僕は矢口監督の鑑賞ターゲットから外れてしまったのか。
そんな年齢になってしまったのか。
昔観た「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」はメチャクチャ面白かった。

素直に感動できた作品だった。
それは僕が30代と若かったせいだろうか。
当時のような感動を覚えられなかったのは僕が歳を取ったせいだろうか。

それは作品を否定しているのではない。
単純に何も考えず楽しめる映画。
スカッとした気分にもなる。
家族や子供と一緒に観るには相応しい作品。
やはりいいオジサンが一人で映画館に行ったのがいけなかったのだろう(笑)。

ストーリーもシンプル。
登場人物も限られ複雑な人間関係は一切ない。
変な緊張感を強いられることもなければ、イヤな気持ちになることもない。
クスっとした笑いをあちらこちらのシーンで呼び込んでくれる。

先日のブログで山崎監督は数少ないエンターテイメント作品を撮れる監督と書いたが、
矢口監督は数少ないコメディ作品を撮れる一人になるのだろう。
それをミュージカルで勝負する勇気も賞賛にあたる。
期待を裏切らないエンディングもいい。

ただ気になるのはこの映画のコアターゲットだ。
若い人を対象にするなら昭和的な音楽ではなくもっと近づけなければならない。
やっぱオジサン、オバサンなのかな?

僕は主役である三吉彩花さんを映画の公開まで全く知らなかった。
ミュージカルの主演だから元宝塚?くらいと思っていたが、そうではない。
その雰囲気からただのアイドルかと思ったが、そうでもない。

これはただならぬ女優さんだ。
ダンスシーンは相当練習を積み上げかなりのレベルになったのだから、相当な努力家だと思う。
その点も好感度大。

しかし、僕が気になったのはその表情。
それも悪意のある表情。
ぱっと見美しく華やかな女性であるのは間違いないが、
今後はとんでもない悪女を演じることもできるだろう。
大きな犯罪を犯したり、男どもを手玉に取る役柄もやれるんじゃないかな。
大いに期待したい。
彼女の魅力は十分に伝わった。

あともう一つ違和感を感じたこと。
舞台はまさに現代。
勤務先も最先端の一流企業。
オフィスもそんな雰囲気。
しかし、描き方がバブルなのだ。
一気にバブルに戻った感じ。
ちょっと違うのでは・・・。

そのあたりも映画を観て確認してもらいたい。
矢口監督は僕と同世代。
特にそんな方には観てもらいたい。