
少し前に第一弾「ベテラン」(2015年制作)が限定公開されていた。
映画館で観ることはなくネット配信で鑑賞。
想像以上に面白かった。
韓国映画は「犯罪都市」シリーズといい刑事ものが目立つように思う。
「犯罪都市」のマ・ドンソクはみるからに強くバッタバッタと悪党を倒すので痛快。
本作の主役ファン・ジョンミンはそこまでではない。
しかし、映画の動きでは間違いなくアクション俳優。
「ソウルの春」を観て演技派俳優と思ったが、そうでもないのかな。
この「ベテラン」シリーズの監督はリュ・スンワン。
韓国映画界では好きな監督。
「モガディシュ 脱出までの14日間」も「密輸 1970」も抜群に面白い。
こんな作品が並ぶと超娯楽大作で日本は後れを取る。
かなり心配だ・・・。
そんな流れもあり本作を鑑賞。
前作は「財閥の横暴」に切り込んだが、今回は不条理な司法制度に切り込む。
単に娯楽大作で終わらず社会への批判精神も監督の特徴かもね。
それを想像を超える展開で観る者はハラハラさせられる。
序盤は前作と比較し物足りなさを感じたが、途中から一気に叩き込む力強さ。
ネタバレしない程度に解説しよう。
法で裁かれない悪人を標的にした連続殺人事件が続き、
その犯人は世間からは正義のヒーローと扱われる。
事件を追うのはファン・ジョンミン演じるベテラン刑事ソ・ドチョルと新人刑事パク・ソヌ。
そしていつもの捜査班。
マスコミだけでなくインフルエンサーらも事件を追いかけ、
ネットではニュースが拡散される。
韓国のSNSの力は日本に比ではない。
(と思わせる)
「#彼女が死んだ」を観た時も感じたが、SNSの影響力は異常と思える。
本作もそこがカギとなる。
刑事は犯人の正義のヒーローを捕まえようするが、世間は犯人を応援する。
その中で事件が二転三転し・・・。
そんな流れとしておこう。
作品の終わり方も韓国映画らしい。
きっとそんなストーリーが韓国ではウケるしヒットに繋がる。
もっと韓国の俳優事情を理解すると楽しめるのかも。
お笑い系の役者や人気が上がる若手俳優、名バイプレーヤーも出演してそうだし。
そしてファン・ジョンミンの活躍はしばらく続くのかな。
次作も楽しみにしたい。
もちろんリュ・スンワン監督も。

予告編を見て鑑賞しようと思い、
レビューを読んで止めようと思い、
やっぱり向き合った方がいいと思い観た作品。
レビューには気分が悪くなるとか胸糞悪いとか書かれている。
確かにその通り。
決して気持ちのいい作品ではない。
描かれるのは1933年のヒトラー首相就任から第二次世界大戦終了の1945年まで。
ヒトラーとその宣伝大臣を務めたゲッベルスの半生を描く。
ドイツがユダヤ人への行為は語るまでもない。
本作は映画として製作された部分と当時の映像が混ざり合い、
事実が時間と共に経過していく。
当時の映像はユダヤ人の虐殺や死体が並ぶシーンも映し出すので観るのが辛くなる。
それがレビューの点数に繋がる要素もあるのだろう。
日本にはヒトラーやゲッペルスのような強烈な指導者はいなかったかもしれない。
しかし、その行動はほぼ同じ。
プロパガンダを仕掛け国民をあらぬ方向に誘導する。
不利な状況であっても認めることはなく扇動し続ける。
当時の日本とまるで同じ。
指導者は自分の権力を保持したいのか、誤った正義を貫きたいのか、突き進むしかない。
そして結果は・・・。
歴史は繰り返すというがこれからも同様なことが起きるのか。
恐ろしい。
ただどうだろう。
世界の指導者が本作を観て自分ごとと捉えれば間違った方向には向かわない。
そんな単純じゃないか(笑)。
作品の出来は個人の感覚なので様々だが、僕はこうした作品が一番勉強になる。
映画の楽しみ方としていいかどうかは別に「映画で歴史を学ぶ」ことができる。
上辺の知識に実際の人間関係や細かな行動をぶっこむと歴史的背景が具体化する。
なぜ、ドイツはあんな行動を起こしたのか?
そんなこともより見えてくる。
日本も同じような事実はある。
しかし、ここまで自らの過ちを忠実に表すことは少ない。
間接的に訴える作品はあってもより直接的な作品は少ない。
あったとしてもヒットしないだろうし。
そんな意味では真摯に向き合い、こんな作品を残すドイツはさすがかと。
目を背きたくなる映像にも正面から捉える。
歴史を描く作品なのでどんでん返しもトリックもない。
結果も分かっていること。
そんな映画を受け止めることも大切なんだろうね。

