これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

money16041

遅ればせながら映画館へ行ってきた。
矢継ぎ早に出るセリフ、時代時代を瞬間的に映し出す映像。
単純に楽しめる映画であった。

しかし、笑えるも笑えない映画でもあった。
本作は実話も基に製作され、時代背景はリーマンショック前。
金融工学に踊らされている2000年代後半を描いている。
思い出せば少し前の時代。
この映画を観たほとんどの人がリアルにこの時期を過ごしているはずだ。

もし、この映画で描かれている異常な世界がなければ世の中は大きく変わっていたと思う。
「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引なんて素人には分かり得ぬ世界だし、
サブプライムローンなんてインチキなシステムもその当時は絶賛されていた。

よくよく考えれば不思議である。
この異常とも思えるウォール街の世界がなければリーマンショックは起きなかっただろうし、
リーマンショックがなければ今の日本経済も全然違う方向に向かっていたかもしれない。

ということは、僕がこうして名大社のトップとして仕事をしていることもなかった。
今、僕が存在するのはリーマンショックの影響で、会社が落ち込んだ理由が大きい。
それがなければ僕が名大社の社長になることはなかっただろう。
となると、不思議な話だが、この作品と僕は遠いところで繋がっていることになる。
笑えるも笑えない映画というのは正しいのではないか・・・。
映画終了後は放心状態に陥ってしまった。
それは大袈裟だけど・・・。

言い方は悪いかもしれないが、この映画に登場する人物はほとんど働いていない。
汗を流して働いていない。
実際は忙しくは働いているが、何かを生み出しているわけでもなく、
お金の動きを入念に見ているだけ。
それで大儲けできること自体がやはりおかしいと考えるべき。
虚業と呼ばれても不思議ではない。
ただ、それは繰り返されることで、僕がその中に巻き込まれることも十分考えられる。
すでにがんじがらめになっているという噂もある。
それはウソです・・・(笑)。

本作を観た時、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を思い出した。
この作品より時代に対する批判が強かったのが救いなのかもしれない。
娯楽映画として楽しめるのも事実だが、
先行きの不安感を抱きたいのであれば観ておく映画だと思う。
なんじゃそれ・・・(笑)。

映画「家族はつらいよ」

kazoku1603

山田洋次監督はいつも変わらない。
いつまで経っても昭和の香りがする。
妻夫木聡くんも蒼井優ちゃんも今風の格好はしているものの昭和を感じさせる。
そのセリフ回し、玄関で必ず誰かがズッコケる、
壁にかけてある額縁が傾く、兄貴が弟にちょっかいを出す・・・。
典型的なパターン。
絶対と言っていいほど家族を描く山田作品には盛り込まれている。

それが観る者に安心感を与えるのかもしれない。
メチャクチャ笑えるわけでも、メチャクチャ泣けるわけでもない。
少しだけ笑えて、少しだけ泣ける。

寅さんにしたって、そんな映画だった。
ノスタルジックな雰囲気が僕らを昭和に戻していく。
今の中高生が観たら、ちょっと昔の映画だと思ってしまうだろう。

これもユーモアなのかもしれないが、映画の所々に山田作品が顔を出す。
東京家族のポスターであったり、寅さんのDVDであったり・・・。
ストーリーとは全く関係ないので、詳細を語っていもいいのだけれど、
それは止めておくことにしたい(笑)。
ユーモア以外の意味はあるのだろうか・・・。

多くの人が言ってるように本作は3年前の「東京家族」とほぼ同じキャスト。
夫婦設定も恋人関係も一緒。
蒼井優ちゃんはいつも自転車に乗っている。
その姿は凛々しくも可愛らしい。
とここまで、いろいろ書いてきたが、映画の内容には一切触れていない。

いつもの全く参考にならない映評ブログになってしまいそうなので、少しだけ触れておこう。
橋爪功さん扮するオヤジさんは昔よくあった家では何もしない父親。
「これじゃあ、捨てられるわ」と無責任に観ていたが、僕の遠い存在ではない。
いつも酔っぱらって帰ってくるし、服も脱ぎっぱなし。
さすがに靴下は裏返しで脱がないが、いや、たまにあるかな・・・
メチャ近い存在かもしれない。

