就業が批判的に捉えられる面もある。
しかし、それは納得する面も多い。代表することとして、
例えば、若者がかじることのできるくらい中高年の脛が太いのは、若者の犠牲のもとに中高年の雇用が保障されてきた面があるという論議について、それを『置き換え効果』として、研究内容を公表している。中高年の雇用環境が若者の与える影響度の大きさを物語っている。
著者の太田氏は1964年生まれという僕と近い世代であり、中高年と若年者との狭間に立つ存在。どちらかと言えば若年者の味方として発せられるのかもしれないが、そこには感情的な面は一切なく、あくまでもデータ分析に基づいた論文なのだ。
僕自身が普段の仕事生活の中で感覚的に実感していることがまんざら間違いでないと、この難しい数式から判明する分析結果から分かっただけでも、本書を読んだ甲斐はあったかと思うが、全く知識として持っていなかったことも吸収できたのも良かった。
フリーターの定義が時代によって分かれていたなんて、恥ずかしいが知らなかった。
簡単に紹介すると、1991年の定義では、15歳から34歳に限定され、現在の就業がアルバイトまたはパートという呼称で、男性は継続就業経験が5年未満の者、女性は未婚と限定されていた。それが微修正を繰り返し、今では該当年齢も継続就業経験もなくなっている。
就職していない若年者を総称してフリーターと呼んでしまうこともあるが、それも十分注意しないといけない。
景気動向によって新卒時に採用環境は大きく変わるが、それがその後のキャリアに及ぼす影響も思った以上に大きく、その背景には先述に中高年の働き方の関連性が強い。
中高年の方が元気でいつまでも現役だということも手放しでは喜べなくなるのだ。
また、都心部と地方での就業意識の違いの項目にも、感心させられた。名古屋はどちらに分類されるだろうか?
このような大学で使用する教科書のような本書は、本来苦手な分野で遠慮したい気もあるが、自分のような立場の者は読んでおく必要があるだろう。

社長のデザイン

社長のデザイン 社長のデザイン
(2011/04/25)
日経デザイン

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この本書を読んで、素直に反省。
自分の想いは全然足りないと痛感した。
ここで紹介される企業は25社。創業社長を中心に事業を引き継いだ二代目、三代目の会社の製品やパッケージデザイン、社名ロゴへの熱いこだわりが表現されている。
顧客ニーズにとことんこだわったマーケットインの考え方もあれば、全く逆のプロダクトアウトの考え方もある。共通しているのは、何れにおいても軸がぶれていないということ。
自分が目指す、会社が目指すデザインの方向性に一本筋が通っている。何を訴えかけたいかが明確になっているのだ。
それは製品やサービスの売上で上げるという基本中の基本から、社員のモチベーションを上げるという組織論にまで及ぶ。
社員が誇りを持って働く環境を求めるのであれば、デザインはより重要になるだろう。そして、それを決めるのは経営者の役割、責任なのだ。部門に任すなんて一見、聞こえのいいエンパワーメントは責任回避に過ぎないのである。
経営戦略においても切っても切り離せないのだろう。
本書に書かれている象徴的なのが、パーク・コーポレーションの井上社長の言葉だ。
「企業には5つの要素がある。まずぶれない核である社長がいて、そこにはパートナー、つまり従業員が集まってくる。その従業員がいい店を作り、そこにお客が集まる。利益はこれらが適切に形成された結果として生まれる。だから、デザインへの投資も半分はお客様のためだが、残りの半分は従業員のためにする。従業員が誇りを持っていれば、それはお客様へのよりよいサービスという形で生きてくるはず。」

