これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

職場の紛争学

決して対岸の火事ではない。
今までなんら問題は起きていないといって、今後、社内的なコンフリクトが起こらないとは限らない。
起きない方がいいに決まっているが、それに向けて対策を練っていく必要はあるだろう。

それは一体何か?
職場で起きるコンフリクト。
帯にはゆとり社員VS.バブル上司、上昇志向VS.専門志向、
「意識高い系」部下VS.実直上司、女性総合職VS.男性上司と表現。

6つの実態として職場のコンフリクトが描かれている。
事実に基づいた話なので読んでいても、もの凄くイメージできる。
きっとこんなことは多くの職場で発生しているだろう。

僕の立場だとどうしても上司側についてしまうが、
部下側の言い分が間違っているわけでもない。
わがままとか自分勝手と捉えられなくもないが、
彼らの言い分を聞くと必ずしも否定できるものではない。
それなりのロジックと説得力を持ち合わせている。
仕事に対しても真摯に臨んでいる。

では、なぜ、そんなことが起きるのか。
時代が違うから・・・。
間違ってはいないが、そんな単純なものではない。

年功序列も終身雇用も一般的にはもう過去のものとして認識されているだろう。
それは40代も50代も同じ。
あとギリギリ何とかやり過ごしたい方々も多いと思うが、頭では十分理解しているはずだ。

感情面に負うところは多い。
これまでも感情面の齟齬はあったのだろうが、場を読むとか、忖度するとか、
まあまあ、そこはそこは…とかでうやむやにしてきた。
それで何とかなってきたのが日本の企業文化だろう。

それが通用しなくなったのも事実。
組織が大きくなればなるほど個々人の価値観は異なる。
ダイバーシティが進めば当然。純粋培養はある意味理想だが、それでは企業の成長は期待できない。
そんな時代なんだろう。

本書では対立を生む出す3つの要素を紹介している。
1.条件の対立 
2.認知の対立 
3.感情の対立
詳しく紹介すると著者に叱られそうなので、、関心のある方は読んでもらえばいい。

この3つの対立をクリアするだけでも随分と関係性は変わるだろう。
特に感情の対立は起きやすいが、対策も練りやすいはず。

まずはトップの言動からかな(笑)。
できるだけみんなが信頼し合って働きやすい職場を作っていかねばならないのだから・・・。

映画「ホテル・ムンバイ」

先日、ブログに映画「ジョーカー」を今年を代表する一本と書いたが、それ以上かもしれない。
僕自身は「ジョーカー」以上に惹き込まれた。

今月は観る作品に恵まれている。
映画の持つパワーにまざまざとやられてしまった。

観ている作品によるだが、今年は特に洋画は秀作が多い。
僕にとっての当たり年。
邦画ファンとしては日本映画にもう少し頑張ってもらいたい。
見逃してる作品も多いけど・・・。
ガンバレ、ニッポン!!

つくづく僕らは歴史的事件を知らない。
それも海外の事件についてはニュースで知ってそれで終わり。
大きな関心を持つことも少ない。

本作の舞台となる2008年のインド・ムンバイ同時多発テロも
その当時、小さな関心は持ったはず。
しかし、歴史的背景や原因を確認することなく、
次から次へと起こる他の事件に話題は移っていく。
それも瞬間的に・・・。

それが日常。
何の疑問も持っていない。
しかし、映画を観ると感じる。
自分の無知を、自分の至らなさを。

ここで起きる事件は悲惨だ。
こんなことは起きてはならない。
罪のない市民、観光客が無差別にテロの餌食になっていく。

悲しくて目をそむけたくなるが、それは何の意味も持たない。
できることは反らさず正視すること。
生々しい事件を頭に叩き込むこと。

本作に登場する人物はほとんどが犠牲者。
テロの実行犯も犠牲者といえる。
映画に登場しない数少ない加害者が多くの犠牲者を生み出す世界。
それを現実と受けとめ事実を認識しなければならない。
映画はそれを教えてくれる。