ということは、いずれ僕も嫁さんに捨てられる時が来るかもしれない。
少しだけドキッとした。
僕の周りは同じような親父たちばかりだと思うけど。
あっ、仲間を増やそうとしているな・・・。

超大作でも社会派ドラマでもない。
ドラマのスケールもはっきり言って小さい。
それでもつい観てしまうのは、僕にまだ人間らしさが残っていて、
ホッとする瞬間を求めているのかもしれない。
やっぱりこれでは映画の参考にはならないな(笑)。
松竹ぽくっていいけど・・・。

それにしても山田洋次監督、以前より増して映画を撮っていると思う。
いつまでも精力的に活動してもらいたい。

もうひとつのプロ野球

yakyu1602

書籍を購入する際に選ぶ基準は、好きな作家かどうか、書籍広告のコピー、
知人・友人のおススメ、書店で感覚的に選ぶ、そんなところ。
加えればもう一つ。
毎週に日曜日に掲載されている中日新聞や日経新聞の書評。
こちらも結構参考にしている。

本書は確か中日新聞の書評欄に取り上げられていた。
もし、その紙面を読んでいなければ、この本の存在に気付かなかったし、
購入はしなかっただろう。

元々、スポーツノンフィクションは好きなジャンルである。
最近はめっきりご無沙汰だが、Numberをよく読んでいた頃、その類の書籍を好んで買っていた。
沢木耕太郎氏の影響が強いかと思うが、スポーツノンフィクションの世界にハマった時期があった。
金子達仁、小松成美、戸塚啓あたりも読んでいた。
今でも「中田英寿 鼓動」(小松成美著)は名著だと思う。
息子に読め!読め!と言っても、なかなか読まないけど・・・(苦笑)。

本書もジャンルとしてはスポーツノンフィクションにあたるだろう。
しかし、僕がこれまで読んできた類とは全然異なる。
まずワクワクも興奮もしない。感動もしない。
少しやるせない気持ちになる。これが正直な感想。
こんなことを書いてしまうと読み手のヤル気を失くさせてしまうし、
退屈な書籍と捉えられてしまうだろう。
決してそうではない。
読む価値はある。
無駄に広がった野球の世界を含め、若者の行動特性を含め、学ぶべき点は多い。

スポーツ紙も読まないので実態はサッパリ知らないが、
本書には独立リーグの現状がガッカリするほど克明に書かれている。
それは球団の置かれた環境とその配下にある選手の生き様が描かれている。
こんな世界があるとは想像もしていなかった。
厳密にいえば、想像しようとも思わなかった。
しかし、そこには自らの全てを賭けて戦う選手の姿があった。
こう表現すると聞こえはいいとは思うが、実際のところ、かなり中途半端。
物凄く失礼な言い方になってしまうが(申し訳ありません)、短絡的な行動も多い。

月収3万円でも稼いでいればプロとして認められるのだろうが、自己満足に過ぎない面もある。
国内であろうが海外であろうが関係ない。
そのチャレンジ精神には敬服するが、「努力は裏切らない」とはちょっと異なる。
本書は野球界を取り上げているが、きっとサッカー界でも芸能界でもアートの分野でも
同様のことが言えるだろうし、同じような人たちがどんな世界にもたむろはしているのだろう。

本書では、野球ができる環境を求めて彷徨う人たちを”ノマドリーガー”と呼んでいるが、
そんな人が社会で通用しないかといえば、そうではない。
きちんと自らの方向性と覚悟さえ決めれば、それを受け止めてくれる企業や社会は存在する。
人生の落伍者でもないし、下層社会への転落でもない。
その精神性をうまく生かせば求められる人物像にもなり得る。
そのあたりでは著者の考えとは異なるが、それはあくまでも一般論の話。
著者が間近で見てきた世界の方が説得力はあるだろう。

う~ん、なんだろうな、この切ない感覚。
沢木耕太郎氏の「敗れざる者たち」のちょっと頼りない平成版といったところか・・・。

映画「女が眠る時」

onna1603

公開から2日目、休日の昼間に出掛けたのだが、観客は僕を含め5名。
シネコンの中では最も小さい劇場での上映だったが、それでもがら空き状態。
「そんなに話題性がないのか・・・」と映画を観る前は思ったものだが、
鑑賞後は、「それもしょうがない・・・。」とも感じてしまった。