42年の歴史を有する名大社。
これまでの文化や伝統を踏襲しながらも、今後のデザインを決めていくのが僕の重要な仕事であるのは間違いない。

川の底からこんにちは

川の底からこんにちは [DVD] 川の底からこんにちは [DVD]
(2011/02/26)
満島ひかり、遠藤雅 他

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まずは公式サイトが笑える。
主人公の作った社歌がいい。今どき、毎朝、社歌を歌う会社もそうないかとは思うが、悲壮な思いが込められた社歌を整列して歌うシーンは微笑ましい。
そして、この映画はPFF(ぴあフィルムフェスティバル)スカラシップ作品だ。PFFと言えば、自主映画を制作していた者にとっては特別な存在でもある。大学時代を思い出してしまう。
そういえば、自分が出演した作品も応募していた。残念ながら、入選しなかったけど・・・。青春の1ページだな。
「ぴあ」という雑誌は、僕が学生時代はまだ名古屋では発刊されていなかった。卒業ギリギリか就職して間もなく中部版が発売されたのではないだろうか。当時は喜んで雑誌を手に取り、映画やイベントのスケジュールをチェックしていたものだ。
しかし、その「ぴあ」もつい先日のニュースで休刊の報道がなされていた。時代の移り変わりを現す象徴的な存在になってしまった。
さて、この作品であるが、何が良いかってけだるい感じの主役満島ひかりがいい。きっと本当はすごく美しい女性なのだろうが、中途半端なダメさ加減が美しさを押し殺し、”中の下”の役を見事に演じている。
決して明るいテーマの映画でもないのに、見終わった後は、しみじみと温かくなる。
まあ、人間、頑張れば何とかなるということか・・・。
そして、どこまでいってもマイナー感が漂う。それもいい。
自主映画の香りが残った映画であった。
(映画の感想をほとんど書いてないな・・・)
ゴールデンウィークなんだから、もっとパーッとする映画を見るべきなんだけど・・・。

9割の会社は社長で決まる

9割の会社は社長で決まる! 9割の会社は社長で決まる!
(2011/04/09)
小山 政彦

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かなりベタなタイトルであるが、中小企業に当てはめれば事実でもあると思う。(大手も同様かもしれないが)
船井総研の会長がコンサルチックな専門用語ではなく、わかりやすい表現で執筆しているので、とても読みやすい。
経営者の心構えから組織のあるべき姿、お金の考え方、行動姿勢まで幅広く書かれている。僕のような新米経営者にとっては、チェックシートにして落とし込んで、一つ一つの項目をチェックしながら採点していくのもいいのではないかと感じた。
(実際はやらないとは思うが・・・)
日本の企業の場合、全体の98%は中小企業だという。本当に9割が社長次第で会社の行方が決まってしまうがはわからないが、大きなズレはないだろう。組織が小さくなればなるほど・・・。
これまで多くの経営者と仕事をさせてもらいながら、そのビジョンに共感したり、その人間性に惚れたりとトップが与える影響力はまざまざと見させられてきた。
自分には関係のないような傍観者のような表現をしているが、僕自身もまさにその該当者であるのは間違いない。そう思うとその責任の大きさを改めて痛感する。
ある知人との会食の場で「山田さんは会社をどうしていくのか?」と聞かれた時に「社員を守り、会社を潰さないことが自分の役割だ。」と答えたことがあった。
その時は「夢がないね。会社を大きくしていくことを考えないとダメじゃないの?」と言われ、自分の考えが誤っているのではとも考えた。
もちろんビジョンもあれば、どんな戦略で会社を伸ばしていくかの考えも持っている。
(大層な内容ではないが・・・)
ただ、このような経済が不安定な時期であれば、まずは会社を存続させることが重要だと考えているのだ。
それでは経営者失格なのだろうか?と自問自答している時に読んだのは良かったのだろう。この著書では「会社を倒産させない」のが社長の最大テーマと断言しているのだ。
やはり重要なことなのだ。自分の考えに少しだけ安心を覚えた。
どちらにせよ自分自身は未熟であるのは間違いない。毎日もがきながらでも精進していくしかないのだろう。
そして、ここに書かれているように60歳になったら引退するのが理想だろう。それまで頑張らねば・・・。