実話を描く映画は多い。
そこから感動が生まれる。
演出によっては、お涙頂戴ともなるし、チープに映ることもある。

その点でも本作は優れている。
映画の冒頭から張り詰めた緊張感が続く。
それが途切れることはない。
時折、さらに緊張感を生むこともある。

自分がホテルのスタッフだったらどうする?
自分が人質だったらどうする?
どこまで冷静でいられるか・・・。
そんなことも考えてしまう。

映画の持つパワーは凄い。
この類の作品は作られ続けなければならないし、観続けなければならない。
映画は人間として大切なことも教えてくれる。

映画「ジョーカー」

平日のレイトショーにも関わらず、観客は満席に近い。
それも若い人が多かった。
感覚としては僕のような世代、
もしくは「ダークナイト」に魅せられたファンがその対象だとも思ったが、
意外とそうではないのか・・・。

隣のイマドキのカップルのイマドキの兄ちゃんは
「オレ、こうゆうの好きだよ」と大きな声で話していた。
映画館でデカい声を出すな。
早々にジョーカーに影響されたか・・・。

「ダークナイト」が公開されたのは2008年。
その当時、僕は映画コラムニストでもなく、会社の代表でもなく、
役員を降格となったただのサラリーマン。
公開時に劇場で観たのではなく、その評判を知って後日DVDを借りて観た。
だいぶ忘れてしまったがかなりの衝撃を受けたのは覚えている。

第3作の「ダークナイト ライジング」は映画コラムニストとして活躍し始めた頃なので、
しっかりと劇場で観ていた。
ゴッサムシティという架空の都市も頭の中に叩きこまれていた。

本作の舞台もこの架空の都市ゴッサムシティ。
治安は悪く人々の生活も荒んでいて絶対住みたくない街。
ここで病んでいくのも仕方ないと思われる。

しかし、この街にすがって生きていくしかない人が多いのも事実。
どんなに罵倒されようが酷い扱いを受けようが生きていくしかない。

これはいつの時代だろうか?
映画を観ながらふと考える。
1980年代?
それくらいが妥当じゃないだろうか・・・。

ストレスを癒してくれるのは煙草でありクスリであり酒。
そして、卑屈に笑うこと。
誰もがピエロを演じて、不満をぶちまける生活。
それがリアルの世界のように映し出される。
混沌とした街を覆う雰囲気が映画の魅力を後押しをする。
ゴッサムシティは実際に存在するんじゃないか・・・。
そんな錯覚にも陥る。

ある瞬間から善が善である世界から善が悪の世界へ移っていく。
主人公であるアーサーはかろうじて善を保っていた表情よりも
悪へと移行していく表情の方が断然人間らしい。
清々しく健康的ともいえるのだ。

そして、ピエロに扮し踊る姿は美しい。
自分の才能が昇華していく。
しなやかさと軽やかさ。
導かれる世界は最悪な方向なのに、不思議とハッピーエンドへ向かっていると思わせる。
この映画は喜劇であり人を幸せにするのか・・・。

観ている側までピエロになり、起きる事件を正当化してしまう。
そんな恐ろしさを発する映画。
こんな作品だからこそ絶賛されるのかもしれない。
いろんな場で注目を集める作品だが、確かに今年を代表する一本なのかもしれない。
観ておくには惜しくない。

そして、こう思う。
「ダークナイト」をも一度、観てみようと・・・。

「上級国民/下級国民」を読む

かなり話題になってる本書。
普段、ベストセラーと呼ばれる書籍を読むことはあまりないが、
(池井戸作品は別です・・・)
ちょっと気になり手に取ってみた。

橘玲氏を読むのも初めて。
てっきり女性かと思っていたが、男性だったんですね(笑)。
そのレベルの知識しか持ち合わせていないのが実情。

読後の正直な感想は「ちょっと大袈裟に言い過ぎていない?」。
確かにデータを使い説得力はあるものの、バイアスがかかってるとどうしても思ってしまう。
そんなふうに思った読者も多いじゃないだろうか。
だから叩かれることも多いんだろうけどね。

