Netflixで先月より配信されている本作を鑑賞。
まず思ったのは大きいスクリーンで観たかったということ。
映画館で上映すれば迫力や緊張感がより伝わる。
単純に劇場用映画として楽しめると思うが、それが日本映画の現実か。
樋口監督は映画会社に企画を持ち込んだがOKは出なかったという。
今や、壮大なスケールで面白い作品を作るならNetflixに持ち込んだ方がいいのかもしれない。
果たしてそれでいいのか。
ただでさえ韓国映画に後れを取っているというのに・・・。
日本映画ファンとしては大手映画会社に思い切った作品を作ってもらいたい。
本作の舞台は新青森から東京へ向けて出発した新幹線「はやぶさ60号」。
ほぼほぼ新幹線車内と総合指令所が中心。
JR東日本の協力がなければ成し得なかった。
JR東日本の寛大さにあっぱれだね。
ストーリーについては観ていない人も多いだろうから割愛。
車内での人間模様と秒単位で状況が変わる展開が見もの。
その後、比較の意味も含め、1975年製作の「新幹線大爆破」を鑑賞。
時速何キロ以下になると爆発する設定は同じだが、
時代に流れと共にストーリーは異なる。
感じたのは樋口監督の前作へのリスペクト。
前作の要所を新作にも反映。
大切にする気持ちがヒシヒシと伝わった。
前作は当時のキネマ旬報ベストテンで読者選出1位を獲得。
通常のベストテンでは7位。
高い評価を得ているが、大ヒットはしなかったという。
製作費を回収できず興行的には失敗だったようだ。
それが今にも繋がっているのか・・・。
う~む。
前作は新幹線車内よりも周辺の動きが中心。
高倉健や山本圭らが演じる犯人グループに焦点を当てる。
1970年代のやや荒んだ時代背景が爆破へ導く。
犯人グループに同情する面もある。
その点は新作との大きな違い。
敢えてずらすことで観るべきポイントを変えたのか。
前作のネタバレは許されるだろう。
犯人グループは結局、ひとりとして死なすことなかった。
厳密にいえば流産の女性はいるが・・・。
しかし、犯人グループは誰一人として生き残っていない。
悲劇的なラストが物語の切なさを象徴している。
樋口監督はそこに手を差し伸べたかったのか。
救いたい気持ちでストーリーを描いたのではないか。
これは僕の勝手な解釈。
前作から観るか、新作から観るか、どちらでもいい。
どっちが好みかもその人次第。
忠実にリメイクしていないのも楽しめる点。
せっかくなので両方観ることをおススメする。
個人的には役者としての森達也に注目して欲しい。
マニアックすぎるか(笑)