これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

FACT FULNESS

本書の帯に踊らされたわけではない(笑)。
確かに響くコピーだけどね。
たまたま聞いていたグロービスのVoicyでおススメしていたので手に取った。

最近は車を運転する機会が増え、運転中は日経トップリーダーのCDやいくつかのVoicyを聞いたりする。
電車とは違い読書ができない辛さがあったが、使い方次第で車でも学ぶことはできる。
あまり運転は好きじゃないけど。
また、道路も混んできてるしね(笑)。

ベストセラーにあまり振り回されることはなかったが、たまにはそんな本を読むのもいい。
売れるには売れる理由があるのだから・・・。
本書もまさに売れるべくして売れた。

いかに自分たちが先入観に捕らわれ、偏ったモノの見方をしているかを痛感する。
それは日本人としての目線もあるし、先進国としての立場もあるし、
これまで与え続けられたニュースを鵜呑みにしてるケースもある。

きっと今のコロナウイルスの件も発信される情報に右往左往し、
本来観るべきデータを見落としていることも多いだろう。
だから僕はあまり情報を過度に入れないようにはしているが・・・。
ちょっと違うかな(笑)。
山中教授のコロナ感染における日本の捉え方は参考になったけど。

著者はスウェーデン人で母国を中心に物の見方を表現しているが、これは全世界にいえること。
それぞれの国で偏った捉え方がなされている。
それが安心材料になっている人も多いとは思うけど。

僕はさすがにチンパンジーには負けなかったが、
さほど変わらないとすれば、事実に基づいた世界を理解すべき。
あまり目の前ばかり見ててもいけません(笑)。

本書ではいろんなデータを取り上げ、質問を投げかけている。
ネタバレ的にひとつだけ紹介すると、

いくらかでも電気を使える人は世界にどれくらいいるでしょう?
A.20% B.50% C.80%

なんと日本の正解率は15%とかなり低い。
答えは80%になるわけだが、僕らは発展途上国の電気も水道も通っていない世界をイメージしてしまう。
そうでもない?
これも思い込み?

本書には10個の思い込みについて、著者の経験を踏まえ著されている。
著者も反省を繰り返し、ここまでたどり着いたともいえる。
僕らはどうしてもネガティブなニュースに引っ張られがちだ。

世界についても明るい話題よりも暗い話題の方が目立つ。
それに左右されることなく、より客観的に情報を読み取ることが大切。
それは身近なことでもそう。
降りかかる多くのことに一喜一憂せず、過ごしていきたいよね。

映画「ハリエット」

約3か月ぶりに映画館に足を運んだ。
ようやく本来の映画コラムニストの仕事もできるわけだ。
お邪魔したのは会社近くのミリオン座。

映画館は再開したとはいえ上映本数も少なく、話題作の上映もまだまだ。
それはミリオン座に限らず、ミッドランドスクエアシネマも中川コロナも同じ。
席数も半分程度に絞られて、着席不可のマークが・・・。

観客数も少ない。
まだまだ映画館も厳しい状況が窺える。
敢えてお客さんを呼んでいないような気もする。
それはそれでちょっと寂しい。

しばらくすれば新作も公開されるだろうが、早く通常状態に戻ってもらいたい。
映画評論仲間とも飲みながら熱く語りたいし・・・。
と久々に映画館にお邪魔した際の感想。

そんな中で観た本作。
数少ない新作。

もっと多くの作品が公開されていたらリストから漏れたかもしれないが、これもご縁。
アメリカでは誰でも知っている英雄の物語。
僕が知らなかったのは歴史の勉強不足。
ドル紙幣に採用される奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの激動の人生を描く。

僕がふと湧いた疑問。
そんな人物ならとっくの昔に映画化されていていそうだが、
そんな簡単な問題じゃないのかな。
黒人の奴隷問題を描くのは今の時代でもハードルが高いのか。
そんなわけないよね・・・。

演じる役者の問題か?
主演のシンシア・エリボを観た時に、僕はウーピー・ゴールドバーグを思い出した・・・。
今は何をされているのかな?

