これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

やめないよ

やめないよ (新潮新書) やめないよ (新潮新書)
(2011/01/14)
三浦知良

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カズが連載する日本経済新聞のスポーツ欄のコラムをまとめた1冊。
この書には掲載されていないが、最近の「黒いカバン」のコラムもとても面白かった。現役を続ける以上、このコラムも連載してもらいたい。
キング・カズこと三浦知良氏と僕は、同じ44歳、同級生である。
生まれがカズが昭和42年になるため、9ヶ月ほど僕が先だが、同級生であるのは変わらない。それも理由だろうか、とても刺激を受け学ぶ対象だ。
しかし、カズの存在を20代の頃は、正直なところ、あまり好きではなかった。パフォーマンスも鼻についたし、その言動も好感が持てなかった。むしろ、ゴン中山のひたむきさの方が共感できた。それが30代の後半あたりから応援するようになり、今では好きなサッカー選手の一人である。
そんなカズが連載を続けるコラム(この書籍)は、変わりゆく心境や環境が手に取るようにイメージでき、実に面白く読める。また、同世代のビジネスマンへのエールとも受け取れる。
とことん前向きなのだ。
この書籍を読む限り、カズは2014年ワールドカップ ブラジル大会の代表メンバーに選ばれる事を真面目に狙っているし、もっと上の選手になるためのトレーニングを積んでいる。その思いや行動だけでも尊敬に値するのだ。
そして、どんどん顔も良くなっていく様な気がしてならない。この著書の帯に掲載されている写真も若くカッコいい。このまま進めば、本当に50歳になっても現役を続けているのではと思ってしまう。
最近、凹むことも続いたが、この言葉にも励まされた。
「上を向いている限り、絶対にいいことがあるんだ」
まだまだやめられないよね。

「新ソーシャルメディア完全読本」も読んだのだ。

新ソーシャルメディア完全読本 フェイスブック、グルーポン・・・これからの向きあい方 (アスキー新書) 新ソーシャルメディア完全読本 フェイスブック、グルーポン・・・これからの向きあい方 (アスキー新書)
(2011/01/08)
斉藤徹

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先日の「キュレーションの時代」から、つながって読む書籍である。
この2冊とも同時にアマゾンで購入したことも、つながっている証拠であるだろう。
(本が届いた日は違っていたが・・・。売れ方はやはり違うんだね。)
立て続けにソーシャルメディア系の本を読むと、ここ最近ソーシャルメディアを通して世の中で起きている出来事が何となくイメージできる。いろんな意味において大きな可能性を感じる。
我々のビジネスにも無限の可能性を感じると同時に、方向を誤れば瞬く間に淘汰されてしまうであろう恐ろしさも感じる。これまで培ってきた信用を継続させるか、または失うかもこのソーシャルメディアの使い方次第で大きく変わってくるだろう。
そう考えると導入は比較的優しいとはいえ、マスメディアへの取り組みを行う以上に神経を尖らせないといけないのがソーシャルメディアだろう。全体的な企業の意識はまだまだ低いのだろうけど・・・。
この書籍はそんな意味合いにおいて、新たなマーケティング手法としても勉強になる。そして、これまで学んだマーケティングの手法は段々と過去のものへとなりつつあるのかもしれないと感じてしまう。
ただ、最終的な物事の判断は人が決めるものであり、パソコンやシステムやソーシャルメディア自体が判断するものではない。
ここにも書かれていた
「商いの原点回帰。ソーシャルメディア活用における本質的価値は、まさに古き良き時代への回帰なのです。」

「電脳化によって人と人、人と物がつながる未来は、むしろサザエさんに描かれるような暖かな未来ではないでしょうか。」
が大切であると考えたい。そして、それを信じて、このソーシャルメディアへの取り組みを行っていきたい。
勉強になりました。

キュレーションの時代

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書) キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
(2011/02/09)
佐々木 俊尚

