実話をベースにした作品でなければ観ていなかった。
動物もの映画にさほど興味が湧かないのと感動させるのは容易だと思うので・・・。

学生時代、自分たちの主催するイベントに故大島渚監督を招いたことがあった。
ちょうど「南極物語」や「子猫物語」がヒットした時期。
大島監督は「人を感動させようと思ったら、動物を主役にすればいいんだ」
そんなようなことを言われていた。
その影響が残っているかどうか分からないが、これまで動物映画は避けてきた。

本作は実話がベース。
主役に近いペンギンは実際、そんな存在だったのだろう。
やはりズルい。
愛らしいペンギンは多くの人を巻き込み欠かせない存在になっていく・・・。
ついついそちらの方に惹き込まれて、感動的な物語が作られる。

しかし、よかったのはお涙頂戴というわけではなく、
社会背景が混とんとする中で生きる上でのメッセージがみられたこと。
単なる動物映画でない点は評価すべき。

舞台は1976年のアルゼンチン。
心に傷を持つ英語教師トムが赴任した名門学校で繰り広げられる出来事を描く。
サルバトールと名付けられたペンギンは重油まみれの状態をトムに助けられた。
トムは善意というよりはスケベ心から助けたに過ぎない。
上手くいくか行かないかはともかく南米は恋に陥りやすいのかな。
こんな出会いもいいかもね(笑)。
困ったトムはペット禁止の学校内に内緒で持ち帰り・・・。
そんなことでドラマが進む。

僕が動物に関心がないので分からないが、
その存在は人を優しくさせたり、ストレスを発散させたりするのかもしれない。
場合によっては大切な友人ということも。
犬や猫を飼っている知り合いもなくてならない存在のようだし。
だからこそ小さな物語で留まらず、本作のように大きな影響を与える存在になる。

本作は原作通りではないようだ。
社会派ドラマ的な要素が含めれている。
僕は却ってその方がよかった。

本作のタイトルは原題のまま。
まさにThe Penguin Lessons。
多くを教えてくれた。