韓国の人気俳優ってつくづく大変だと思う。
必ずといっていいほど、アクションを求められる。
やたら争うシーンが多い。
芸術性の強い作品ならいいが、
結構な頻度で戦争や事件に巻き込まれ肉体を駆使しなきゃいけない。

兵役の義務はこういった時にプラスに働く。
とどうでもいいことを思ったり・・・。

本作は脱北に挑む軍人の闘いを描く。
軍事境界線を警備する北朝鮮が舞台で、間もなく兵役を終える軍人の脱走劇。
北朝鮮の現状を描いているように思えるが、あくまでも韓国目線。

金正恩は観ることはないと思うが、北朝鮮側はどんな捉え方をするのだろう。
共感はあり得ない。
国批判とも受け取れるので、大きな問題にならないのかとそっちを心配してしまう。
公開されないだけで北朝鮮では韓国批判の映画が作られているのかな?

オープニングから勢いよく軍人は走り出す。
いきなり脱走かと思わせるが、そうではなくあくまでも入念な準備。
脱出ルートを深夜帯に見つけ出し地雷を防ぐ方法を探る。
脱北を試みて失敗する人が後を絶たないことを匂わせる。

1990年代、2000年代が背景かと想像したが、スマホが当たり前のように登場するので現代。
昨年観たドキュメンタリー「ビヨンド・ユートピア脱北」同様、これが現実なんだろう。

本作を観る視点はいくつかあると思う。
北朝鮮の独裁社会の息苦しさや生きづらさ。
国としての在り方を問う視点。

それは一切無視して、脱走兵が命懸けで逃れるシーンを描くアクション映画。
あの手この手で危険をかいくぐり韓国に向かう。
それを執念深く追いかける軍少佐。
お互いを知る2人の駆け引きも見どころ。
そんな視点も。

政治的な作品と捉えるか、娯楽エンターテイメント作と捉えるか。
その両方ともか。
観る側に委ねられる。
軍少佐がボソッと呟く言葉にすべてが凝縮されているとも思える。

本作も韓国だからこそ製作できる映画。
あらゆるネタを映画にしてしまう隣国の逞しさには感心する。
尊敬しないといけないかもね。