それはこの作品が観るに値しないと言っているわけではなく、
一般受けするにはちょっと難しいということ。
休日に家族とかカップルで観るには確かに相応しくない。
平日のレイトショーあたりの方が観客数は伸びるのではないだろうか。

予備知識を持たずして観たため、どんなストーリー展開になるのか全く読めない。
いつもであれば映画の途中段階でラストシーンを何となくイメージするがそれも全然できない。
一つひとつのシーンが現実なのか夢なのかも映画に入り込んでも理解できない。
観ている側もあっちにもこっちにも引っ張られる。
それが恐ろしさを増幅させ緊張感を与える。

映画の主役はビートたけし氏演じる初老の男だが、
ストーリーはあくまでも作家役の西島秀俊氏が中心。
どうみても主役は西島氏だと思う。
それにしても作家であんな鍛えられた肉体はないよな(笑)。
三島由紀夫くらいじゃないかな・・・。

それはさておき、この作家の微妙な心理状況の描き方は秀逸。
人間の下劣な好奇心を含め巧みに描いている。
だれでもあの環境下に身を置くことも考えられる。
そして、映画は謎だらけ。
最後まで謎だらけ。
明確な回答があると思うが、観客に解を委ねているといっても
言い過ぎではないのではなかろうか。
それが僕の印象。

従って、「面白い!」という人もいれば、「全然わけ分からん!」という人もいるだろう。
あれだけの狭い空間(映画はホテルとその半径5キロくらいしか動かないので・・・)で退屈にもさせず、
数日間の設定で物語を完結させる力はさすがだと思う。
アップの映し方とか細かな照明の具合とかは演出にいい影響を与えていた。

ここまで書いたところでどんな映画かはさっぱり分からないだろう。
それでいい。
興行成績を求める映画ではないと思うので、時間に余裕がありマニアの人が観ればいい。
僕が時間に余裕があり、マニアというわけではないけど・・・。

上司力20

jousi16021

正式なタイトルは”上司力20 部下に信頼される20の法則”。
「えっ、こんな本読むの?」と思われるかもしれないが、
「はい、読むんです・・・。」
本来は自分で買うべき書籍だが、著者の江口克彦氏に頂いた。
このように本人直筆のサインもある。

jousi16022

自慢しているわけではないですよ(笑)。

経営の神様、松下幸之助の側近中の側近であった著者が以前発行した
「上司の哲学」を基に大幅に加筆修正したのが本書。
元みんなの党代表の渡辺喜美氏への苦言から始まり、
松下幸之助とのエピソードを交え、上司となる人物のあるべき行動論が書かれている。
特に目新しい内容ではないが、僕にとっては納得する項目ばかり。
同時に反省させられる項目も多い。

今の僕の立場で言えば、新人から上級幹部までが部下にあたる。
その役職や経験値において接し方は変わるのだが、
上司として求められることは基本的には変わらない。
本書を読みながら、自分の不出来を振り返りながら、冷や汗が出てきた。
実際に冷や汗は出てはいないが(笑)、頭では理解しながらも、
態度や行動としておろそかにしている点が目立った。

そんな意味においては、江口氏に叱責を受けている状態。
今、他人から叱られる機会がほとんどない生活からすれば、これはむしろありがたい。
もっともっと厳しいお言葉を頂かないと自分の成長にも繋がらない。

本書には著者が経験した有名なエピソードもいくつか紹介されている。
つい先日、同級生経営者仲間の櫻山さん
たまたま幸之助(呼び捨てですみません)と江口氏の話になった。
僕が知らないエピソードだったが、櫻山さんが教えてくれて感動で涙が出そうになった。

それは「君、ハーマン・カーンという人を知っているか?」という同じ質問を繰り返す話。
全文紹介したいが、そこまで書くのはしんどいので、こちらを参考にどうぞ。
最近の東洋経済オンラインでも紹介されていた。

改めて読んでもジーンとくる。部下冥利に尽きるだろう。
こんなふうになるのは無理にしても、少しでも気を利かす言葉は持っていたい。
もっと謙虚になり学ばねばなりませんが・・・。

僕から会社のリーダーに本書の内容をあえて説明することはない。
しかし、このブログを読んで、きっと本棚から本書を借りていくだろう。
そんなことを期待していたい(笑)。