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【キュレーション】
無数の情報の海の中から、自らの価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること。
恥ずかしながら、この【キュレーション】という言葉は、この著書で初めて知った。
他にもビオトーブ、アンビエント化、セマンティックボーダーなど、初めて耳にする単語がいくつも存在する。
自分が似非アーリーアダプターであることを痛感したが、そんな事はどうでもよく、この著書から学んだ点は多かった。
著者の佐々木氏は、いくつかの著書の中でマスメディアの消滅を予言している。その根拠を今回の著書では一番明確に著していると思う。
この作品を書き上げたのは、あとがきから推測すると昨年10月頃となる。その段階で、今、中東を中心に起こっている民主化運動は予測していなかったのではないだろうか。しかし、ここに書かれていることは、Facebookから始まった一連の行動に十分結びついていると感じる。
人と人との「つながり」が引き起こした最大の事実としての証明とも言える。
一年前には考えくかった著者のコメントが、すぐ目の前まで来ているのだ。
人と人とのつながりという点で言えば、僕がようやく使い方を覚えたFacebookもその象徴と言えるだろう。もう20年も会っていない仲間を発見し、お互いの近況に「いいね!」ボタンを押す事で、その20年の距離感を短縮させている。共有する話題からお互いに信頼関係を築いているのだ。
この事実だけでも、キュレーションと言えるのかもしれない。
これは個人の感覚ではあるが、今後ビジネスにおいても、このキュレーションというキーワードが大きな変化をもたらすであろう。
著者はあとがきの中でこう述べている。
広告も広報も販売促進もやがては一体化し、「どのようにして的確なビオトーブに情報を投げ込むのか」「どのようにして情報を発信するのか」といったことをポートフォリオを組んで分散させ、的確にコンサルティングできるような広告企業だけが生き残っていくのではないか。
なるほど・・・。
業界の関係者がこの文章にどれだけ危機感を抱くかは分からないが、少なくとも僕は、その可能性は高いものとして認識し、これから自分達が進むべき方法を考えていかねばならない。
佐々木氏の著書にはいつも考えさせられる。
その難解な(?)単語も含めて・・・。

孫正義の白熱教室

どこかで聞いたことのあるようなフレーズ。
ハーバードではなく、正義でもなく、東京大学でもなく、プレジデントである。この雑誌もタイトルに惹かれ、ついつい買ってしまった。ネーミングに弱い今日この頃である。
同じ経営者として全く別の世界の存在であることは重々承知している。それも手伝ってか、その動向や発言は気になり、つい手に取ってしまうのだ。
今回の特集では、孫氏がこれまで経験した激しいビジネスのシーンをケーススタディとして、自らが出題している。思考力を磨く30問の問いだ。
既に結果を知っている問いはどうしても結論から入ってしまうので、回答にはならないが、問題の中には全く無知の問いもあり、自分だったらどうするかな?と考えならが読んでいった。
「不振の合弁事業を解消しるさい責任はどうするか?」
「海外から強敵が参入した場合、組むか?戦うか?」など、グルグル頭を回しても、どちらが正しいか判断つかない問題も多い。きっと正解は結果からしか判断できないと思うが、その結果も本当はもっといい結果が出る場合も考えられる。
そう考えると孫氏の判断が全て正しいとは言えないと思うが、そのロジックが明確であるかないかは判断基準にはなる。
僕自身の正解率は、ざっと70%くらい。
正解率が高くても、そのビジネスがうまくいく保証はないし、むしろ決断の後の交渉を含めた実務に困難が待ち受けていることは容易に想像できる。
いずれにせよ今の日本では最ものパワフルな経営者。以前も書いたが爪の垢を煎じて飲まなければならない。
この特集の中で面白かったのは、堀江貴文氏のコメントである。
彼の発言がどんどん過激になっているような気がしないでもないが、逆にそれがストレートで個人的には潔いと感じる。誰に遠慮することもなく、正直に答えていると思うのだ。
「自分とは逆のタイプ」であるとか、「孫さんのスピード感は自分と比べると遅い」とか、「苦労しているおっちゃんは嫌われない」とか、本人が聞いたらどう感じるかなんてお構いなしのようだ。この発言だけでも精神的なタフさが伝わってくる。
また、何かでかいことをいつかやりそうな気がしているのは自分だけだろうか・・・・。
孫氏にしても、堀江氏にしても揺るぎない軸がある。これだけでも理想的な姿だ。
そんな孫氏が率いるインパクトの強い会社ソフトバンクであるが、就活生の就職人気ランキングでは、なかなか上位に挙がってこない。
これだけ経営戦略もCMもスマートフォンも注目されているのに、人気が上がっていないのは不思議だ。