森達也といえば、僕の中では映画「福田村事件」であり、ドキュメンタリー作品を手掛ける監督。
「放送禁止歌」の著者でもある。
日本の暗部を抉り出す作品が多い。
そんな森監督が映画の評論をしているとは思わなかった。
帯にあるようにある種痛快、そして大胆。
その立場だから言えるのだと思うが、紹介する作品に忖度はない。
映画コラムニストを語る僕は基本的に作品を否定することはない。
駄作と思っても正面切ってそれをいうことはない。
少しでも映画の観客数が増えることを望んでいるし、
いくら駄作でも自分で撮る能力は持ち合わせていないから。
だからだろうか、本書はある意味、憧憬を抱きながら読んでいた。
その能力に対して・・・。
能力の違いは明らかだが、近しい面も多い。
大学時代に映画研究会で8ミリ映画を撮っていたこと。
頻繁に映画館に通っていたこと。
そしてほとんど大学に行っていないこと。
10歳年上なので時代は違うが同じような学生生活を送っていた。
それだけでも身近に感じたり・・・。
本書では「ニューズウィーク日本版」に掲載された90本の映画の批評が並んでいる。
2020年2月からの連載で比較的最近の邦画が中心。
但し紹介される映画は公開時の作品ばかりではなく昔の作品も多く一貫性はない。
最近の作品もメジャー作品よりはマイナー作品が並ぶ。
近年は僕もある程度網羅しているが、初めて耳にする作品も多い。
まだまだ知らない世界があるということ。
一部、アマプラやNetflixでも公開されているので、近いうちに観てみよう。
50年代や60年代の作品も含めて。
親しい監督仲間の作品も紹介しているが容赦ない。
どこがダメかを明確に指摘するので却って清々しい。
本業の方が作品を語ると視点も大きく変わる。
僕らただ観ている人には持ち合わせない感性なので新鮮だったり感心したり。
いい刺激を受けた。
少なからず同じような感想を持った作品もあった。
映画「悪人」に対しての批評は僕とほぼ同じ。
(なんだかエラそうだけど)
少しばかり嬉しかった。
このマニア向け映画批評の連載がいつまで続くかは知らないが、
これからも楽しみにしたい。
それよりも次回作を期待したいけど。

