ハンガリー映画なんて初めて観たんじゃないかな?
あえて選んだというよりは、
上映時間のタイミングがたまたま良かっただけのこと。
それが大きな理由。

最近は洋画ばかり観ている。
このGWはできれば邦画を観たかったが、
気持ちが揺れ動く作品がない。
う~む、なんてこった・・・。

本作は2017年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品。
すなわち最優秀作品賞。
僕は単純にこれに気持ちが揺れ動いたのかもしれない(笑)。

さぞかし難解で社会性の高いドラマかと期待するだろう。
しかし、そうではない。
チープな表現をすれば、奥手の若く美しい女性と片腕の悪いオッサンとの恋愛物語。
なんてことはないストーリー。
単にそれだけの物語であれば、僕でも撮れる(笑)。

若い女性とオッサンとのラブストーリーだが、
そこには神秘的であり幻想的であり、心が揺れ動かされる展開がある。
今回は揺れ動くことが多い・・・。

それは夢の中に登場する鹿であり、現実の世界で見せつけられる牛の加工処理。
そして、人間と牛の血。
血って、こんなに美しい色をしていたかと少し幻想的になる。

この現実はいつの時代だろうかと映画を観ながら、僕自身が彷徨う。
オフィスや街の風景は少し古い。
だが、登場人物は当たり前のようにスマホを使う。
それはブタペスト郊外がそんな雰囲気を出しているだけで、あきらかに現代。

そして、ここに住む人は孤独だ。
この後、ブログに書く「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」もテーマは孤独。
孤独は万国共通のテーマなのか。
どこの国でも生きづらさはあるということか。
その中でもお互い理解し合おうとする姿勢が必要なんだね。

本作はなんといっても主役マーリアを演じるアレクサンドラ・ボルベーイ。
当たり前だが全く知らない。
彼女の透き通るような美しさと
その性格を表す無表情さと真っ直ぐ見つめる視線が印象的。

あのような女性をハンガリー美人というのだろうか。
そんなことはどうでもいい(笑)。

2人が惹かれ合うまでは少々眠かったりするが、
そこからはどんどん映画に引き込まれていく。
そして、突拍子もない行動がそれに拍車をかける。
どうなるかは映画を観てもらえばいいのだろうけど、
この作品を観ることはきっと簡単じゃないはず。
上映期間も劇場も限られている。

だから、はっきり言っておこう。
ハッピーエンドでステキな感じ。
こんな映画もたまにはいいんじゃないかな。

邦画もガキっぽい恋愛ものばかりじゃなく、
大人が楽しめる恋愛ものを作って欲しい。