経営者仲間で愚か者本部副本部長の櫻山さんが
「読書を実践に活かす!蔵書者の視点」で書評を書いている。

「夜と霧」

愚か者の要素は何一つない。
この書評を読んで僕も手に取った。

Amazonの中古本で購入した本書はいい意味で色あせ、重みを醸し出している。
最近は節約で中古本が増えてるな(笑)。

櫻山さんの書評には人生の意味、未来への希望が書かれているが、
読み進めてもそんな感じは一切しない。
戦争の地獄模様が伝わるばかり。
読みながらも目を覆いたくなる。

戦争はすべての人を破壊する。
それはその当事者だけでなく周辺の人たちも。

本書ではアウシュビッツ収容所の状況が克明に記されているが、想像を遥かに超える。
過去、ドキュメンタリーや映画でその状況は知っているつもりだが、
それはほんの僅かを切り取ったにすぎない。
日常的に繰り返される過酷な労働や非人間的な扱いは読んでいて辛くなる。
こんな実験は許されるのか・・・。

それは収容された側だけでない。
非人間的に行為は非人間的な人物を作り、そこには倫理や理性のかけらもない。
罪悪感なんて感情は平時においてしか成り立たない。
まっとうな精神状態を持つこと自体が稀である。

見えてくるのは絶望。
それを漂わせる長い長い解説であった。

ここで本を止めることもできた。
希望なんて期待しないほうがいい。
それを今、コロナが襲う現状と当てはめてみてもいい。

みえてくるのは不安と諦め。
そんなものしかない。
だから読み進めなきゃいけない。

どんな時にも冷静に自分を受け止め、できることを少しずつでも行う。
どれだけ期待を裏切られても希望は失わない。
アウシュビッツであれば、その精神状態を維持するのは尋常ではない。
著者の精神力だから叶えられたのだろう。

だが、今、生きる世界はそこまでではない。
注意していれば死が訪れることはない。
誰かに脅かされることもない。
経済を語れるだけ平和な証拠なのかもしれない。
当時と比較をすれば・・・。

そんな簡単でないのは事実だし、朝の気持ちと夜の気持ち、
昨日の感情と今日の感情、同じであることはない。
それでも前を向き歩かねばならない。

ジッと耐えることも必要。
今、寒さや空腹が体を襲うことはない。
それだけでもまだいいじゃないか。
そう思って毎日過ごすしかない。

この時期に本書読めたのはいい機会だった。
ありがとうございました。