ユニクロ帝国の光と影

ユニクロ帝国の光と影 ユニクロ帝国の光と影
(2011/03/23)
横田 増生

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ここには、普段、ビジネス誌やマスメディアでは取り上げられていない柳井氏の経営者の非情な姿が描かれている。
しかし、僕はそれに違和感を感じたり、不思議に思うことはない。
経営者というのは(というよりも大きく会社を伸ばす経営者)、多かれ少なかれ、この著書で書かれている面は持ち合せていると思うからだ。
それは柳井氏であれ、孫氏であれ、三木谷氏であれ、自分で創業し新たな領域でマーケットを築いてきた方は、僕の想像以上に自己に対して厳しいだろうし、同等に他人に対しても厳しく要求をするだろう。時として、その他人を退職まで追い込むことも多い。
そこまですべきか、と批判的になる面は理解できなくはないが、僕は自分自身の持ち得ない力として、その経営者の姿に憧憬を覚えることもある。
その世界で頂点に立とうとすれば、得るものよりも失うものが多く、名声も名誉も途中段階は切り捨てる行為を取らねばならないと思う。
この著書でも、今現在の柳井氏の立場を、ダイエーの中内氏やマクドナルドの藤田氏らのかつてのカリスマ経営者とダブらせている。それはかつてのカリスマ経営者が没落の一途を辿るシーンと柳井氏が近い存在であると表現したいようにも思える。
それがあてはめる事ができるかは不明だが、それに値する象徴的な存在であるのは間違いない。
多くのカリスマ経営者が次代の経営者を育てられない点が柳井氏にも共通するのであろう。
いい意味でも悪い意味でも今後のユニクロからは目が離せない。
自分の反面教師としての捉えながら、その本質である経営も学んでいかねばならない。
最後のZARAとの戦略の違いもマーケティング的要素として面白かった。同じSPAのアパレル企業であっても、互いのスタイルは全く異なる。
トップの在り方を学ぶと同時に、グローバル展開の戦略も感じ取る事ができた。
一気に読めてしまう1冊である。

SOMEWHERE

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したソフィア・コッポラ監督の映画「SOMEWHERE」
たまたま頂いたチケットで観たのだ。決して関心がないわけではないが、きっと自腹では観る事はなかった映画だろう。
でも、観て良かった。
男はいつまで経ってもダメなのが良く理解できた。
ファーストシーンの長回しは、ジムジャームッシュの映画を思い出した(全く違うかもしれないが)。確か今から25年位前の話だし。
モノクロかどうかはともかく「ストレンジャー・ザン・パラダイス」をイメージ。全然覚えてないんだけれど・・・。(ストーリーが進めば全然違うのはわかります。)
少し観て気づいたが、主役は人気俳優の設定。
だらしがないそのスケベ男優とその娘の交流を描いたほんわかしたストーリー。僕とは環境は異なるとはいえ、父親の心境として、このダメダメ男優の主人公には共感する。
時に切ない。そして、美しい。
いろいろ起こるが何も起きていないのがこの映画だ。プールサイドでシートを倒し、娘と一緒に日光浴を楽しむ。そこには洒落た会話や行動があるわけではない。ボーッとするだけ。結局、男はそれくらいしかできない。
これも切ない。
ここに書いていることは、さっぱり理解できないと思うが、少しだけ自分とオーバーラップさせて観ることができた映画であった。
くどいと思うが、やっぱり切ない。

大人の流儀

大人の流儀 大人の流儀
(2011/03/19)
伊集院 静

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伊集院氏の著書を読んだのは、実に久しぶり。20代の頃は、小説であったり、エッセイであったりとちょくちょく読んでいたのに。
30代になると専らビジネス書ばかりで(この頃からつまらない人間になったのかもしれない)、小説は全く読まなくなり、著者の本も縁遠くなった。週刊誌もビジネス誌以外はほとんど読まないので(だから本当につまらない人間になった)、今回の著書の連載もにも全く触れたことはなかった。
久々に読んだ著者だが、抱いている気持ちは以前と同じ。
うらやましい。
自分とは真逆の生き方をしている。実に自由で束縛されず、自分のやりたい事だけをこなし生きているように思える。(決してそんなことはないはずだが・・)。そう思えてならない。
だからこそ、憧れてしまうのだろう。
自分もこんな生き方が出来たら、どんなにいいだろうかと・・・。
かと言って、考え方が全く異なるのではない。
人との接し方であるとか、若者に期待することであるとか、企業の価値は何であるかとか、共感する面は多いのだ。
それが本当の惹かれる理由なのかもしれない。
ビジネス書ばかり読むのではなく、この類の書籍も読まないと本当につまらない大人になってしまうかもしれない。
大切な大人の流儀も身につかない。
そして、読んで本能的に思ったこと。
銀座に行きたい!
それがどうした。(終り)