だったら読まなきゃいいかというとそういうわけではない。
若者を対象とした事業を行う者として知識は持たねばならない。

今、僕が日常で付き合う人で、ここでいわれる下級国民はいない。
それは友人、知人や会社のスタッフ、ブレーン、ユーザーとなる学生や転職希望者も含めてそう思う。
もしかしたら気づいていないだけかもしれないので、断言はできないけど・・・。
ビジネス領域で仕切るとそうなってしまう面もあると思うし。

ただ本書を読んでいると辛くなるのは事実。
日本はそんな住みにくい国なのか?
そんなに格差があるのか?
サラリーマンは会社を憎んでいるのか?
必ずしもそんなふうには思わないが、それは非現実的なのだろうか。

僕は上級国民ではない。
小さい会社とはいえ代表をやらせてもらい、一般的にみれば所得も多い部類だろう。
しかし、既得権で守られているわけでなければ、一夫多妻でもない。
いつ何時、最低の生活になるとも限らない。
常に不安と戦う生活をしている。
別の意味で”残酷な運命”を背負っているともいえるだろう。

一方で本書でいう「下級国民」でも這い上がり、
幸せな人生を送ることだってできるはずだ。
それをさも不可能なような絶望のような切り口で書かれることに違和感を感じる。
むしろ可能性を消すマイナスの行為ではないかと思ってしまう。

著者に「あんたは何にも分かっていない」と言われるかもしれないが、そんなふうに思うのだ。
そして、少しでも可能性を高めるのが僕らの事業でもあるだろう。
理想ではあるが・・・。

確かに日本のGDPの急落やエンゲージメントの低さは気になるところ。
僕が何か大きなことができるわけではない。
目の前の取り組みで少しでも関わる方をプラスの方向に持っていくだけ。

この類の書籍を読むとそんな気持ちにもなる。
それだけでも勉強になったといえる。

こういった書籍が刺激があり売れるんですね(笑)。

映画「プライベート・ウォー」

ジャーナリストは過酷な職業。
命懸けで自分の仕事を全うしていく。
本作は実話。
女性記者メリー・コルビンの半生を描いているが、彼女は命懸けを完全に通り越している。

この映画の意味を考えるとジャーナリストの役割はその実務にあるだけでなく、
亡くなった後の影響力に大きな意味があるとも言える。
戦争の悲惨さを伝えるのは現役時代だけでなく、
その役割を全うした後に本当に語られるべきかも。
本作がまさに証明している。

僕はメリー・コルビンの存在をこの映画を通して知ったわけだが、
映画を観たからこそ彼女の表現したかったことを理解した。
実話を描くのは悲しいが、十分意味のあることでもある。

その主役メリー・コルビンは激しい人物。
正義感が強く、どんな危険な場所にも飛び込み、戦争に巻き込まれることも厭わない。
そのせいで片目を失くすことになるが・・・。

一方で仕事のストレスを解消させるか如く、男に走る、酒に溺れる、ひたすら煙草を吸う。
人間は弱い。
正しく生きるだけは不可能なのだ。

その役を演じるロザムンド・パイクさんは見事。
完全にメリー・コルビン。
元々は美しい女優さんだが、それを微塵も感じさせない。

5年前の「ゴーン・ガール」は美しくも恐ろしい妻役だったが、本作は別の意味で恐ろしい。
恐ろしさを演じさせたら一番の女優さんなのかな?(笑)
「ゴーン・ガール」もほんと怖かった。
いわゆる怖い人ですね・・・。

社会派映画は僕らに多くのことを教えてくれる。
海外で起こる悲惨な出来事は瞬間瞬間、耳に入ってくるが点で伝わることがほとんど。
知識不足だけかもしれないが、点と点が繋がることは少ない。
映画は線として僕らに訴えかけてくれる。
こんな世の中にしてはいけないと・・・。
アメリカファーストの描き方がなくはないが、この事実を知り、世を問うことはかなり大切。

娯楽作品も好きだが、絶望的になるこの類の作品も好きだ。
いい映画は継続的に観るべき。
当たり前のことだが、そんなことを感じた。

「アフターデジタル」を読む

先日のスタッフブログでタカイが本書を取り上げていたので、さっそく読んでみた。
その時のブログがこちら
哲学者タカイほどの表現はできないし、
今さら紹介する必要があるのかという気もするが敢えて取り上げる。

