主演女優は元「乃木坂46」の伊藤万理華さん。
僕は知らないが、プロフィールを見ればアイドル映画と思う。
しかし、それは映画を観る前段階で否定できた。

僕が観た映画館では年配のお客さんが多い。
若いお客さんからすれば僕もそこに属するが、僕から見ても年配者は多い。
元乃木坂46を好きなお年寄りは少ないはず。
それが本作の評価を明確にする指針になるのではないか。
男性客中心なのでアイドル要素が強いかもしれないが(笑)。

本作は映画ファン、それも自主映画に関わった人なら特別な存在になる。
なんせ舞台は高校の映画部。
僕も大学時代とオーバーラップさせながら、自分勝手に一喜一憂していた。
気持ちはメチャクチャ分かるのだ。

ネタバレしない程度に紹介すると主役は映画部の女性部員。
ハダシという名の監督志望の元乃木坂46。
自分たちで制作した作品を文化祭で披露する。

それは僕の学生時代と同じ。
学園祭に向け映画を作り、そこで発表するのが大きな目的となっていた。
そのために製作費をかき集め、ロケハンをし撮影(その前に脚本だけど)、
そして編集して1本の映画を仕上げる。
当時を思い出しながら映画を観ていた。

大きく違うのは制作もデジタル化。
本作では撮影もスマホで行っていた。
それには正直びっくり。
当たり前だが編集もPC。
時代の進化を感じた時間だった。

いいたいことはそんなことではない。

高校生が自らの夢に向かいながら葛藤する青春映画。
55歳を迎えた僕はこの手の作品に自分の気持ちが揺れ動かないと思っていた。
しかし、GW中に「アルプススタンドのはしの方」を観て、感受性が残っているのに気付いた。

青春映画で感動できる自分を・・・。
本作もまさにそれ。
自主映画出身者ではなくても主人公や巻き込まれる仲間に共感し、ウルウルしてしまう。
青春映画としてバッチリな作品。

それも10代、20代を喜ばせるのではなく、
50代、60代を喜ばせる青春映画にあたるだろう。
松本監督は自分たち世代をターゲットに置いていないはずだが、
結果的に観客をみれば間違いではない。

いい意味でターゲットを広げたね。
ある意味、不変のテーマなんだよ。

キラキラした好きとか嫌いはないが、
(いや、イヤミでそう演出してるか)
その真っすぐな向き合い方に僕は素直に感動。

ただ本作はごく一部の映画好きが評価する作品だと思う。
たまにはそんな作品があっていい。

僕が純粋に楽しめた映画だったから・・・。