と本作とは関係ないことばかり書いている。
そろそろ映画の評論に入らないと・・・。

ある意味、女性ヒーローの話。
壮絶な人生を歩み、生死を掛けた行動を起こしている。

きっとすべてが実話。
常軌を逸している。
そこに感情移入し感動を生むのは間違いない。
アカデミー主演女優賞の候補になるのも頷ける。
彼女の歌も素晴らしい。

それは事実。
作品として評価も高いだろう。
だが、何かが違う。

ちょっとした違和感であり、緊張感の欠如。
この類の作品に求められるピリピリ感が足りない気がしてならない。
社会派ドラマなのか、ヒーローを描く娯楽作品なのか観る者を迷わせる。

そこが映画コラムニストとして、何かが違うと思った点だろう。
僕の感性のなさかもしれないけど・・・。

描かれている時代は1850年代。
日本では江戸時代末期。
断然時代はアメリカが進んではいるが、この時代はどこの国も大きく変わるタイミング。

たった150~160年前。
さほど昔ではない。
しかし、その歴史があるからこそ、トランプ政権も安倍政権も成り立っている。
それはどうでもいいか。
政治的意図があるわけじゃないし・・・。

コロナショック・サバイバル

いつも手厳しい冨山さんだが、商売は予想以上に上手いのかもしれない。
もちろん日本を代表する経営者の一人だし・・・。

こんな書籍を瞬く間に書き上げ、印刷、物流工程を省き、
kindleを含め電子書籍で販売してしまう。
粗利益率からすれば相当なもの。
この分野の印税の仕組みは知らないが、いいビジネスになっているのは間違いない。
と、邪な見方をしている僕は間違っているだろうか。

それは非難しているのではなく、そのすばやい動きを素直に尊敬しているのだけど。
これくらいのスピード感を持って臨まないと生き残れないと間接的に言っているのか。
そんなふうに受け止めておこう。

1年後にはもう古い本として取り扱われるのかもしれないし。
中古市場で価格が落ちるのを防ぐのも作戦のうちかな。
多分、どうでもいい読みだな(笑)。

本書で冨山氏が多用するのが「基礎疾患」というワード。
本来は病気のリスクに対して言われる言葉だが、
ここでは「財務と事業と組織の構造疾患」のことをいう。
これを治さないと「勝ち組」にはなれない。

今回のコロナであからさまになったが、これが企業としての肝。
失礼な話、レナウンなど最近倒産した企業は基礎疾患があったということ。
ニュースにも出ていたMJGなんて酷い状態だしね。

コロナショックはたまたま発生した事象に過ぎず、
どんな企業でも遅かれ早かれ見直すべきこと。
財務、事業、組織について常に健康状態を作らねばならない。

健康な体を維持するために不摂生をしないという単純な話ではなく、
新陳代謝力を高める努力をし続けること。
まさにトランスフォーメーション。

僕なんて単細胞な人間なので、
リーマンショックを乗り越えたから大丈夫と思ってしまうが、その考えでは甘い。
繰り返す時代の中で、根本的な精神的な強さは変わらないが、求められるスキルは変わっていく。

そう考えると、この環境下で推進する「名大社モデル」は決して間違っていない。
これを推し進めることがアフターコロナの世界にも繋がる。
しんどい思いや経験をしたいと次のステップには進まない。
松下幸之助さんの「好況よし、不況なおよし」をいい意味で解釈し取り組まねばならない。

冨山氏は『修羅場の「べからず」集』として、8つのすべきでない行為を表現。
ここでは紹介しないが、僕の胸に突き刺さる痛い言葉が並べられている。
もっとドライにならなきゃいかんのだね。

非常事態宣言が解除され、普段の生活に戻りつつあるこれからが企業として勝負の時期。
基礎疾患に陥らないように自分も他人も甘やかすことなく接していきたい。

起業家の勇気

「ネット興亡期」トークLIVEを視聴した後、すぐ本書を手に取った。
本書の主役である宇野康秀氏は僕が憧れる経営者の一人。
尊敬するというより憧れるという言葉の方が適切だろう。

僕が30歳を過ぎたころ、業界内でインテリジェンスという会社が評判になっていた。
東京の方はもう少し早いだろうね(笑)。
当時、経済誌や業界紙を漁りながら、この会社のことを探っていた。

経営者である宇野氏は頻繁に登場し、その取り組みを語っていた。
颯爽とスーツを着こなし、見ての通りのイケメン。
名古屋の平凡な営業マンとの差を感じながら、大きな刺激を受けていた。

それでも僕は会社ではデキる営業で、生意気にも会社のスピードの遅さに不満を感じていた。
真剣にインテリジェンスに転職しようとも考えていた。
当時、副社長だった鎌田さんから結局、合否の返事はもらっていないんだけど(笑)。