スパイ映画はほとんど観ていない。
特に理由はないが、「007」シリーズも、
「ミッション:インポッシブル」シリーズもほぼ観ていない。
いずれ観ようとは思うが、優先順位が後回しになってしまって。
興味がないわけじゃないのに・・・。
本作はスパイ映画ファンにとっては物足りないのかもしれない。
派手なアクションも壮絶な闘いもない。
先日観た「アンジェントルメン」の方が派手にやり合うので、
シンプルな見方なら断然面白い。
それはそうだが、個人的には非力な主人公が
頭脳を駆使して相手を陥れる方が好きだし面白い。
強靭な肉体で相手をバッタバッタ倒すのも悪くはないが、
僕は弱いヤツの方が共感できる。
だからだろうか。
ラミ・マレックが演じる主役チャーリーに惹かれる。
闘いも弱いし銃を相手に向ける勇気もないが、
それなりに強がりだし、相手に立ち向かおうとする姿勢はいい。
何より国とか組織のためでなく、奥さんの仇をとるための小さな動機がいい。
予告編では屋上プールが破壊されるシーンが流れていたが、まさにあの感じ。
得意の頭脳戦に上手く誘導し目的を果たす。
あんな罠をわずかな時間で仕掛けられるのは信じがたいが天才オタクゆえにできる技。
おかげで次にどんな作戦が組まれるのか予測できない。
アクション中心の映画よりもハラハラさせられる。
展開が早いので一気に観れるが、不思議に思った点がいくつか。
危険な状態に追い込まれ、間一髪で逃げる時もパソコンは持ち出せるのか。
いろんな通貨の国を渡り歩くが、すべてカード決済なのか。
あんなに人を殺しても最終的に逮捕されないのか。
あっ、ネタバレか(汗)。
そんな見方をしているのがアマチュアだったりして。
本物のアマチュアはそんなことは気にしない。
目的達成のためにひたすら頭を使い続け、大きな組織さえも巧みに欺く。
それでいいんだ。
本作は予告編を何度も観て観ようと思った。
内容は裏切られることはなかった。
映画的には人をバンバン裏切るんだけどね。

昨年観た「コヴェナント 約束の救出」もガイ・リッチー監督作品。
これはアフガニスタン紛争を題材にした作品。
本作は第二次世界大戦中の英国とナチス軍の争いを描く。
コヴェナントは社会派ドラマ的な要素もあるアクション映画だったが、本作も同じ。
ガイ・リッチー監督はこの類の作品を得意としているのか。
本作は実話がベースという。
それもチャーチル首相の下で非公式に結成された特殊部隊の戦いと解説されている。
加えて主役ガス・マーチは007ジェームズ・ボンドのモデルらしい。
あまり話題にはなっていないが、それだけで期待感が増すし映画通の興味もそそる。
そして、期待は裏切らない。
実話がベースと何度も頭に中で唱えなければ、
ハチャメチャな連中のやりたい放題の攻撃は単なるアクション映画。
もちろん過度な演出だろうし、あの人数であれだけのナチス軍に立ち向かうのは不可能。
フィクションの世界だから考えられる。
しかし、それがほぼ実話なら、とんでもない事実が隠されていたということ。
作品だけ捉えると英国が正義とは言い難い。
チャーチル首相は非難を浴びてもおかしくない作戦は無謀。
ナチス軍があんなにバッタバッタとやられると却って同情したくもなる。
ドイツ人が観たら、いくらなんでもやりすぎだと憤慨するかもしれない。
反対側の立場なら痛快で気持ちがいいだろう。
戦争映画は戦争の無意味さを訴えるのが理想だがそうならない。
ということは社会派ドラマと一切言わずアクション映画として観た方がいい。
まあ、007感覚で・・・。
本作の俳優陣は各々がエッジが立っていた。
そこも面白さの要因。
中でも輝いていたのが、マージョリーを演じたエイザ・ゴンザレス。
ナチス軍のルアー大佐をたぶらかす役だが、彼女がカッコよく魅力的。
その行動にはハラハラさせられるが、頭脳明晰で銃の扱いも見事。
ボンドガールに相応しいんじゃないの?
と思ってしまう。
いかん、最近の007は全く観ていない。
これを機会に観てみるか・・・。
ガイ・リッチー監督はテロップも音楽も独特。
まるで西部劇を観ているような感覚に陥る。
これも作戦だったりして。