僕も同様、かなりショックを受けた。
時代はリアルにここまで来ているのかと・・・。

まだまだ日本人感覚として残ってる要素はあると思う。
それは何かといえば中国。
中国人の爆買いや日本での行動を見ているとまだまだ自分たちの方が一歩先を進んでいると錯覚している人は多いのではないだろうか。

残念ながら僕もその一人。
しかし、それは完全に時代遅れで、僕たちは中国や中国人にもう追いつけないのではないか。
本書に書かれている行動やビジネスモデルを見れば、まさにそう。

僕らがデジタルを駆使しているのはまだまだビフォアデジタル。
ここに書かれているアフターデジタルではない。
その違いについては本書で確認いただければと思うが、僕の日々の生活も完全にビフォアデジタル。
それでもまだ進んでいる方かもしれない。

例えば、コンビニで買い物をする。
余程お店が空いていて、小銭がジャラジャラと入っている時は別だが、
それ以外で現金を使うことはない。
スマホかアップルウォッチで決済する。
仕方ないことだが、混んでるコンビニでお札を出して小銭を財布から探し、
ガチャガチャやっている姿を見てしまうと、「もっと早くして」と思ってしまう。
大きなお世話だが、こっちの方が簡単だし、早いじゃんと思ってしまう。
上から目線だったら、ごめんなさい。
行為はただのキャッシュレスに過ぎない。

映画館でも当日券を購入するために窓口に並ぶのも今の生活ではあり得ない。
それがお年寄りなら仕方のないことだとは思うが、若い人や僕らの同世代が並んでいるのを見ると「予約してQRコードが便利でおトクじゃん」と思ってしまう。
これだってビフォアデジタルだし・・・。

セキュリティもあるだろうが、そこはまた別の問題と思ったり・・・。
日本の場合、悪い意味でインフラが整っているので、そこへの利便性が遅れているのだろう。
しかし、気づいた時にもう手遅れということもある。

それは普段の生活や自分の行動ではなく、事業についてもそうだ。
エラそうに自分の行動を語っても、これからの事業を考えた場合、全然時代についていけていない。
我々の事業の環境変化は早い。
2~3年前に先端だったものが、あっという間に古くなることも十分いえる。
今でも大手同業他社と比較すれば自社が遅れているのは事実。

どこまで資本を投下できるかも限界はある。
その中で考えていかねばならない。
危機感を持つことは重要だが、絶望感を持つわけにはいかない。

本書でもすべてを理解しているわけではない。
僕のリテラシーが足りない面も多い。
そこも含めアフターデジタルをしっかりと理解しイメージしないといけない。

少なくとも老害にならないようにしないとね(笑)。

映画「記憶にございません!」

三谷監督は好きな監督である。
本人のタレント性も好きだ。
その辺の芸人よりも面白く、宣伝で登場する時も完全に番組を食ってしまうこともある。
本音なのか建前なのか、おとぼけなのか真面目なのか全く分からないところもいい。

しかし、前作「ギャラクシー街道」は観る気にならなかった。
本当は面白いのかもしれないが、その前評判の悪さと意味不明の設定で僕の足は遠のいた。
一部では三谷は終わったという声も聞かれたようだが、大河ドラマ「真田丸」で復活。

このドラマはテンポもよく惹き込まれていった。
草刈正雄氏が再注目されたのもこのドラマじゃないだろうか。
これが本作にも繋がっているのかな。
ドラマも映画もその弾けかたはいい。
彼も三谷組の一人なんだろうか。
調べてないから分からないけど・・・。

と前置きが長くなったが、本作はどうか。
素直に楽しめる映画。
笑いのポイントは人により異なるかと思うが、
僕は重要な場面でもどうでもいい場面でも結構笑っていた。
さりげないシーンで笑いを取ることができるのはセンスのよさ。
やはり天才じゃないかと思ってしまう。

