これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

映画「この世界の片隅に」

sonose16121

身近に情報がなければ素通りしていた作品だろう。
この手の映画が得意ではなく、進んで観ようとは思わなかった。
何人かの友人が「ぜひ、観るべきだ!」と熱く語るので、劇場に足を運んだ。

どんな映画であるかは全く聞くこともせず、
単に戦争を描いたアニメーションという認識のみ。
短絡的だが「火垂るの墓に近いのかな?」というイメージしかなかった。

いい意味で裏切られた。
どうしても戦争を描く映画は、その悲惨な状況から人の死を描くことが多い。
その悲惨さから戦争が過ちであることを訴えることがほとんど。
至極まっとうな描き方。
そんな映画を僕らは何回も観てきた。
平成の時代を生きる今、それを続けることは必要だと思う。

それが「日本のいちばん長い一日」なのか
「永遠の0」なのか「黒い雨」なのか
「少年H」なのか映画によってマチマチだが、
その時代は常に知っておかねばならない。

本作もそう。
しかし、これまでの戦争映画とは異なる。
いい意味で裏切られる。

戦争の悲惨さを描きながらもほのぼのとしてしまうのはなぜだろう。
悲しい毎日なはずなのに微笑んでしまうのはなぜだろう。
もちろん辛いシーンはある。
切ない場面も多い。

しかし、である。
この映画を包む世界はこれまでの戦争映画とは一線を画している。
どう表現するのが妥当かはわからないが、
その位置づけは戦争アニメというカテゴリーではないように思う。

アニメという表現も間違っているような気がする。
絵が動いている感じ。
それがアニメというのかな?(笑)。
素朴で柔らかな感じに思えてしまったのは僕だけではないだろう。
そんな意味でも大いに裏切られ、観ておいてよかった。

また、話題になっている一つとして、主役すずさん役の声。
能年玲奈を改名した「のん」さん。
改名の背景には全く興味がないが、のんさんの声がいい演出になっているのは事実。
主人公すずさんの役柄にうまくマッチしている。

そして、この作品はクラウドファンディングによって制作されている。
これも新しいカタチ。
今後、このようなスタイルの映画が生まれてくるのだろう。
作り手の裾野が広がり、大手配給会社に頼らない仕組みは歓迎すべきかな。
いずれ出資しますよ(笑)。

作風自体は新しくともなんともないが、
とても新鮮な気持ちにさせてくれる映画だった。

話し方ひとつで面白いほど仕事がうまくいく本

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著者の堀内さんとはかれこれ10年位の付き合い。
以前、副社長を務められていた会社の担当営業が僕で採用のお手伝いをさせてもらっていた。
合同説明会の場で堀内さんが学生に熱く温かく語りかけていたシーンは今でも印象に残っている。

彼が独立をするタイミングと僕が社長を引き継ぐタイミングと重なったこともあり、
うちのイベントで結構な数の講演をしてもらった。
その時の実績が少なからず今回の出版にも影響しているのだろう。

僕は「僕が堀内さんを育てましたね。」とエラそうに言うわけだが、
堀内さんは気を遣って、もしくは内心面倒くさがって(笑)、
「山田さんのおかげです。」と言ってくれる。
実際はこれっぽちもないんだけど・・・。

当時から堀内さんはしきりに本を出したいと話していたので、
今回、念願が叶ったわけだ。
それも自分の作品を売り込んだわけではなく、
出版社の方から依頼があるという理想のカタチ。
地道に努力し続けると結果はついてくるもの。
改めてそんなことを感じたし、僕自身も嬉しい。

本書はとても読みやすいし分かりやすい。
図解も多いのでビジュアルで理解もしやすくなる。
人前で話す場面を多くのシーンに分けながら書かれているので、
その都度、チェックするのも効果的だろう。

人前で緊張する場合はどうしたらいいのか。
上手くプレゼンをこなす方法はなにか。
人間関係をよくするコミュニケーションとは。
人と話すために大切な要素が多く書かれている。
若手にも中堅にも幹部にもおススメ。

堀内さんには「僕が読んだら、みんなに回しますね。」と言うと
「山田さん、困ります。ちゃんと買ってください。」と言われてしまった。
そりゃそうだな(笑)。

僕が持っているのはわざわざ届けてもらった1冊。
本棚には収めておくが、みんな、ちゃんと買うように!

