書籍広告が気になってAmazonでポチると、結構な時間、入荷待ち。
今どきそんな売れている本があるのかとワクワクしながら待った。
僕は地方の自治体が次々にコンサルの餌食となり、
いいように吸い上げられるケースがいくつも紹介されるのかと思っていた。
ライトな展開を想像していたので、それを遥かに超えた。
久々に読んだ骨太のノンフィクション。
通常、こういった作品はノンフィクションライターが取材を積み重ね書き上げるが、
それとは似て非なる。
取材を積み重ねているが、この事件に絡む当事者でもある。
取材しながら自らの体験を綴っていく。
ジャンルは異なるが沢木耕太郎を思い描いてしまった。
著書の横山勲氏は河北新報の記者。
不可解な自治体の請負事業を追いかけ新聞記者魂を貫く。
特にスクープを狙っていたわけではない。
自分の信念に基づいて実態を解明したに過ぎない。
その姿に感動し、地方新聞もまだまだやれるんだと期待感を抱いた。
今、新聞社はどこも経営環境は厳しいはず。
発行部数は減り続け、知り合いの新聞記者はあと15年で新聞紙は消えるとも言った。
しかし、本書を読むと新聞社が根本的に持つ力は維持しなきゃいけない。
本作のメインの舞台となるのは福島県国見町。
正直、どこに位置するかも知らない。
だから狙い目なんだろう。
過疎にあえぐ小さな自治体をターゲットに、
そこに近づき公金を食い物にする「過疎ビジネス」が成り立つ。
地方創生と美しい言葉を並べ、結局は誰のためにもなっていない。
請け負ったコンサルが栄えるだけ。
そんな事実があちこちであるという。
もちろん大真面目に取り組み目指すべき姿が創られることもあるだろう。
だが、多くは予算を掛けた割には成果を見出せず自己満足的に終わることも多いようだ。
もしかしてほとんど?
その分野に関心がなく注視してこなかったが、
東海地域を見渡しても同じような失敗は存在しているかも。
著者は自戒を込めて発している。
予算がない場合、何も考えず行政の担当部署に電話し記事にすることもあると。
そう考えると読み手の力も問われる。
サ~ッと流すだけでなく読み込まないと。
普通に新聞を読むだけでは難しいが、本書からその必要性を感じた。
毎日、地方紙を読んでいる身としては一層、そう思う。
そして、地方新聞社にも頑張ってもらいたい。
読み応えのある書籍だった。