その後、いろんな展開があり、ネット事業の責任者を任されたり、
あらゆる事業に絡まされ、紆余曲折を経て今の立場になったわけだが、
僕にとってはカッコいいと思う経営者だった。

ただ最近はあまり気にすることなく、今に至り、この番組で久しぶりに拝見することになった。
活躍は間接的に知っているものの、どん底から抜け出し、現在に至る背景は知らない。
そのあたりの壮絶さを理解したいと思い、本書を読んだ。

どんな優秀な人でも、悩み苦しみ、絶望を味わい、抜け殻のようになり、
酒で誤魔化す日を送る。
最終的にそこから抜け出す力があるかどうかで、
そのマイナス面はすべて過去の話で落ち着くわけだが、その過程は想像を超える。

1億、2億で悩む僕なんて人間が小さすぎると思わざるを得ない。
最後に見せる涙は嬉し涙か、悔し涙か。
その涙で、その人の価値が理解できたり・・・。
果たして僕はどっちの涙を流すのだろう。

一見クールそうに見える宇野氏だが、実際はかなり人間っぽいところがあるようだ。
本書の中で、サイバーエージェントの藤田社長は宇野氏をこんな風に評している。

「生半可でない粘り強さ、持続的な構想力、冷めない情熱。
起業家の総合力をチャートにするとすべてがマックス。
弱点は優しすぎるところ」

本書で初めて知ったが、宇野氏の実兄も優しすぎる性格ゆえ、最後は自ら命を絶った。
人にとって優しさは重要だが、最後の最後には斬り捨てるべきものなのかもしれない。
本書の主旨とは異なるが、そんなことも感じた。

宇野氏の生き方はハードワークそのもの。
寝る時間を惜しみ仕事をした若い時代が今を支えている面もあるだろう。
多分、今もその気持ちはきっとどこかにあるのだろうが、
それを言い切れない点は辛いところかな(笑)。

欲を言えば、本書ではもっと宇野氏を掘り下げて欲しかった。
そこまで自己開示を許さなかったのかもしれないが、
ここ最近の活躍ももっと知りたかった。

一度でいいから直接お会いする機会があると嬉しい。
僕のかすかな記憶では大学時代にお会いしてるのかもしれないけど・・・。
西川りゅうじんさんだったかもしれないな(笑)。

改めて背負うことの重圧に涙しそうになった。
もっと多くの経営者の経験を学ぶべきだね。

映画「サウルの息子」

映画評論仲間の薮さんが、
(そんな仲間があるのか・・・)
GW中に鑑賞し絶賛していた。

何、この映画?
映画コラムニストとしては失格なのか、全然知らなかった。
調べてみると2016年のキネマ旬報では洋画部門で6位。
かなり評価の高い作品。
毎年、購入しているキネマ旬報をすっかり見落としていた。

はっきりいってそれくらい地味。
しかし、2015年カンヌ国際映画祭ではグランプリ、
アカデミー賞で外国映画賞を獲得した優秀作。
それに惑わされるわけではないが、
映画コラムニストとして未熟さを実感せざるを得ない。

それは仕方ない。
僕は日本映画メインの映画コラムニストだから・・・笑。

本作はハンガリー映画。
ハンガリー映画は2年前に観た「心と体と」しか知らない。
ハンガリーの男は何だか屈折している。
醸し出す重い表情も・・・。
それが魅力だったりするのかな。
と、どうでもいいことを書くと関係者や作品のファンから叱られそうだ。

本作はどこまでも息苦しく辛い。
近い世界でも、先日、読んだ「夜と霧」は希望があった。
その文章から想像する世界にはまだ明日を感じた。

同じアウシュビッツ収容所を描いてはいるが、
自らイメージできる世界と映像がありイメージできない世界。
書籍と映画の違いはあるが、やはり向かう先が違う。

イメージは僕らを裏切らない。
かすかな希望と救いようのない絶望。
イメージ通りになってしまう。

悲しいがそれが現実。
見方を変えれば、それは作り手の勝利か。
戦争の悲惨さを描こうと思えば、視聴者をその気にさせるのは大切。
しかし、そのまま飲み込ませてしまうのはいかがなものか。

真実を伝えることが目的だが、真実は人を大いに傷つける。
その傷つけ方も巧みだ。
ワンカットは長く、常にカメラは背後から回る。
時に演出かドキュメンタリーか迷わせる。
リアルの場にカメラが潜入してるかのように。