本人のサインも頂いた。

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会社の前で記念撮影。

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これをステップに活躍するステージをさらに広げてもらいたい。
もっとメジャーになれば、飲んだ席で
「あ~、あの有名な堀内君ね。ヤツを育てたのはオレだよ。」
なんて言えるだろう(笑)。

本書はあさ出版さんの超解シリーズ。
ラインナップを見てみると懐かしい名前を発見。
船井総合研究所の川原慎也さんも執筆されている。
彼が以前の会社の採用担当で僕のクライアント。
東京本社だったが名古屋に来られた際は二人で飲みに出掛けたりしていた。

いやあ~、世間は狭いな。
こうして知った方が活躍するのは嬉しいもの。

これからも期待しています。
みなさん、買ってください(笑)。

島耕作も、楽じゃない

sima16121

僕は「課長 島耕作」は読んだことはない。
課長に限らず、部長も社長も会長も読んだことがない。
どこまでシリーズがあるかもよく知らない。

今から25年ほど前、映画「課長 島耕作」は観た。
トシちゃんが主役で監督が根岸吉太郎氏だったので期待したが、つまらなかった。
麻生祐未さんとの絡みのシーンが羨ましかったくらいで、
あとは何も覚えていない。

著者の弘兼憲史氏の講演も一度拝聴したが、正直、つまらなかった。
(スミマセン)
講演タイトルと内容が大きく違っていたのも問題だとは思う。
反対にその後のビリギャルの坪田さんの講演が期待以上に面白かったのでよかったけど。
それからしばらくして知り合いになれたのは自慢の一つですね(笑)。

ここまで書く批判ばかりしてる感じで著者の弘兼氏には嫌われてしまいそう。
迎合するわけではないが、ここはフォローしておきたい。
僕は島耕作を知らない分、
本書で客観視できることはビジネス上の成功体験者として参考にすることができる。
フィクションには違いないが、
事業を推進していく上で大切な要素が折り込まれているのは参考になる。
それは著者の企業人としての経験と取材や出会った経営者から吸収したものであろう。

ここまで実績を出せば日本を代表する経営者とはいつでも会うことが可能。
それはやはり「課長 島耕作」の原作者であることが重要で、
スポ根マンガや少女マンガじゃ難しいだろう。
(具体的な作品名が何一つ浮かばない・・・)
社会的立場は大いに利用すべきなのだ。

本書では島耕作の人物像ではなく実際の経営者について著者の視点から展開されている。
柳井正氏、澤田秀雄氏、新浪剛史氏など今の日本を牽引するリーダーも描いている。
この切り口も面白い。個人的にはここが一番勉強になったかな(笑)。

とはいえ、弘兼氏の生き方にも興味深い。
漫画家という職業柄もあるだろうが、一般的なビジネスマンと生活スタイルは180度異なる。
ある意味、それを真似ることは困難。
あえて真似ようとも思わない。

しかし、それがそこから生まれる素晴らしい作品は
僕のような凡人にはイメージできるものではない。
それを40年も続けるなんて、その持続力は相当なもの。
企業人は企業に所属しているからこそ持続できている面もあるわけだし・・・。

ちょっと余裕ができたのなら、
「課長 島耕作」からのそのシリーズを読んでもいいのかもしれない。

そんなことを思ってしまった。

映画「続・深夜食堂」

sinya16111

わざわざ映画館まで足を運ぶ必要があるのだろうか・・・とつい思ってしまう。
短編ドラマはネットでも観れたりするからだ。
しかし、より映画を感じようとすれば、わざわざ足を運ぶ必要もある。

派手なアクションがあるわけではない。
壮大なロケーションが行われているわけではない。
製作費にしてもそれほど膨大ではないはず。
それでもわざわざ足を運ぶ。
そう、映画を感じる必要があるのだ。

豚汁がグツグツと煮立つ音、生姜焼きがジュージュー焼かれる音。
匂いはわからない。
だが、感じることはできる。
それも人の温かさや優しさが伝わってくる。

僕は朝型人間なので深夜は得意ではない。
厳密にいえば昔は得意だったが、
40代以降早起きを心掛けるようになり、すっかり夜は弱くなった。
夜遅くまで飲んでいるとたまに寝ていたりする。
それはちょっと恥ずかしいけど、それが実態。