映画「俳優 亀岡拓次」

kame1602

なんだろう、この感覚。
秀作と呼ばれるような作品でもない。
コメディー映画とも違う。
70年代の映画にあった哀愁も香るし、90年代後半の諦め感も感じる。
どう表現すればいいのかわからない。
昭和と平成が入り混じった感じ。

でもなんかいい。この体から力が抜けていく感覚がとても心地よい。
それは主役亀岡拓次演じる安田顕さんの「すんません・・」と謝ってばかりの演技もあれば、
いきなりスナックで神戸浩さんが登場するシチュエーションが僕をそんな方向に導く。
脇を固める大物俳優の存在も大きい。
三田佳子さんの迫力は「Wの悲劇」を思い出してしまった。
随分、年は取ったけど・・・(笑)。

ストーリーはたわいもないので、あえてブログでは説明しない。
評価も二分され、超エンターテイメント娯楽映画を好まれる方にはきっとウケないだろう。
僕のようにノー天気だけど傷つきやすいタイプ(?)には合うのかもしれない(笑)。

安田顕さんの存在を認識したのはドラマ「下町ロケット」。
どこかで見たことある俳優さん程度だったが、あのドラマでの演技はとても良かった。
昨年観た映画「龍三と七人の子分たち」でも重要な脇役で出演されていたが、
その時は意識していなかった。
本作を観てどんな役でもこなす貴重な役者さんであることは僕が言うまでもない。
これからもっと引っ張りだこになっていくんだろうなあ~。

個人的な不満をいえば、麻生久美子さんの出番が少ないこと。
麻生さん演じる居酒屋の娘さんとの恋模様が描いた映画なので、
もっと絡みのシーンがあるかと期待していたのだが、意外と少なくて残念。
しかし、出番は少ないとはいえ、あんな感じで接客されたら、男はコロッといく。
いやあ~、魅力的。
大人の雰囲気を醸し出しながら可愛らしさも伝わってくるので、参ってしまう。

一人で飲みに行くことは滅多にはないが、あんな居酒屋があったら通ってしまうかも。
たこぶつを食べながら、熱燗をお酌してもらうなんて、最高に幸せじゃないか。
いかん、いかん、妄想が・・・(笑)。

僕が亀岡拓次になることはあり得ないが、あんな人生も案外悪くない。
きっと後悔ばかりの日々になるだろうが、案外悪くない。
すんません・・・。

愚か者

oroka16021

愚か者だから「愚か者」を読んだわけではない。
今から15年近く前に「すべては一杯のコーヒーから」を夢中で読んだ。
30代半ばの頃は起業を意識していたこともあり、その成功者の著書を結構読んでいた。

その松田氏の成功ストーリーに憧憬を抱いていた。
確かタリーズコーヒーの名古屋初出店はセントラルパークじゃないだろうか。
何となく意識しながら行っていた記憶がある。
しかし、時間が経過するうちに松田氏への意識も減少し、気づいた時には国会議員になっていた。

そのため本書を読んで初めて知ることも多かった。
波乱万丈の人生である。運がいいとも言えるし、運が悪いとも言える。
書かれている内容を素直に受け取れば、いい出会いとそうではない難しい出会いとの繰り返し。
どう解釈するかで変わってくるが、人に裏切られることも多い。
誤解を恐れずに言えば、それも本人が導いたこと。
著者も気づかないうちに人に恨まれたり、傷をつけていたのかもしれない。

だが、本書ではあくまでも自己肯定。
僕はそれを否定しているのではなく、そんな見方で一つひとつの事をクリアしていく
行動力は筋が通っていると思う。

それがとても面白い。
経営者から政治家に転身し、現在もその真っ最中。
その活躍ぶりはマスコミによりいろんな報道はされているが、僕自身は肯定的にみている。
政治には詳しくないし、支持政党があるわけでもないので、
こういった政治家らしくない政治家に期待したい面も強い。
選挙のためだけに活動するのではなく、
シンプルな目標に向かう姿勢が気持ちよく、共感が持てるに過ぎない。