絶対にあり得ない世界だし、場合によってはあちらこちらからお叱りを受けそうな感じもするが、
皮肉るだけでなくほのぼのとシアワセを感じされることで丸く収めてしまう巧みさも流石だとは思う。
ここまで書くと絶賛状態だが、果たしてどうだろう。

三谷監督の過去の作品とは大差ない。
ナンバー1とは言えないかも・・・。
でも、面白いっす。

この時代背景はいつなんだろう?
今まさにこの時代と思うが、ここで使われるのは全てガラケー。
スマホを使用する人は一人と出てこない。
7~8年前が時代設定なのだろうか。
まあ、どうでもいいのかもしれないが・・・。

僕が三谷監督が流石だと感じるのは女優さんの使い方。
まあまあ、これまでのイメージをぶち壊す使い方をされている。
吉田羊さんがあんな淫らな役なんてないだろうし、石田ゆり子さんもあんな軽い役はないだろう。
有働由美子アナはエンディングまで分からなかった。
木村佳乃さんや小池栄子さんは何となく想像できるが、まさか大統領とは(笑)。
予備知識を入れずに観て正解だった。

男性陣はお馴染みなので特に触れる必要はないだろう。
記憶のなくなる前の首相も良かったけどね・・・。

映画は人を幸せにしなければならない。
と僕はつくづく思っている。
その通りの映画だった。

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

上映時間は160分。約3時間。
タイトルも長いが上映時間も長い。
しかし、その長さを感じることなく観終えることができた。
途中ダレる時間がなくはないが、感じさせないのはクエンティン・タランティーノの力量。

彼の作品を観るのは随分と久しぶりじゃないか?
「レザボア・ドッグス」も「パルプ・フィクション」ももう忘れてしまった。
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」が最後の最後までとんでもない作品だったことは今でも覚えている。
これは監督じゃないけどね。

本作はどうか。まあまあ、とんでもない。
しかし、もっととんでもない作品だと思っていた人も多いだろう。
いつの間にか過激な映画の代表監督のように捉えられているのは心外なことかも・・・。

僕は映画を観る際、基本的に事前情報を入れないようにしている。
映画の予告編や勝手に入ってくる情報程度で、自ら調べることはない。
原作を読んでいない限り、どんなストーリーかも知らない。
本作にしても落ちぶれた元人気俳優とそのスタントマンという程度。

観終わった後に映評を読むと予備知識をつけておいた方がいいという声が多い。
確かにそうかもしれない。
しかし、僕がこのブログでネタバレをさせることはない。
このブログはクエンティン・タランティーノと同様、訳の分からないことをウリとしているから。
それでも観たくなってしまう。
なんてね・・・。

本作に吸い込まれていくとこれは実話ではないかという錯覚に陥る。
実在した人物も数多く登場。
スティーブマックイーンはそっくりだったし、ブルースリーの描き方も面白かった。
あの描き方では身内からクレームがくるのも納得できるし・・・。
何より60年代後半の撮影現場や劇場、レストランの雰囲気がいい。

ある意味、ハリウッドもおおらかな時代。
そのあたりも監督のメッセージなのかと勝手に想像してしまう。

そして、訳ありスタントマン、ブラットピットがいい。
やたら強い。
55歳であの肉体も羨ましい。
太っていくディカプリオもいいけどね。

きっとロマンポランスキーもあんなんだし、女たらしだったんだな。
映画監督は貧乏じゃないんだ・・・。
このあたりのことを監督は描きたかったようだけど、僕にはよく分からない(笑)。

こんな作品を観ると自由の国はいいなとも思ってしまう。

映画「火口のふたり」

本作はR18。すなわち18歳未満は禁止。
成人映画の部類に入る。

そんな映画をこの神聖なブログで紹介していいのか。
会社のイメージダウンにならないか。
その問いに対してはイエス。
問題はない。

本作は芸術作品、社会派ドラマ、ピュアな恋愛映画。
そんな受け取り方もできるだろう。
ピンク映画であれば中年オヤジぐらいしか興味を示さないと思うがそうではない。
ミニシアターでの上映だったが、女性客も多かったし、
いかにも知識層っぽいシニア層も多くほぼ満員だった。
そんな作品なので問題はなく、映画コラムニストとしては押さえておかねばならない。