だから深夜12時から朝7時ごろまで営業する「深夜食堂」は僕には合わない。
しかし、この作品を観てしまうとこの「深夜食堂」に行きたくなってしまう。
熱燗をチビチビやりながら、ちょっとツマミを摘み、最後に豚汁定食で〆る。
全くをもって体にはよくないが、そんな夜を過ごしてみたい。

不破万作さんあたりにちょっと絡まれながら、それを軽くかわしながら飲んでみたい。
小林薫さん扮するマスターに「また、来なよ。」と言われながら、店を出たい。
ひとりでしみじみとボソボソ独り言を呟きながら飲むのが正しい方法かな?
とそんなふうに思ってしまう。

前作でもこの作品の温かさについてブログでも触れたが今回も同様。
ひたすら温かい。
人っていいなと思わせてくれる。
東京も悪くないなと思わせてくれる。

前回の映画ブログで池松壮亮さんのことを書いたが、
なんとこの作品にも重要な役柄で出演されていた。
今年、一体、何本の映画に出演しているのか。
僕が観ただけでも4本も出ているぞ。
う~ん、なかなか、やるじゃないか(笑)。

主役のマスターは言葉数が多いわけではない。
気の利いたことや特別なアドバイスをするわけではない。
じっくりと話を聞き、気持ちのこもった食事を出すだけ。
ボソッと相手に気づきを与える言葉を発するだけ。
それがメンターとして大きな役割を果たしている。
相手はそれで十分安心する。

勝手な見方でしかないが、会社においても同じなのかもしれない。
いい人間関係や信頼関係を築くにはそれほど多くの言葉は必要としない。
特に困ったり悩んだりする時はそうなんだろう。
安心できる場さえ提供できていれば、それで悩みは解決の方向に向かう。

なんでも仕事に結びつけるのはよくないが、そんなことを思ってしまった。
となると、部下との関係性に悩んでいる上司は観るべき映画なのかもしれない。

中小企業のための長期インターン活用戦略

tyouki16111

正式なタイトルは
『事業拡大を実現する中小企業のための「長期インターン」活用戦略』
とかなり長い。
多分、ビリギャルの著者坪田さんを意識したんじゃないのかな(笑)。
多分・・・。

著者の佐藤均氏は名古屋に本社を構える株式会社丸八テント商会の社長。
親しい間柄ではないが、何度かご一緒させて頂いた。
出会った場所は本書にも登場するGnetさんのイベント。
Gnetさんとは岐阜のNPO団体で長期インターンシップのプログラムを提供している。
また、新卒採用の事業も手掛けられており、悪く言えば競合。
しかし、お互いにそんな意識はなく、
昨年も国のUIJターンの事業でパートナーとして仕事をさせてもらった。

本書ではGnetさんも含めた長期インターンの学生を上手く活用することで、
会社がいい刺激を受け成長する過程を描いている。
一般的にインターンシップと言えば、学生のための就業経験であったり、
最近だと1DAY、2DAYの採用目的とするケースが多い。

ここではそれを遥かに突き抜け、インターン学生を会社の戦略として扱い、
新規事業の立ち上げから実行まで活かしている。
それがうまく機能するとグッドサイクルが回り、会社にとってもインターン生にとっても有益となる。
まさに帯に書いてある「ローコストでイノベーションを起こす究極の人材活用戦略」だ。

では、ここに登場する学生はずば抜けて優秀か。
たしかに優秀ではある。
僕も話をさせてもらった経験もある。
しかし、どこにも存在しないようなずば抜けた優秀さではない。
しっかりと目的を持ち、信頼され任され、ゴールに向かって努力した結果、成長したまでのこと。
だと思う。
最初からずば抜けて優秀だったのなら、すみません(笑)。

そうさせるために何が一番重要かといえば、トップの意識。
タイトルにも”中小企業のため”と明記してあるように、
あくまでも中小企業がカネもヒトも限界ある中で展開する方法が書かれている。
そして、最終的には人材採用にも生きてくる。
やり方次第では本当に競合になってしまうが(笑)、企業にとっては有効的な話。

名大社的には大学との関係性の中で実施する2週間インターンシップと
現在新たなサービスとして行っている「THE CREATIVE CHALLENGE」しかないが、
この手法もいい方法だと随分と参考になった。
自社でも取り組んでみてもいいかもしれない。
と、浅はかな頭でストーリーを描いてしまった。
考えてみてもいいな・・・。

