一昨年、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」を観た時、
「いつかこんな時代になるのかも」と危機感を覚えながらものほほんとしていた。
そこから1年足らずでそれに近い状況になってしまった・・・。
アレックス・ガーランド監督は恐ろしいことを想像する監督。
時代を予測していたかのよう。

そこからの本作。
いやいや、とてつもなく恐ろしい。
想像ではないリアルに恐ろしい作品だった。

一般的に戦争ものの場合、大義名分的な正義があったり、
強烈なリーダーシップを発揮し組織をまとめる、
もしくは戦闘能力が高く敵をバッタバッタと倒す。
そんなヒーローを描く作品が多い。
または痛烈な反戦メッセージを込めた社会派であったり。
セリフの端々にもそれを感じさせる作品もある。

否定するつもりは毛頭なく、そこからの学びは多い。
いかに戦争が無意味か知るためには継続的に戦争映画を観る必要もある。
ざっくりと分ければ戦争映画は2種類。

しかし、本作はどちらでもない。
ドキュメンタリーではないが、フィクションでもない。
本作にヒーローは登場せず、かといって戦争批判のセリフもない。

2006年、イラク戦争で起きた一日の出来事を忠実に描く。
実体験をもとに、最前線の極限状態をできるだけリアルに再現しただけ。
面白いもつまらないもない。

目の前で起きる戦闘を当事者のように映し出す。
勝手に自分がその場にいる感覚となり、どう対応するのかと考える。
自分がいつ撃たれるか分からない。

冷静な判断ができるのか。
無理だ・・・。
その状況で平静を装い訓練通りの行動を行う。
それは無理だ。

僕が無理なのは当然だが、強靭な肉体を持ち訓練を積み重ねてきた特殊部隊でも難しい。
戦争にヒーローがいないのが普通で、その場で第三者的な発言もできやしない。
本作で見せつけられた映像が戦争の本当の姿。
前線に立つメンバーは本来の目的を見失うのが当たり前。
現実は恐ろしいだけ。

特に面白い作品ではないが観る価値はある。
静けさと低空威嚇飛行の恐ろしさが印象に残った。