まず映画館に入って驚いた。
お客さんの大半が高齢の女性。
どうだろうか、60代から70代ではないだろうか。

映画に関して敏感なのか、
シニア向けの情報誌からおススメされたのか、理由は不明。
出演者がダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、
ウィリアム・H・メイシーら往年のスター俳優も原因かもしれない。

失礼な言い方だが、80年代に最も人気のあった俳優。
懐かしさが劇場へと足を運ばせたとも考えられる。
いつまでも最前線で活躍されるのは嬉しいことだけど。
リチャード・ギアは年を取ったが、昔とほぼ変わらない。
優しくなった印象。

ストーリーは結構ありがち。
新鮮味はない。
それが却って年配者の安心材料になるのかもしれない。

不倫関係にある熟年カップルが偶然にも自分の子供同士が婚約者という設定。
そのドタバタを面白おかしく描く。
時に張り詰める場面もあるが、暴力を振るったり、相手を大きく傷つけることはない。
あくまでも面白おかしく、悲壮感は漂わない。
そして最終的にはハッピーエンド。

最近、人が傷つき救いようのない作品が多かったが、そんな世界とは真反対。
不倫を描いても人間らしさが伝わり温かい気持ちになる。
褒められた行動ではないが、決して悪くはないと・・・。

熟年夫婦を描く作品を観ると、いずれ足を踏み入れる世界と自分とダブらせる。
どこの夫婦も何十年も寄り添えば話すこともなくなり、不満もたまる。
そのまま放置するのか、改善する方向に向かうのか、
刺激を求め外に飛び出るのかは、人それぞれ。

遠くない将来、子供も結婚するだろうし、そうなると自分たちはどう向き合うのか。
あまり想像できない。
自然体でいこうと思うが、映画のような世界にならないとは限らない。
ハッピーエンドが予め分かっていれば、そんな世界も悪くはない。
適当に楽しい生活が続けばいいのかと・・・。

そんなことを思ったり。
たまには肩ひじ張らず吞気な気分で映画を観るのもいい。
そんな作品だった。