映画コラムニストとして映画を鑑賞して、ブログやnoteに書くだけではいけない。
自称であっても幅広い活動が求められる。

「映画は時代を映す鏡」ともいわれる。
どんな時代にどんな映画が作られ、どんな意味を持つか。
それを理解しておくのも仕事。
そう捉える必要もある。

本書は1年以上前に購入したが積読状態。
最近、ようやく読み終えた。
映画からアメリカの時代背景を読み取り、1950年代から2019年までの作品を紹介。

「赤い河」「ローマの休日」から始まり「ジョーカー」まで。
その間、「俺たちに明日はない」「卒業」「タクシードライバー」「スター・ウォーズ」
「愛と青春の旅たち」「ウォール街」「パルプフィクション」などなど。
全部で48本の映画と共にアメリカが歩んできた時代が描かれている。

僕が観た作品は半分にも満たないが、
解説を読むとどこかのタイミングで観たいと思わせてくれる。
作品の魅力よりも監督の意図であったり、時代との繋げ方であったり・・・。

現在進行形に映画を観る場合、時代背景を考えて観ることは少ない。
しかし、俯瞰して捉えるとその時代だからこそ、
その作品が求められる、そんな意味合いもある。
アカデミー賞を獲得した「オッペンハイマー」もそんなことが言えるのか・・・。

僕が生まれる前に公開され、今でも人気な「ローマの休日」も多くの意味を持つ。
ウィリアム・ワイラー監督の代表作だが、本作が制作される時期は「赤狩り」が映画界も襲っていた。
関係者に共産主義者がいたため、
それがバレないように撮影はすべてイタリアにしたという。

それまでハリウッド映画は国内のスタジオで制作されていた。
「ローマの休日」はハリウッド初のオール海外ロケだが、そんな理由があったとは・・・。
業界内では知られた話かもしれないが、初めて知った。

当時を皮肉った有名なセリフもある。
教えてもらわなきゃ、知らないままだった。
世界的ヒット作を生み出すことで批判を封じ込めてしまうが、不穏な空気がアメリカ社会に流れていた。
50年代、60年代、70年代等、各年代のアメリカ経済や政治を映画と照らし合わせながら解説。
理想や喪失、分断が描かれ、とても興味深い内容だった。

最近でいえば「ワイルドスピード」シリーズ。
僕は1作も観ていないが、単なるアクション映画ではない。
ダイバーシティという観点でもハリウッド映画を象徴している。

こう考えると映画を観ることは時代を知る重要な学習。
なんだ、僕は一生懸命、勉強していたんだ。
自分勝手に正当化しながら、これからも学んでいこうと思う。

いい勉強になりました。