松田氏は本書の中で自分が「愚か者」であることも何度も表現をしているが、
それが正しい愚か者であるならば、一体僕はどんな愚か者になるのだろうか。
どうやら愚か者は正義に立ち向かう存在らしい。
そんな風にさえ思ってしまうし、愚か者を名乗るあちこちの人たちは僕を含め大いに反省を求められる。
(何のこっちゃという話ですね・・・笑)。

ここに書かれてある事が真実だとすれば、僕は松田氏を更に尊敬するし応援もしたいと思う。
僕たちに欠けてる力を持ち、大きな権力にも堂々と立ち向かっていく。
自分の小ささを痛感してしまう。
著者は僕よりも2歳下だが、ほぼ同世代。

こんな人物がこれからの日本を背負っていくことになるのだろう。
頑張っているつもりの僕は未熟者でしかない。
愚か者を返上し、未熟者の称号を頂くことが必要かも・・・。

見た目もカッコよく頭もいいので嫉妬してしまうが、
こんな存在が僕たちに勇気とヤル気を与えてくれる。

愚か者と呼ばれる方の必読書になってもいい。
いろんな立場の愚か者を知ることで、さらに上を目指す愚か者になっていきたい。
(なんのこっちゃ・・・笑)

もっともっと観なきゃね・・・。

昨年、劇場で観た映画の本数は19本。
ここ15年くらいでは一番多かったが、目標とする24本には及ばなかった。
その分、DVDを借りる数が激減したが、やはり映画はデカいスクリーンで観たいもの。
今年は目標数を大幅に越えることを期待したい。

つい先日、キネマ旬報の2月下旬号が発売され、2015年のベストテンが掲載された。
日本映画、外国映画のベストテンは既に新聞などでリリースされ、
ホームページにも掲載されている。こんな感じの順位。

僕が毎年気にしているのは、むしろ読者選出のベストテン。
評論家や記者が選出する通常のベストテンは難解な作品が多い。
また、一般的に公開されていない、
もしくはされていても単館であっという間に上映が終了してしまう作品も多い。
僕としては読者が選ぶベストテンの方が身近に感じるし、今後の参考にもなりやすい。

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ちなみに今回の日本映画は・・・
1位 海街diary(是枝裕和監督)
2位 恋人たち(橋口亮輔監督)
3位 あん(河瀬直美監督)
4位 ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判(成島出監督)
5位 岸辺の旅(黒澤清監督)
6位 きみはいい子(呉美保監督)
7位 野火(塚本晋也監督)
8位 この国の空(荒井晴彦監督)
9位 駆込み女と駆出し男(原田眞人監督)
10位 バクマン。(大根仁監督)

ベテラン陣もいるが、中堅、若手の監督が主流を占めている結果のようだ。
日本映画界にとってはいいことじゃないかな。
この中で僕が観た作品は、海街diary、あん、きみはいい子、この国の空の4本のみ。
「深夜食堂」は個人的に好きだったが、全く評価されていないようだ(笑)。
外国映画になると「アメリカン・スナイパー」と「妻への家路」の2本のみでさらに少ない。

これでは映画コラムニストとして食べていく考えは程遠い。
食べ物ブロガーは辞めて、こっちにしようと思ったが、到底無理。
(どっちも無理ですね・・・)

理想で言えば、せめて日本映画はベストテンの2/3は観て、
あ~でもない、こ~でもないと語ってみたい。
現実的にその時間を割くのは簡単ではないが、それが出来たらシアワセだろうな。
老後の楽しみかな?(笑)。

キネマ旬報を読んでいて、驚きと共に嬉しかったことがひとつ。
主演女優賞の深津絵里さんへの取材をイソガイマサトさんが担当されていたこと。

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同じ大学ではないが映研の先輩で、結構、お世話になった方。
東京で活動していることは風のウワサで聞いていたが、
こんな形で目にするとは思っていもいなかった。
この雑誌で言えば重要な役割にあたるはず。
相当な信頼や実績がないと任せてもらえないだろう。
こんなふうに目にすることができ、とても嬉しい。

いずれにせよ、今年はもっといい映画を沢山観ていこう。
もっと頭も柔らかくしていこう。

映画「ブラック・スキャンダル」

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「さらばあぶない刑事」にしようかどうか迷ったが、本作を観ることにした。
ちょっと重い気持ちになりたかったのと、実話であることに惹かれた。
「ブリッジオブスパイ」を観た時の予告編も面白かった。