情報誌VISAが送付されるようになって13~14年。
欠かさず読んでいるのは沢木耕太郎氏の「feel感じる写真館」。
いわゆるフォトエッセイ。
最新号を確認するとすでに196回連載されている。
年6回の発行なので30年程になるのか。
昔は毎月発行の可能性もあるが20年以上は間違いない。
その中の81篇が本書に掲載。
沢木氏の作品はほぼ読んでいる。
重いノンフィクションも好きだが、こうした日常を取り上げたライトな作品も好きだ。
本書は旅の途中で撮影した1枚の写真に500字ほどの文章が添えられている。
言い方は失礼になるが、隠し撮りの写真は多い。
大半は被写体に許可を取っているが、そうじゃないケースもかなりの数。
(と推測)
そんな写真から妄想した内容がエッセイとなる。

沢木氏だから許されるし認められる。
僕だってそれくらいできなくはない。
適当に写真を撮って適当に文章を書く。
それでお金がもらえるなら、こんな嬉しいことはない。
そんなことをいえば「失礼なことを言うんじゃない!」
と本人や周りから叱責を受けるだろう。
ここまで生きてきた背景が違うのだ。
沢木氏のそれは圧倒的な実績と妄想力の豊かで人を惹きつける。
当然といえば当然。
捉え方を誤ってはいけない。
81点並べられた写真はほぼ海外。
アジアやヨーロッパ周辺が多い。
名著「深夜特急」で辿った道のりを何度も何度も行き来しているように感じる。
昔の感覚と今の感覚、時代の流れを肌で感じながら写真に収め想いをまとめる。
大きな事件を思い起こさせる写真はない。
ほぼ日常。
はにかむ子供。
老人の居眠り。
食事をするカップル。
本を読む若い女性。
夕日や夜景の風景も多い。
通り過ぎてもおかしくはない。
ごくありふれた場所。
海外だから特別に映るわけではない。
しかし、そのありふれた場所にちょっとした物語を載せると特別な場所になる。
本書はその連続に思えるから不思議だ。
1枚の写真から国の文化や環境を創造する。
それが「心の窓」ということか。
沢木氏はいつまで旅を続けるか。
いつまでも見ていたいけど。

かなり評価は難しい作品。
老女の人生を通し生きる上で大切なことを語っている気もするし、そうでない気もする。
深く深く考えると深い映画と捉えられるが、
何も考えずに観ると「で、なに?」となってしまう。
作者の意図はどこにあるのだろう。
深読みしたい気持ちもあるが、それだと映画を楽しめない。
所詮、人生はなるようにしかならないが、なるようにもなると・・・。
一歩踏み出す勇気と偶然の出会いを大切にしろとも受け取れる。
過去を振り返るなと言っているようにも思う。
本作は90歳を過ぎても第一線で活躍する草笛光子さんの草笛光子のための映画。
この年齢で主役を張るパワーはもちろんだが、映画を観る限り年齢の衰えは感じない。
普通に動けるしセリフも流暢。
まあ、主役だから当然か。
偶然、訪れた町のいわくつきの廃墟となったBARを復活させ、地域の方々との交流を描く。
ずかずかと遠慮もなく地域の人と繋がっていくが、なぜかみんな協力的。
年寄りだから優しいのか、不思議な魅力が伝わっているかは分からない。
敵に回す人たちもいるが構うことはなく、どんどんと突き進む。
そこは清々しいと感じるくらい。
そんな流れで無事にBARはオープンするが、それだけでは終わらず・・・。
といった流れ。
不思議なファンタジードラマという表現は適切だろう。
しかし、何かが足りない気がする。
最近の映画としては88分という短さで訴えきれなかったのか、
僕が出演者の意味を見いだせなかったのか、ぜひ、観て感想を聞かせて欲しい。
石田ひかりの必要性、ディーンフジオカのあの服装、
一体、どんな意味があるのだろうか。
モヤモヤが残ったのも事実だが、これも計算通りとなれば映画としては成功。
純粋に思ったのはあんな雰囲気の温かいBARに行ってみたい。
あの場所でぽつりと一軒建つBARでのんびりと飲んでみたい。
本作は入場口でこんなステッカーを配っていた。