「あしたのジョー」を観てしまった。

一昨日にレイトショーで映画「あしたのジョー」を観た。
この映画の感想はブログに書くのは止めようと思っていたが、2日ほど経過し、何だか無性に書きたくなってしまった。尊敬するパフの社長のブログの影響もあるだろう。
CGを駆使した映画でありながら、生身の体は鍛えられた本物。多くの批評にあるように、力石徹こと伊勢谷友介の肉体には感動すら覚える。矢吹丈と対戦のシーンでは、映画の中の観客と共に「おお~っ」とため息が漏れてしまった。
それくらい観る者に強い印象を与える。散々叩かれたいる白木葉子役の香里奈も僕自身は決して悪くなかったと思う。
打ち合いのシーンでは、映画「ピンポン」を思い出してしまった。窪塚洋介と中村獅童のラリーのシーンを・・・。監督が同じ曽利文彦であることが大きな理由だが、打たれた顔のグニャッと曲がった姿は、この監督の得意とするものだろう。
全体通して、娯楽作品としては楽しめた。ただ、どうしても僕らの世代はアニメの「あしたのジョー」で育っているため、違和感を覚えることも多かった。
矢吹丈役の山下智久も丹下段平役の香川照之も好演はしているのだが、やはり「声」が全然違うのだ。
矢吹丈はあおい輝彦であり、丹下段平はあのダミ声なのだ。60年代後半あたりの時代設定は秀逸であったけれども。
その中で、力石徹は違和感を感じなかった。伊勢谷友介の眼差しは、いかにも力石徹を思わせ、あの語り口もストイックな態度も雰囲気を漂わせていた。
伊勢谷友介の存在を知ったのは、映画「雪に願うこと」だった。それまで全く知らなかったが、その映画で挫折した若者を好演し、何故か印象に残っていた。
あまりTVドラマに出演するわけではないので、一般的な認知は少ないかと思うが、昨年の高杉晋作役あたりから、注目度が高くなったのではないかと思う。活躍のフィールドも俳優だけではないようなので、個人的にも今後の活躍に期待したい。
それにしてもこの映画、ちょっと間違えれば下手なアイドル映画になってしまっただろうが、そこはしっかりとエンターテイメントの作品に仕上がった。
何より若い女性の観客だけでなく、僕よりも先輩の50歳代のオジサンたちが映画を観に来ていたのが、何よりの証しだろう。

日本型キャリアデザインの方法

日本型キャリアデザインの方法―「筏下り」を経て「山登り」に至る14章 日本型キャリアデザインの方法―「筏下り」を経て「山登り」に至る14章
(2010/03)
大久保 幸夫

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先日のHRプロのセミナーで頂いた書籍。
著者の大久保氏のファンというのもおこがましいので言わないが、この業界に身を置く者として、またキャリアカウンセラーの一人として最低限の学びで、これまでも「キャリアデザイン入門」「仕事のための12の基礎力」は読ませていただいた。
(セミナー終了後の懇親会では、直接、本人と話をさせて頂き光栄!うれしかった!やはりミーハーだ。)
この著書を読み終え、これは誰がターゲットなのだろかと考えてみた。
就職活動中の学生、キャリアチェンジを考えるビジネスマン、そろそろ自分の限界を感じる管理職など・・・。
結局のところ、どの世代でもどんなキャリアの持ち主でも対象といえるだろう。
キャリアには終わりはないし、どんな時期においても、これからの自分のあり方に希望や迷いは生じるに違いないと考えるからだ。
その中で、ここに書かれている「迷ったら激流を選べ」という表現には賛成だ。
特に20歳代の「筏下り」の時期には、できるだけ激流を下っていくのが自分の成長に繋がると僕も思う。特に目標が定まらないシューカツ生はどんどん自らを厳しい場に追い込むべきだ。
激流の「筏下り」の時期を越え、辿りついた先に自分の進むべき道(ここでは山かな)も見えてくる。自分なりの具体的な目標設定もできるというわけだ。
そこから明確なゴールを目指して「山登り」を行っていく。プロフェッショナルを目指す。これが著者の言う日本型キャリアデザインにあたる。
今、僕は44歳。
「筏下り」に時期はとうに過ぎて、当然のように「山登り」に入っている。しかし、山の頂はまだまだ遠そうだ。もしかしたら辿りつくことはできないのかもしれない。
しかし、10年くらいの歳月をかけても山の頂に辿り着き、その頂から広がる景色を眺めたい。そのために毎日せっせと過酷な山道を登っていくのである。
そして、山の頂から広大な景色を眺めた後はどうしようか。
山を降りてのんびりするか、また別の山を目指すのか。
そんな事を考えるだけでも結構楽しくなってくる。空想的な要素を含め、先々のキャリアを思い描いてみるのもいいことだ。
そのためには、今やらなければならないことは山ほどある・・・。
まずは、その目の前にある小さな山をクリアしないと・・・。