カメラは常にサウルにフォーカスするため、それ以外はボカシてしか映らない。
それが凄まじく恐ろしい。
ボカされているからまだ見れる。
そうでなけれ目を背けざるを得ない。

そんな映像が続くわけだが、僕は映画に吸い込まれサウルに同化していく。
息子の埋葬のために自分勝手に動く姿は同じ囚人としては許されるものではない。
それでも観る者は何とかしてやりたいと思ってしまう。
それだけ絶望的な世界の中で、小さなこだわりを貫く姿に気持ちを奪われる。
やめておけ、やめておけ、と心で叫びながらもサウルの行動を応援する。

しかし・・・。

この世界はアウシュビッツ収容所では日常。
異常な世界が日常になる。
その日常は人を非日常へと誘う。

それを感じさせる映画。
知っておくべき世界だが、かなり辛い。

昭和天皇物語

ちょくちょくマンガを読んでいる。
本をそのまま購入するのが恥ずかしいのか(笑)、すべて電子書籍。
kindleの中に放りこんでいる。

石ノ森章太郎の「マンガ日本の歴史」は38巻まで到達。
江戸時代も後半に入り、そろそろ幕府の問題点があぶり出されてきた。

高校時代、日本史は得意だったが何の役にも立っていない。
受験で生きただけのこと。
記憶力に自信があったので、点では理解していた。
肝心な線を描けていなかった。
どんな背景で何をもって時代を動かしていたのか、表面でしか理解していなかった。

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という。
ビスマルクの言葉だが、これは世界共通だろう。
今更ではあるが、もっと歴史を知らなきゃいけない。

それがマンガか?
という軽蔑の眼差しもあるかもしれないが、これも手段の一つ。
全体を理解した上で、細かな掘り下げをしていく。
なんて書くとカッコつけているようだが、これも地道な学びと解釈(笑)。

そして、今読んでいるのが「昭和天皇物語」。
先日、6巻が発売された。

僕は昭和天皇というとご高齢で公務をされていた事しか記憶にない。
あとは玉音放送くらい。TVや映画でね・・・。
若い頃は興味すら持っていなかった。

時代が平成になり、そして令和に移った今、天皇家についてもより知る必要性、
日本人として理解すべきと考えるようになってきた。
幸い僕の周りのは詳しい友人が多いので教えてもらうこともあるが、
自らももっと学ばなきゃいけない。

それがマンガか!
と軽蔑の眼差しもあるかもしれないが、これもまた一つ。

6巻で描かれるのは、関東大震災の復興から大正時代を終えるころ。
皇太子としてご成婚された時期。
どこまで忠実に描いているかは定かではないが、天皇を継ぐ者としての覚悟が伝わってくる。
同時に人となり(昭和天皇に向かってその表現は失礼?)も明確になっている。

その言動には思わず涙が出そうになる。
日本以外の世界を観ることで価値観も多様化していく。
そして、皇后の存在感も・・・。

これだけでも歴史を学ぶことは重要。
さらに深堀り必要だろうが・・・。

日本が歩んできた道のりを学び、今後の自分たちの在り方をどうしていくのか。
歴代天皇の中では在位期間が最も長い昭和天皇から教えて頂くことも多そう。
すでに7巻の発売が待ち遠しい。

映画「半世界」

昨年、見逃した作品をAmazonプライムの有料版で・・・。
最近、Amazonプライムは有料版ばかり観ている。
メリットないじゃんね(笑)。

大きな話題にはなってはいないが、内外の評価も高い。
キネマ旬報ベストテンでは日本映画2位だし、
読者選出ベストテンではなんと1位。
洋画「ジョーカー」のような過激さはなく、邦画「火口のふたり」のようなドキドキ感もない。
とても小さな世界の普通の人たちの話。

しかし、映画にはグイグイ引き込まれ、いつの間にか終わる。
主役と一緒に喜んだり悲しんだり、時に苦しんだりと・・・。
僕と登場人物の距離感は近い。

その一つはロケ地。
映画ではある地方都市しか表現されていないが、ここは三重県伊勢志摩。
奥さん役である池脇千鶴は近鉄に乗るし、松坂牛で有名な和田金に顔を出す。

近鉄の行先は伊勢中川。
乗っている車両も僕と同じ。
行先は反対方面だと思うけど・・・。
だから距離感が近い。

いやいや、これはどうでもいい話(笑)。

池脇千鶴が車中で崩れ落ちるシーンはなんとも辛かったけど・・・。
彼女の助演女優賞は頷ける。
今後もいい母親役をやっていくんだな。
ガチで・・・。

主役は元スマップの吾郎ちゃん。
随分前の「十三人の刺客」もよかったが、これもいい。
「凪待ち」の慎吾ちゃんといい、脱退したメンバーはいい役者人生を歩んでいるんじゃないの?
草彅くんの「台風家族」も評判高いようだし・・・。
オムニバスの「クソ野郎と美しき世界」は総じて駄作だが・・・(笑)。