映画「告白」

告白 【DVD特別価格版】 [DVD] 告白 【DVD特別価格版】 [DVD]
(2011/01/28)
松たか子、岡田将生 他

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中学生の娘を持つ身としては、体によくない映画であった。
フィクションで現実味のない物語でありながら、現実の世界もオーバーラップさせてしまう恐ろしさが潜んでいるようでならない。
それは、いじめを起こす集団心理や匿名性の高いネットの影響、人間のエゴなど、今、実社会が抱える問題を暗く尖った映像を通して映し出しているように思えたからかもしれない。
それだけの緊張感とインパクトがこの映画から発せられていた。う~ん、やはり怖い。
映画評を読んだりすると、原作の素晴らしさが忠実に描かれた傑作と評されているケースもあるが、小説をほとんど読まない僕にはそれはわからない。
ただ思うのは、確かにストーリーの構成も巧みな映像も、松たか子の感情を押し殺した演技もとても良かったし、映画賞総ナメも理解できるが、これが傑作となるとちょっと困るなということ。
あまりにも絶望すぎる。作品の意図としては「な~んちゃって」というセリフでその絶望感から脱しているのかもしれないが・・・。
凄い映画だったと思うと同時に気分も暗くなった。
しかし、見なければならない映画だとも思う。子供には見せたくない映画でもあるが・・・(R15だから大丈夫だけど。)
何だか書いていることはメチャクチャだな。
これで、松たか子の印象も随分と変わった。
CMで見せる穏やかな表情とは全く異なり、これまで見たことのない冷酷な表情。
きっとドラマでは演じないんじゃないだろうか。
よしっ、次は「悪人」だ。もっと気分が暗くなるかもしれない。
一人で深夜にこっそり見るとしよう。

「挫折力」を身につけよう!

挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書) 挫折力―一流になれる50の思考・行動術 (PHPビジネス新書)
(2011/01/19)
冨山 和彦

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3月23日に行われた学生支援を行うためのワークショップ型のイベント。
ここには、就職活動がうまくいかなかった学生や一旦は働いたものの会社と噛み合わずやめてしまった若者が参加していた。どちらかといえば、就職活動や働くことに挫折感を覚える方が多かったように思える。
そんな若者の前でイベントのスタート時に挨拶をさせてもらった。
何の気休めにもならないかもしれないが「世の中で成功している人は、みんな失敗している。多くの挫折を経験している。だから自信を無くす必要なんて全くない。」というような内容の挨拶を。
どう響いたかはわからないが、失敗したからこそ成長につながる人生があるというのも事実。
僕自身も3年前に大きな挫折を経験している。
(そのことは何れブログにでも書きたいと思う。)
それでも何とかやってこれているのだ。
そんな挫折を経験することが重要だと示してくれるのがこの著書。著者の冨山和彦氏は、以前に「会社は頭から腐る」を読んで感銘を受け、機会があれば話を伺ってみたい方だ。そこでもすさまじいことが書かれている。
その冨山氏が自らの挫折経験を経て、今の立場を築いてきたそのリアルさは説得力がある。冨山氏に比べれば、まだまだ挫折力を磨き足りない自分ではあるが、これを読む限り、僕がこれまで経験した挫折は決して無駄ではなかったのではないかと思わせてくれる。
この著書を読んだ直後のイベントであったため、あんな挨拶をしたのかもしれない。
実際にこのイベントを運営してくれた連中の話を聞いていると彼らもいろんな挫折を経験していた。そして、その挫折をバネに乗り越え、今のイキイキとした人生を送っているように思える。まさに挫折力を磨いて強くなっていたのだ。
そうだとすると、この著書はキャリアがある方だけでなく、これから社会に出ようとする、もしくは社会に出たばかりの若者が読むのもいい学びになるはずだ。
書籍の冒頭に書かれているように、「挫折力」を磨くと、打たれ強くなる。過去をリセットできる。敗因を分析し、次に戦いに活かせる。自分という人間がよくわかる。
挫折に対して、とても前向きになれそうじゃないか。何も恐れることはないじゃないか。
失敗し自分はもうダメなのかなと感じた時に読むのもいいのかもしれない。