今日が長崎に原爆が落とされた日。
すでに80年が経過している。
僕は当時のことを報道や読み物や本作のような映画で知るだけ。

その度に思う。
このような悲劇を風化させてはいけないと。
口で言うのは簡単だが、実際、自分にできることは何もない。
その悲劇を扱った作品をブログとしてアップするだけ。
それだけでも自分の気持ちを強くすることができるし、
一人でも多く作品を知ってもらうことはできる。

本作は原爆投下直後の長崎を舞台に、被爆者救護にあたった看護学生の行動を描く。
学生はまだ17歳で看護学校からの帰省時に原爆が投下された。
本作は救護にあたった看護師らが被爆から35年後、手記にまとめたものを映画化。

ほぼ実話。
当時を語る方が減る中で貴重な体験。
こんな事実を歴史に留めておかなければならない。

当時の10代であれば日本の置かれた状況も表面的にしか理解していないはず。
大人のいうままに従い、それを信じて行動するだけのこと。
それが身近に死者が出るだけでなく、救われようのない看護に追われ、初めて現実に向き合う。
到底、冷静でいられるわけもなく、それでも自分の使命を果たしていく。
報われない日常が戦争の悲惨さを間接的に表現する。

戦争の被害にあうのは一般の人たちでそれを救うのも一般の人たち。
本作でも偉い軍人や政治家は誰一人登場しない。
現実とはそんなこと。
それが却ってリアリティを生む。

本作が海外で上映されることはないかもしれないが、
今だからこそ原爆の恐ろしさを知るいい機会だろう。
海外にも戦争に悲惨さを伝える作品は多く、この時期に公開されることもしばしば。

監督は松本准平氏。
長崎出身で被爆三世だという。
思い入れも強いはず。

以前観た「パーフェクト・レボリューション」といい、
未鑑賞だが「桜色の風が咲く」といい、
実話を基に製作することが得意かもしれない。

主役は3人の女優だが、気になったのは小野花梨。
大河ドラマ「べらぼう」では可憐な女郎役だったが、
本作では原爆に翻弄される看護学生を上手く演じていた。
長回しの台車を引くシーンの抑えきれない感情が見事だった。

夏休みは「鬼滅の刃 無限城編」ばかりの映画館だが、
こういった作品も多くの人に観てもらいたい。