ありがたく頂戴したが、どう使えばいいいのか。
これも教えて欲しい(笑)。

本作は日本映画とは言い切れない。
正確にはフランス・日本・ベルギー・スペイン合作。
先日の「エミリア・ペレス」同様、フランス映画の幅はどこまで広がるのか。
レアな題材を放置する日本映画への皮肉だったりして。
僕は写真家・深瀬昌久の存在を知らなかった。
僕が無知というよりはそんな日本人は多い。
映画化にはそれがネックとなり海外作品となる。
深瀬氏の生き様は映画化の対象に十分なり得る。
フィクションの要素はあるとはいえほぼ実話。
天才と狂人が紙一重なのは過激な人物像からヒシヒシと伝わる。
天才になるために自ら破滅の道を選んだとも思えるし、
天才がゆえに一般社会での生きづらさを露わにしているとも思える。
弱い人間なのに強がってみせるのも天才の特徴か。
本作は浅野忠信演じる深瀬昌久と被写体である妻・洋子を中心に一つの時代を描く。
洋子を演じるのは瀧内公美。
「敵」のインパクトが強かったのはつい先日のこと。
まだ4月というのに彼女が出演した今年の作品は
「敵」「ゆきてかへらぬ」「奇麗な、悪」(未鑑賞)と本作ですでに4本。
まさに最近稀な映画を中心とした女優。
「映画女優」と呼ぶべきか。
本作もその魅力を思う存分発揮していた。
破天荒な一面と真っすぐな一面を併せ持つ。
実際の洋子もそんな存在だったと想像できる。
そんな役を見事に演じた。
当面、日本映画は瀧内公美を離さないだろう。
大胆な演技もできるし・・・。
個人的には「敵」の役柄の方が泥沼に陥りそうで好きだけど(汗)。
話を戻そう。
一つの時代というのは1960年代から1990年代の写真家・深瀬昌久の活動。
ほぼカメラと煙草と酒の生活。
酔うために酒を飲むのか、酒を飲むから酔うのか。
いくら酒好きの僕でも彼の飲み方には共感できない。
酒に溺れるというより逃げる手段の酒だったようにも思える。
天才の弱さなのか。
天才の弱さと書いたところで尾崎豊を思い出した。
致命的な事故も似ていると思えるし。
本作は実話を忠実に描くのではない。
深瀬氏のもう一人の自分ともいえるのが時々現れるレイブン。
レイブンを訳すとワタリガラス。
あれはワタリガラスだったのか・・・。
映画では重要な役割を示すが、予告編やフォトギャラリーには出てこない。
もしかして僕が見たのは幻想?
ぜひ、確かめてもらいたい。
3月下旬、あるシンポジウムに参加。
どこの会で紹介されたか思い出せないが、たまたま時間が合い縁遠い世界と思い参加したのだ。
それは「生きづらさを抱え窃盗を繰り返してしまう女性を支える」
と題されたNPO法人くらし応援ネットワーク主催のシンポジウム。

参加した理由の一つは映画の上映があったから。
「塀の中で死なせない」という実在した元犯罪者の生きる日々を追いかけた記録映画。
作品自体は自主映画に近く出演者はほぼNPO職員で構成。
ここで作品の出来栄えを問うのではない。
主人公の山本ミカさんの出所から施設で働き、ガンで亡くなるまでの2年6か月を忠実で描くことで、
支援者と当事者の苦難が明らかになる。
なぜ窃盗犯は再犯を繰り返すのか。
普通の生活を営む僕らには理解しがたいことが映画を通し理解できる。
同時期に読んだのが、「貧困と脳『働かない』のではなく『働けない』」。