本作は稲垣吾郎、長谷川博己、渋川晴彦(彼もいい味)が演じる幼馴染みの友情を描く。
同級生の友情というと安っぽく聞こえるが、そうではない。
40歳を手前にそれぞれの事情を抱え、自分と相手に葛藤を繰り返す。

順調なことはほんの少ししかない。
他人から見れば小さな問題に悩み、時々逃げながらも真剣に向かい合う。
それが人間っぽさを感じさせる。

そして突然訪れる死。
人生なんてそんなものかもしれない。
日常の中で突然やってくる。
それでも悲しさの中に立ち止まっているわけにはいかず、前に進まなきゃいけない。

その描き方が清々しい。
過度にお涙頂戴にせず、
(それでも涙を流しちゃうけど・・・)
現実を受け入れる。
何があろうと残る者は生きていかねばならない。

大きな世界を描くことはできないし、知ることもできない。
懸命に小さな世界の中で生きている。
だから半世界なのだろうか・・・。

僕も小さな世界の中で生き抜いていかないとね。
胸に刻まれる映画でした。

夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録

経営者仲間で愚か者本部副本部長の櫻山さんが
「読書を実践に活かす!蔵書者の視点」で書評を書いている。

「夜と霧」

愚か者の要素は何一つない。
この書評を読んで僕も手に取った。

Amazonの中古本で購入した本書はいい意味で色あせ、重みを醸し出している。
最近は節約で中古本が増えてるな(笑)。

櫻山さんの書評には人生の意味、未来への希望が書かれているが、
読み進めてもそんな感じは一切しない。
戦争の地獄模様が伝わるばかり。
読みながらも目を覆いたくなる。

戦争はすべての人を破壊する。
それはその当事者だけでなく周辺の人たちも。

本書ではアウシュビッツ収容所の状況が克明に記されているが、想像を遥かに超える。
過去、ドキュメンタリーや映画でその状況は知っているつもりだが、
それはほんの僅かを切り取ったにすぎない。
日常的に繰り返される過酷な労働や非人間的な扱いは読んでいて辛くなる。
こんな実験は許されるのか・・・。

それは収容された側だけでない。
非人間的に行為は非人間的な人物を作り、そこには倫理や理性のかけらもない。
罪悪感なんて感情は平時においてしか成り立たない。
まっとうな精神状態を持つこと自体が稀である。

見えてくるのは絶望。
それを漂わせる長い長い解説であった。

ここで本を止めることもできた。
希望なんて期待しないほうがいい。
それを今、コロナが襲う現状と当てはめてみてもいい。

みえてくるのは不安と諦め。
そんなものしかない。
だから読み進めなきゃいけない。

どんな時にも冷静に自分を受け止め、できることを少しずつでも行う。
どれだけ期待を裏切られても希望は失わない。
アウシュビッツであれば、その精神状態を維持するのは尋常ではない。
著者の精神力だから叶えられたのだろう。

だが、今、生きる世界はそこまでではない。
注意していれば死が訪れることはない。
誰かに脅かされることもない。
経済を語れるだけ平和な証拠なのかもしれない。
当時と比較をすれば・・・。

そんな簡単でないのは事実だし、朝の気持ちと夜の気持ち、
昨日の感情と今日の感情、同じであることはない。
それでも前を向き歩かねばならない。

ジッと耐えることも必要。
今、寒さや空腹が体を襲うことはない。
それだけでもまだいいじゃないか。
そう思って毎日過ごすしかない。

この時期に本書読めたのはいい機会だった。
ありがとうございました。

人と組織のマネジメントバイアス

こんな立派なことを書く先生方が自分の身近に存在するとは大変ありがたい。

曽和さんは一昨日のオンライン飲み会でもご一緒したし(笑)。
それにしても最近は自らの発信も含め露出が激しい。
それだけ多岐に亘る思考を持った方なんだろう。

伊達さんも学術界とは思えない容姿と語り口で分かりやすく情報を提供してくれる。
僕は頷きながら聞くばかり・・・。

そんな出足だと本書は宣伝本に近い思われるかもしれない。

いっておこう。
宣伝です!