「長期インターン」がプロジェクトでうまくいく秘訣はこれらしい。
①トップが明確なビジョンを持つ。
②プロジェクトリーダーを決める。
③「多様性」×「やる気」のある人材。
④過去の成功体験をリセットする
⑤プロジェクトに関わるのは学生だけ。

簡単そうだが、ここまで思い切った判断を下すのは相当難しい。
判断くらいはサクッと下せるので一度検討してもいいのかな。

それにしても本書の存在でGnetさんはいいPRになっただろう。
その点だけでもかなり羨ましい(笑)。

スマホが神になる

sumaho1611

書店で新刊のコーナーを何の気なく眺めていると目に飛び込んできた本書。
どんなことが書かれているか全く理解しないまま購入してしまった。
こういった衝動的な出会いは書店でないと難しい。
ネットで書籍を買うのも便利でいいが、こんな偶然の出会いも大切。
著者の島田裕巳氏はTVではちょくちょく拝見するが著書を読むのは初めて。
この偶然がなければ読む機会がなかったかもしれない。

この意味深なタイトル。
本書を読むとあながちウソではない。
今のスマホの存在が神といえるのも納得できる。
そのあたりを宗教学者らしい視点で書かれている。
僕に限らず、スマホがない生活は考えにくい。
生活していく上でないと困る物の大きなひとつであるのは間違いない。
インターネットが繋がっていないと何もできない世の中に
なってしまったことは自分の行動パターンもみてもわかること。
スマホとの関係性は深い。

著者は「スマホはまさに孤独を癒す道具として機能している。」という。
この孤独を癒すことが宗教にも結び付くようだ。
新宗教が信者を増やす背景には孤独を癒すことがあった。
それが現代はスマホに代わり、新宗教の信者は減少しているという。
客観的に捉えてみるとイメージできないことではない。
となると神的存在をスマホに求めるのも分からなくはない。
本書ではスマホを神扱いすることだけではなく、別の切り口も設けられている。

「自撮り」によって自らが英雄になり、神的存在になるのも可能なようだ。
facebookだけでも年間700億枚の写真がアップされているらしい。
Instagramでも相当数だろう。
写真が拡散されていけば、その可能性は十分あり得る。
「自撮り」という行為もスマホが当たり前になってから。
世界の中心に自分がいるというわけだ。
未だに自撮りは上手くできないけど・・・(笑)。

本書では「ポケモンGO」がもたらした効果についても述べている。
引きこもりを外に出したとか、健康的になったとか、
プラスの側面を捉えている。
同時に毎日のようにニュースで見る悲しい事件も多いけど・・・。

そして、何といっても暇つぶしにはもってこいなのがスマホ。
スマホがなければ通勤時間が退屈でつまらなくなり、
勤労意欲にも影響すると筆者はいう。
ちょっと大げさかもしれないが、そうなのかもしれない。
う~ん、スマホが神になっていくのか・・・。

いずれこのブログもスマホで書くようになり、巨大な影響力を生んでいくのかな。
いや、それはあり得ないな・・・(笑)。

映画「永い言い訳」

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この映画は伏見にあるミリオン座のレイトショーで観た。
レイトショーは1300円で通常より500円安い。
この浮いた500円でハイボールを注文した。
ここはギネスビールも置いてあり映画館にしてはアルコールの種類が多い。
映画館の宣伝をしているわけではない。

ジャンルによってはアルコールを飲みながら鑑賞するのもいい。
本作品もアルコールとの相性は悪くない。
軽く酔う程度であれば、むしろ感傷的になれる。
それを感じさせてくれる映画であった。

西川美和監督は邦画界において最も注目すべき女性監督。
公開される作品が何かと話題になる。
僕は「ゆれる」と「ディアドクター」しか観ていないが、これが恐ろしいほど面白い。
いずれもDVDで観たのだが、映画館であればまた違った感じ方をしていただろう。
人を描くのが本当に上手い。

そして、本作を観て思ったのが、更に男を描くのが本当に上手い。
男性、男子ではなく男。
女性監督がここまで男の気持ちを理解できるのかと恐ろしくなるほど。
いやあ、西川監督は恐ろしい監督だ。

容姿は女優さんでもおかしくない。
力強さよりもむしろ可愛らしさを感じる。
しかし、こんな女性が男を手玉に取り、好きなように転がしてしまうのだろう。
それはこの作品にも言える。