そして、この作品に登場するのは柄本佑さんと瀧内公美さんの2人だけ。
あとはお父さんの柄本明氏が電話の声で出ているだけ。
映画のほとんどが2人の絡みのシーンであり、移動シーンであり、食事シーンである。

それで約2時間の映画が構成される。
大胆なエロチックなシーンも多いので誤解が生まれるかもしれないが、
一つ一つのセリフや表情からはせつなさややり切れなさを感じることができる。
思わずホロっとしてしまったり。

それでもポスターにあるシーンを期待してしまうから男は悲しい生き物だ。
実際はポスターにあるシーンは存在しない。

そして、本作はなんといっても瀧内公美さん。
その大胆な演技は注目されるが、彼女が醸し出す雰囲気がとてもいい。
一般的な知名度は少ないと思うが、映画では主演作が多い。
前作「彼女の人生は間違いじゃない」もデルヘル嬢という難しい役どころだったが、それもよかった。

飛びっきりの美人ではないが、屈託のない笑顔や不機嫌そうな表情につい惹かれてしまう。
もっとも注目している女優さん。
東日本大震災とか東北が舞台とかそんな共通点も彼女にとっては意味のあることだろう。

2人しか登場しない映画なので何かを語るのは難しい。
限られた劇場でしか上映されていないと思うがとにかく観てもらいたい。

名古屋ではミリオン座。
劇場の外にはこんなコーナーが・・・。

この写真だけでな分かりにくいが、原作なのかセリフなのか、重要な言葉が飾られている。
身体の言い分…。

これも名セリフなるんだろう。

映画「ダンスウィズミー」

僕は矢口監督の鑑賞ターゲットから外れてしまったのか。
そんな年齢になってしまったのか。
昔観た「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」はメチャクチャ面白かった。

素直に感動できた作品だった。
それは僕が30代と若かったせいだろうか。
当時のような感動を覚えられなかったのは僕が歳を取ったせいだろうか。

それは作品を否定しているのではない。
単純に何も考えず楽しめる映画。
スカッとした気分にもなる。
家族や子供と一緒に観るには相応しい作品。
やはりいいオジサンが一人で映画館に行ったのがいけなかったのだろう(笑)。

ストーリーもシンプル。
登場人物も限られ複雑な人間関係は一切ない。
変な緊張感を強いられることもなければ、イヤな気持ちになることもない。
クスっとした笑いをあちらこちらのシーンで呼び込んでくれる。

先日のブログで山崎監督は数少ないエンターテイメント作品を撮れる監督と書いたが、
矢口監督は数少ないコメディ作品を撮れる一人になるのだろう。
それをミュージカルで勝負する勇気も賞賛にあたる。
期待を裏切らないエンディングもいい。

ただ気になるのはこの映画のコアターゲットだ。
若い人を対象にするなら昭和的な音楽ではなくもっと近づけなければならない。
やっぱオジサン、オバサンなのかな?

僕は主役である三吉彩花さんを映画の公開まで全く知らなかった。
ミュージカルの主演だから元宝塚?くらいと思っていたが、そうではない。
その雰囲気からただのアイドルかと思ったが、そうでもない。

これはただならぬ女優さんだ。
ダンスシーンは相当練習を積み上げかなりのレベルになったのだから、相当な努力家だと思う。
その点も好感度大。

しかし、僕が気になったのはその表情。
それも悪意のある表情。
ぱっと見美しく華やかな女性であるのは間違いないが、
今後はとんでもない悪女を演じることもできるだろう。
大きな犯罪を犯したり、男どもを手玉に取る役柄もやれるんじゃないかな。
大いに期待したい。
彼女の魅力は十分に伝わった。

あともう一つ違和感を感じたこと。
舞台はまさに現代。
勤務先も最先端の一流企業。
オフィスもそんな雰囲気。
しかし、描き方がバブルなのだ。
一気にバブルに戻った感じ。
ちょっと違うのでは・・・。

そのあたりも映画を観て確認してもらいたい。
矢口監督は僕と同世代。
特にそんな方には観てもらいたい。