週刊ダイヤモンド「就活の虚実」を読んで・・・。

今週の週刊ダイヤモンドの特集を興味深く読んだ。最近、毎日のようにニュースに取り上げられている就職活動についての特集である。タイトルが妙に意味深だ。
就職情報の提供を商いとする自分たちとしては、納得する面もあり???と首を傾げる面もあるが、総じて深く真相を捉えようとする編集者の姿勢は感じることができた。
つい先日、HRプロ主催の採用に関するイベントに参加したばかりなので、そこで明かされた企業の実態とこの雑誌で発表されたアンケート結果のギャップには、既に分かっている事とはいえ、企業の置かれる立場が容易に想像できる。
ここでも書かれているのは一部の人気企業と思うように学生が集まらない中小企業の存在である。最近はこの手の情報が増えていて、中小企業がクローズアップされているにも関わらず、学生にはまだまだ響いていない実態もあることも記事の通りだ。
(自分たちの努力も足りないということだ。)
今回の特集で改めて気づかされたことも多かった。
一つはここ40年の就職活動時期の変遷、もう一つは政府の若年者雇用対策の多さである。
40年の就職活動時期については、就職協定の期日によりかなり企業側の対応が揺れ動いているのが良くわかる。この業界に身を置いて既に20年以上経過するが、時系列の表にその変遷を眺めていると忘れかけていたバブル期や超氷河期の就職戦線を思い出す。
就職活動早期化の是正を激しく議論されている昨今ではあるが、1970年代は3年生の後半期に内定が出されているのだ。全く知らず、結構な驚きであった。
そして、政府の若年者雇用対策の多さ。何となく受け流していて事実をしっかりと把握していなかった面もあるが、この数の多さは正直驚いた。文部科学省、厚生労働者、経済産業者の縦割りの施策のせいもあるが、同じような対策が実に多い。利用者側の立場になれば、混乱を招くことも多いだろうし、予算面も含め無駄も発生している。
今回の特集でもそこの非効率さを的確についていた。
これまで若年層を取り巻く環境を誤解していた方も多いと思う。この特集がその誤解を解決しているとは言い切れないが、冷静な判断材料にもなっているだろう。
この事業に関わる者として、企業の採用のあり方、学生の価値観、行政の動き、我々の業界の動向など、考えさせられる面も多かった。
一筋縄ではいかない問題が数多く存在し、自分たちで解決できる面も限られている。というより、ほとんどないといっていい。
それでも、人の成長、企業の成長を通し、地域の発展に寄与することを自分たちは続けなければならない。
そう感じただけでも、この特集の存在は有効的なのかもしれない。

映画「ディアドクター」を観る

ディア・ドクター [DVD] ディア・ドクター [DVD]
(2010/01/08)
笑福亭鶴瓶、瑛太 他

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昨年のキネマ旬報1位の作品をDVDでようやく観る。
西川美和監督の前作「ゆれる」を観て、かなり揺れる思いになり人間の恐ろしさを感じたが、本作品でもその時程の冷ややかさはないものの、人間の揺れ動く様を感じた事は同様である。
可愛い顔して人の心を何ともえぐる監督である(スイマセン)。
作品の本筋とは異なるが、まず感動したのが香川照之である。TVの「龍馬伝」にしろ「坂の上の雲」にしても、今度の映画「あしたのジョー」にしても何でも出演する。どんな役でも演じられる。今回も医薬品メーカーの営業マンを微妙な立場で見事に演じていた。
僕とほとんど変わらない年齢でありながら、既に日本映画界の名バイプレイヤー。普通は60歳くらいになるとそんな存在になるとは思うのだが・・・。
本作品は笑福亭鶴瓶が演じるニセ医者の過疎の村の住民との生活を通して、人の善意や悪意(そうではなくずるさ?)を描いている。
僻地の医者不足や過疎化、高齢化など現実の社会問題をクローズアップさせながら、それを嫌味ではなく温かい視線で作られている。そのためか、おおよそ予測できるラストシーンも愛らしく感じたのかもしれない。
結局はどんな存在であれ、人と人は繋がっており、その背景には言葉にできない信頼がある。それは100%になる場合もあれば、50%を下回ることもある。同じ対象だとしても状況により変化するものでもあろう。
このような映画を見るとつくづく日本映画は素晴らしい。そして、好きなんだと改めて実感する。
家庭内で2時間のTV画面使用枠を確保するのが難しい昨今ではあるが、眠い目をこすってでもコンスタントに確保していきたいとDVD鑑賞後、感じたのであった。