主役であるモックンも監督の意のままに転がされている。
そこには男の軽薄さ、単純さ、純粋さ、幼稚さ、傲慢さ、ズルさ、弱さが描かれている。
すべて見透かされているかのようだ。
それが恐ろしい。
そして、はかない。

きっと男は鈍感で大切なことに気づかないまま時間が経過する。
気づいた時には手遅れになっていることがほとんど。
悲しいかな、そんな生き物なのかもしれない。
最後の最後になって教えられる。
それも自分よりも遥か下の世代に・・・。

この作品も池松壮亮クンがいい脇役として出演している。
「海よりもまだ深く」では阿部寛さんの相棒だったように
どうやらダメ男を支えるのが得意なようだ。
つい数か月前に観た映画は高校生だったのに・・・。
人の成長は早いものだ(笑)。
その時のブログでも絶賛したが、益々将来が楽しみだ。

どこに真実があるのか。その真実はいつわかるのか。
それは正しいことなのか。
それは人によって違うと思う。

世の中のダメ男は観るべき。
僕を含め、自分では頑張っていると勘違いしているダメ男は観るべき(大汗)。

映画「ボクの妻と結婚してください。」

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やはり歳を取ってきたと痛切に感じる。
一昔であれば、ここまでウルウルすることはなかった。
もっと冷静に映画を観れていたはず。
感情にもそれほど流されなかったはず。
しかし、それがまんまと作品の戦略に乗っかってしまった。
50歳にもなると人は弱くなるなあ(笑)。

僕は「生きる」とか「死ぬ」とか、
そういったシーンで泣かせる映画はズルいと思っている。
観客を泣かすには分かりやすい手法だが、
ぞれは演出として安易な選択をしているように思えてならない。
そんな斜に構えた見方を映画ではしている。
ちょっと嫌なタイプだ。

本作もいわゆるお涙頂戴もの映画といっていい。
20分間隔くらいでそんな状況に追い込まれたのも事実。
そんな作品だ。
しかし、そこにいかにも泣かせてやろうというシーンは少なく、いつも爽やか。
勝手にこちら側が感じ取っているだけのように思えてくる。
実際、あり得ないストーリーだし、息子もデキすぎだ。

だが、それが素直に受け止められるし、イヤミがない。
なぜここまで感情移入してしまうだろうと自分でも不思議なくらい。
やはり歳を取ってきたのだろう(笑)。
そして、自分が同じ立場だったらどんな行動を取るだろうか
とどうでもいいことを考えてみたり・・・。
引っ張られる映画のようだ。

何より妻役の吉田羊さんがいい。
とてもキュート。
最近の活躍はハンパないが、僕が今ステキに思う女優さんのひとり。
本作でも愛らしい奥さん役を演じており、グラッときてしまった。
夜は「真田丸」に出てたので、ゾッとしたけど・・・(笑)。
強さも優しさも演じられるその表情と自然体に近い喋り方がいい。
この映画はスッピンに近かったんじゃないかな。

お涙頂戴ものと言っても、最終的に辛いシーンは出てこない。
あくまでも温かいままだ。
それがイヤらしい映画とは異なり好感が持てたのかもしれない。

独裁力

doku16111

著者の川渕三郎氏は現在80歳。
とてもその年齢には見えない。若々しく映る。
若さを保つそれなりの努力はされているのだろうが、
最大の秘訣は仕事に対する情熱ではないだろうか。

その熱い想いが結果として若さを維持しているのではないと本書を読み終え、そう感じた。
本書は川渕氏の半生を綴っている面はあるが、
大半はバスケットボールのプロ化についてである。
門外漢であった川渕氏が分裂していた日本のバスケットボール界をまとめ上げ、
一つの形を作った道のり。

Jリーグ創設も相当苦労があったかと思うが、
分野外の世界で力を発揮するのは想像するだけでも体が震える。
しかし、それが真のリーダーの姿として証明なのだ。

僕は川渕氏は嫌いではない。
だが、あの高圧的な話し方や声のトーンは正直、耳触りのいいものではない。
とても失礼な話だが、同じことを思う人は少なくないだろう。
それが悪い意味で誤解を生み、
タイトルのある「独裁力」ではなく「独裁者」的な印象を与える。
ニュースでしか見たことのない人は嫌悪感を覚えても仕方ない。
現Jリーグチェアマンの村井満氏とは180度違うのではないだろうか(笑)。