真っ先に感じたのが2つの作品は共通点が多いということ。
タイトルだけ見れば別の世界を描いているようだが、根本は同じと映った。
僕らは自分勝手に犯罪者も貧困者も自業自得と思う面が多い。
僕もある程度、理解しているつもりでも自己責任いう考えは否定できない。
しかし映画や書籍を通して一方的な見方は誤りだと感じる。
犯罪者も貧困者も最初から望んでなる者は一人もいない。
本書では貧困に至るには「家族の無縁」「地域の無縁」「制度の無縁」と記しているが、
犯罪を繰り返す人もこれに近い。
そのような生活を背景に発達障害に陥るケースも多い。
そして、世間はそうした人に冷たい。
理解したつもりの僕でもそんな方が身近にいたら普通通り接することができるか。
表面上はできても自分の中に潜む従来の価値観を覆すことは難しい。
ただこの現実を受け止めることを止めてはいけない。
更生させようなんて強い正義感や貢献意欲は持ち合わせていないが、
自分に関わる人たちが前向きになれる行動はとりたい。
シンポジウムでは名古屋拘留所の幹部職員が「女性の窃盗犯税について」というテーマでも講演。

女性の犯罪で一番多いのは窃盗で60代以上の割合が最も高いという。
金銭的な理由ばかりではなく精神的な理由も多い。
むしろ20代の犯罪は減少傾向。
これも今の時代を表すことか。
小林さんは受刑者の生き方を2つの映画をネタに説明された。
「すばらしき世界」と「ヤクザと家族 The Family」。
この説明はとても分かりやすかった。
なるほどと納得。
とりとめのないブログになったが、最近、少し感じたことを綴ってみた。
本当は自称映画コラムニストとして書きたかったけど。
貴重な機会を頂き、ありがとうございました。

東宝東和さんから試写会に招待され公開前に鑑賞。
本作がシリーズものであることは知っていた。
ただ過去に3作もあることは知らなかった。
映画コラムニストととして失格(汗)。
単純に恋愛映画だと捉えて興味が湧かなかったのが正直な話。
もっと内容を確認した上で観る観ないを決めなきゃいけない。
世の映画ファンのみなさん、勝手にバイアスかけてませんか?
僕は素直に反省しています・・・。。
第1作目は2001年の公開なのですでに25年近い年月。
第2作が2005年、第3作が2016年の公開。
かなり間隔の空いたシリーズがこうして続くのは貴重。
それも出演者はほぼ同じで同時進行で年齢を重ねる。
ブリジット・ジョーンズファンは一生追いかけて欲しいんじゃないかな。
今更で申し訳ないが過去の作品をこれから観ようと思う。
僕と同じような人は多くないか(笑)。
最新作を観て、作品の面白さに触れ過去を遡る。
正統派ではないがこんな観方があってもいい。
理想は1作から観て本作に臨むのがいいが、本作が初めても十分楽しめる。
共感したら過去の作品に触れてもいいわけだし。
いかん、本作の内容と関係ないことばかり書いてしまった。
肝心なのは本作。
ブリジットは二人の母親でありながらシングルマザー。
4年前に旦那だったマークを亡くした。
そこから物語がスタートし、新しい生き方を模索していく。
周りには旧知の仲間や以前恋仲になった男友達もいる。
このあたりは過去の作品を知っている方が理解は早い。
まずテンポがいい。
そして遠慮がない。
平気でセックスという言葉が飛び交うが、いやらしさは微塵も感じない。
むしろ健康的に聞こえる。
過去も現在もブリジットはモテるのだろう。
抜群の美貌でもスタイルでもない。
ストレートな性格が却って男どもには魅力に感じたり。
さすがにアラフィフにも関わらず、35歳というのは無理があると思うが(笑)。
いくつかの展開に観る側はハラハラさせられ吸い込まれていく。
あとは観てのお楽しみといったところか。
ブリジット役はずっとレネー・ゼルウィガー。
32歳役を演じた初回から今に至る。
シリーズファンは違和感のなさに感動を覚えるのではないか。
次回作は5年後?10年後?
本作よりどんな展開になっているのか楽しみ。
その際もぜひ、試写会にお誘い頂きたい。