映画がスタートしてあることに気付いた。
「ブラック・スキャンダル」というタイトルは原題かと思っていたが、
原題は「Black Mass」。
Massという単語の意味が分からなかったので、調べてみると「塊」。
正しいかどうかは不明だが日本語訳すると「黒い塊」となる。
「ブラック・スキャンダル」と全然意味が違うじゃないか。
「ブラック・マス」だと釣り師の映画と勘違いされてしまう
と配給会社の偉い方が思ったのだろう(笑)。

予告編ではギャングとFBIと政治家が絡み合った映画と紹介されているが、
政治家はストーリーの重要性からすればほとんど関係ない。
もっと政治絡みの展開であれば、最近、世間を騒がしている献金問題と照らし合わせ、
社会問題に切り込んだ切れ味鋭いブログを書こうと考えていたが、できなくなってしまった。

ギャングとFBIの癒着が大半。
ただ圧倒的な存在感を誇るのはギャングのボスを演じるジョニー・デップ。
メチャクチャ怖い。
目も口も役作りのため相当いじっているだろうから、別人に思える。
時折見せる家族への優しい表情が却って恐ろしさを増強させる。

ジョニー・デップといえば「ギルバート・グレイプ」。
僕はあの静かなお兄ちゃん役が好きで、
映画を観た当時はきっと売れる役者になるなと思っていたが、
いつの間にか恐ろしいギャングになってしまった。
最初から怖いショーン・ペンとは違って、爽やか路線だと思ったんだけど・・・(笑)

最近、この類の映画はすっかりご無沙汰で、「相棒」などのドラマも観ないので、
この映画の中味が新鮮かどうかは分からない。
しかし、よくあるような気もするし、こんな実話があるからこそ、
近いフィクションも作られるのだろう。

FBI役のジョエル・エドガートンの徐々に驕っていく姿も面白い。
目に見えて金持ちになっていく様は思わず笑ってしまう。
そんなシーンではないけれど。

たまには自分と無縁で、また絶対に巻き込まれたくない世界の映画を観るのもいいだろう。

野心のすすめ

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ブックオフで100円で購入した本書。
せこくてすみません(笑)。
読んだ周りの方の評判が良かったので、そのうち読むだろう程度に手に取った。

過去、林真理子さんの書籍を何を読んだか調べてみた。
若い時分に1~2冊くらいは読んでいると思っていたが、実は本書が初めて。
ようやくご縁を頂いたわけだ。
なぜ、読まなかったのか?
単純にいいイメージを持っていなかったから。

確証もなく、自分勝手な作家くらいに認識でいたんじゃないのかな。
そんな印象は僕だけでなく、多くの方が思っていることであり、それが怖いところ。
本当は自分の目で確かめるべきなのだが、周りの声に惑わされ、そんな印象を持ってしまう。
そう思うと本書はいい意味で裏切られた。
とても面白かったし、著者のイメージが格段に良くなった。

自分の意見をストレートに言うことは重要だが、受け手にどう映るかは本当に難しい。
著者の場合は間違いなくマイナス印象が強かったからだろう。
ここ10年くらいの活動はともかく、
80年代~90年代でのマスコミの露出を見ると必ずしも好感度が高かったわけではない。
それは本人も認めるところ。

当時は肉食系女子なんて言葉はなかったと思うが、
その当時に当てはめれば一番に登場した人物かもしれない。
前のめりで自分に都合のいい妄想癖は逆に清々しい。
気持ちいいくらいに感じる。

それが彼女の成功要因だとも思うが、その生き様は僕らのような人種にも大いに参考になる。
本書を手にしたことで林さんの著書を読みたくなってきた。
すぐ読むかは別だけど・・・。

こんな言葉は印象的。
やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、
やらなかったことの後悔は日々大きくなる。

野心が車の「前輪」だとすると、努力は「後輪」です。
前輪と後輪のどちらかだけでは車は進んでいけません。
野心と努力、両方のバランスがうまく取れているときこそ、
健全な野心ともいえるのです。

なるほど。
その辺の自己啓発本より、よほどいいことが書かれているんじゃないだろうか。
僕らのようなバブル時代を過ごした連中が読むのもいいが、
ちょっと斜に構えた20代にも読んでもらいたい。
いい気づきがあると思う。