そんなことを踏まえても、僕は川渕氏は嫌いではない。
その考え方、生き様には素直にリスペクトする。
あそこまで堂々となれたのなら、どれだけいいだろうと羨ましく思うのだ。

今でも強く印象に残っている言葉がある。
Jリーグが発足する前、プロ化に向け活動されていた時代に多くの方から批判や反対を受けた。
時期尚早という声が多かった。
その時に「時期尚早と言う人は、100年経っても時期尚早と言う。」とキッパリと言われた。
物事を先送りする一つの理由がこれで、結局何もしないことが多い。
それに対して、的確に反論した言葉がその発言。

その言葉があったからこそ、現在のJリーグが成り立っているのだろう。
言葉の持つ影響力は大きいし、それが歴史を大きく変える。
信念があるからこそ、そんな言葉を当然のように使われるわけだが、
その信念の強さがどこから生まれてくるのかはわからない。

その答えはどこにも書いていない。
仮に書いてあったとしても何の参考にもならない。
彼の考え方を知ることで吸収するしかないのだ。

川渕氏は元サッカー日本代表の選手であり、元代表監督でもある。
そして、企業でも管理職経験者である。
リーダーシップのみならず、マーケティングも組織構築にも秀でた能力を持っておられる。
その総合的な力が「独裁力」を生み出す基になっているのだろう。

しがらみの多い世界のトップに立つ人は、専門バカではきっとやっていけない。
特にスポーツの世界ではいくらそのスポーツにたけた人でも、
人を見抜く観察力や発信する語彙力がないと真のリーダーシップは発揮できない。
そんなことも感じてしまった。

なかなかbリーグを観る時間は取れない。
ただ川渕氏が束ねてきた世界を知った上で観ると違う面白さを感じれるかもしれない。

映画「何者」

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原作を読んだのは3年半前。
随分、遠い過去のような気がする。
本の中身もすっかり忘れてしまった。

当時のブログを読み返しても、何の参考にもならない(笑)。
そのため、どこまで映画が原作に忠実かはあいまいのままだ。
ただ僕はその当時、大学や人事担当者向けの講演でこんなスライドを使っていた。

nanimo16112

この感覚は映画でも変わらない。
漠然とした不安感が映画全体を覆っていたのは原作と同じ。
現代の若者の姿を巧みに映画も描いていたのだと思う。
それは僕が思うということで、本当にそうかはわからない。
映画で描かれる就職活動の姿はある意味リアルで、僕らが日々接している学生像に近い。

リクルートさんの協力を仰いでいるせいか、そのあたりにズレはない。
しかし、現実の就職活動は毎年のように環境が変わる。
映画で描かれる世界は昨年(2015年)を表現している。
原作は2011年か2012年を描いているはずだ。
このわずか3年の間に学生の置かれる外部環境は大きく変わり、
それに伴い学生の行動や思考も変化している。

2015年はかなりの売り手市場になっているため、選考の難易度は描かれている世界と微妙に違う。
業界人っぽく、その点だけを捉えていえば、
外部環境の好転により悩みの種類も変わってくるんだよね。
なんかイヤな奴ですね・・・(笑)。

しかし、そんな些細な指摘は本質ではないだろう。
今、若者が抱えるホンネとタテマエの使い分けの難しさ。
SNSが生活の一部になることにより、その呪縛から逃れられない現実は恐ろしい。
僕のような人からどう思われようがどうでもよくなったオジサンは不感症になり、
この若者たちに付いていくのは難しい。
しかし、自分の学生時代とオーバーーラップさせれば、少なからず近い面はあったのかと思う。

半径5メートルが気になって仕方がない現実。
情報伝達手段が限られていた分、鈍感にならざる得ないが、
きっと世代的には共感すべき点はあるのだと思う。
だから、映画を観ながら、妙にしんみりしてしまったのかもしれない。

僕は原作を読んでいたので、あまり本作を観るつもりはなかった。
原作でお腹いっぱいの状態だった。
(中身を完全に忘れているくせに・・・笑)。
映画のメッセージも予告編から何となく窺えた。

しかし、観てしまった。
そして、観てよかったと思う。
こんな感情を持っていることや理解することがいくつになっても必要かと・・・。
悩むことが若者の特権なのだ。

この映画を観て、就職活動に嫌気がさしたらどうすればいいか。
それは直接、聞いてもらいたい。
解決方法を伝授して差し上げよう。
あくまでも学生限定で・・・(笑)