電通とリクルート

電通とリクルート (新潮新書) 電通とリクルート (新潮新書)
(2010/12)
山本 直人

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巷で話題になっており、気になって手に取った一冊。
大げさに言えば、名大社は広告代理店として電通的な要素を持っており、また、メディアとしてリクルート的な要素を持っている会社である。そんな意味でも大いに刺激を受けた。
高度成長期において広告の「拡声と伝達」機能が消費の拡大に寄与し、それを牽引してきたのが電通であるという。マスメディアを駆使し、その商品の価値を変換させる発散志向広告として広告全体をリードしてきた。
一方で、リクルートは就職や旅行など多くの選択肢から選ぶことを目的とし、その編集スキルで巧みな検索を行い業界をリードする「収束志向広告」で成長してきた。
著書の中にも、電通に代表される発散志向広告が、「買う人の納得」を追及する一方で、リクルートの手がけた収束志向広告は「稼ぐ人の納得」を掘り下げようとしたと書かれている。
なるほどと納得させられる。
しかし、広告という手段を各々違う手法で展開し、ユーザーの関心を引き付けてきた両社だが、インターネットの出現と消費行動の変化でこれまでのビジネスモデルも変換してきたようだ。
広告が意味を書き換えていた時代は、その作り手が意味を教えていた時代ともいえるが、今は、モノの意味は人々が決めていく。本来、広告の持っていた創造された感性やストーリーは失われてしまったようである。
著者の山本氏は博報堂の出身で制作面では電通と競合し、人事の仕事ではリクルートと一緒に業務を行った方である。
両社の特徴を明確に分析し比較しながら、最終的には広告論として繰り広げられているといってもいいのではないか。
そして、今後、この両社が、また業界の末端である我々が広告という情報とどのように向き合っていくかが書かれている。
もしかしたら、この先に広告という名称は全く別のものとして取って代わるのかもしれない。広告と情報との垣根がなくなり、全てが広告であり、全てが情報という時代が来るのかもしれない。
「情報は未来を約束しない」
この言葉に多くの意味が隠されているようでならない。

映画「ソーシャル・ネットワーク」

何かと話題のFacebook。
2ヶ月ほど前に僕もスタートさせたが、まだまだ使いこなすには時間がかかりそうだ。しかし、周りの状況を見るとその勢いが手に取るようにわかる。
先日の新聞にもアクセス数はGoogleを超え世界一だと掲出されていた。
そのFacebookの誕生秘話を描いたこちらも話題の「ソーシャル・ネットワーク」を観賞してきた。映画ファンとしての興味と共に、今後の自社のビジネスにも参考になるのではという浅はかな考えもこの映画を観た理由の一つである。
公開間もない事もあり、内容には触れないが、まるでアクション映画のようなスピード感のある映画だった。とはいえ、アクションシーンは存在せず、ひたすら早口でしゃべっている映画だ。ただ冒頭から映画に引き込まれ、2時間という時間は全く長く感じることはなかった。
ビジネスの参考になったかどうかは微妙だが、理解できたのは一人の天才がいれば世界を変えることができるということ。その情熱があれば、世の中を制する事ができるということ。
そのキッカケはとてつもなく単純だとしても・・・。
一般的に自伝的映画とか成功物語というのは、その主人公が一丁上がりといった存在になってから制作されるケースがほとんどだと思うが、この「ソーシャル・ネットワーク」は、会社がまだまだ成長過程である段階で作られているレアな映画。その発想や展開自体が僕には衝撃的である。
ネット社会を中心としたスピードは、この映画の意味さえも創り上げてしまうのかもしれない。
つい先日もゴールデングローブ賞の作品賞も監督賞も受賞。アカデミー賞の最有力候補だともいう。
しかし、思う。
この映画が本当に評価されるのは5年後もしくは10年後じゃないかと・・・。
その時、Facebookは一体どんな存在になっているのだろうか。
そして、この映画は古くさい時代の産物として捉えられているのだろうか。