しかし、単に知り合いが著者だから宣伝するのではなく、それは読む価値があるから。
組織に関わる者、人事に関わる者、社内的に人的問題を抱え悩んでいる者、
自分のやり方は正しいと思い込んでいる者には読んでもらいたい。

僕自身も自分が正しいと思っていたことが必ずしもそうでなかったり、
自信がなかったことが案外正解に近かったり、それを感じ取れたのは本書を読んだからこそ言える。

決してこうすべきと答えが書いてあるわけではない。
それを求めている方にとってはモヤモヤ感が残るとは思うが、
簡単に〇×で判断できない人に携わるとはそんなことなんだろう。

本書は採用、育成、評価、成長、文化、各々が持ち得るバイアスポイントを45項目で著されている。
なるほど!と思う点もあれば、よう分からんな・・・と思う点もある。
よう分からんな・・・という点に関しては読み込みが足りないか、
自分の考えが浅いことになるのだろう。

その気づきを得るだけでも今のポジションを把握することができるし、
課題解決の糸口にも繋がる。
評価のバイアスを読みながら、本当に評価なんて必要なのかと思ってみたり(笑)。

いすれにせよ単純な社会ではなくなった。
昔のようにただガムシャラに仕事すれば成長できる時代ではない。
それ自体求められていない。

だんだん付いていけなくなる自分を恐れながらも、
吸収すべきは吸収し、変化させるべきは変化させる。
これから益々働き方や会社との関わり方は変わってくるし・・・。

たかだかこの1~2か月だけでも多くの企業でこれまで気づかなかった問題が発生する。
それは他人事ではない。
それは文化なのか、評価なのか。
採用の世界も大きく変わっていく。
新たなバイアスも生まれるだろう。

その時に僕はどんな立ち位置でいられるのか。
答えはすぐ見つからないが、逃げることなく立ち向かわねば・・・。

いい勉強になりました。
ありがとうございました。

映画「時計じかけのオレンジ」

なんだか無性に本作を観たくなった。
初めて見たのはいつだったか。
多分、15年ほど前。
かなり衝撃を受けた記憶がある。
めちゃドギツい作品。

本作が公開されたのは1971年なので、約50年前の映画。
今観ても全く古さを感じさせない。
むしろ新しさを感じさせる。

時代背景が違うのでその差はやむを得ないが、
この時代に作られたとしても違和感は感じない。
テーマは普遍的。
あらためて本作の凄さに朦朧としてしまった。

オープニングからラストシーンまでの斬新な映像は観る者を驚かせる。
一つ一つのオブジェや色彩も強烈。
公開禁止になるのも納得できるし、
もしかしたら今作られていたらお蔵入りなのかもしれない。

なぜ、急にこの作品を観たくなったかは分からないが、
スタンリー・キューブリックなら答えを導いてくれそう。
きっと僕の中の感情がそうさせているんだろうね。

キューブリック監督といえば、生涯でそれほど作品を撮っていない。
一番評価されているのは「2001年宇宙の旅」だが、どの作品も話題作ばかり。
僕が最初に観たのは「フルメタル・ジャケット」だが、
公開当時はかなり話題になり強烈な印象を残していた。
従来の戦争映画とは一線を画した感があった。
一般的な映画監督に比べ、こだわりが100倍くらい違うのだろう。

今でも映画史上最高の作品ベストテンを行うと必ず「2001年宇宙の旅」はランク入りする。
僕はこの「時計じかけのオレンジ」がランク入りしてもいいとは思うが、
映画史上最高の~と言われると愚か者扱いされそうだ。

ちなみに僕は監督作品をすべて見ているわけではない。
恥ずかしながら「2001年宇宙の旅」もまだ観ていない。
あらま・・・。それでは100%説得力がないね。
語る資格すらないじゃないか(笑)。

まあ、それはともかく本作を観たことがない人は、是非!。
人間性を疑われるかもしれないが、人の強さや弱さ、狡さやしたたかさ、
リーダーシップやヒエラルキー、理性と本性を学ぶことができる。
とても恐ろしい作品だけど。

比較的、時間の余裕のあるこのGW期間がいいのかも・・・。