少し前にfacebookでも話題になっていたので、手に取った一冊。
真山氏といえば今年やたら分厚い「ロッキード」を読み、ノンフィクション作家としての力量を知った。
ただ僕の中にあるには「ハゲタカ」。
ドラマ「ハゲタカ」を観てから原作を読んだのだが、こちらはすこぶる面白かった。
ファンドに関しての拙い知識はドラマと小説で身に付けたといっていい。
水戸の師匠を真似るわけではないが、僕が好きな小説家も真山氏と池井戸潤氏くらい。
そろそろもう少し人間的幅を広げたいが、まだまだ時間は掛かりそう。
真山氏もかなり積読状態だし・・・。
本書は2019年から朝日新聞に連載された記事をまとめたもの。
全19章で構成され約2年近い連載。
「へ~、新聞記事も書くんだ・・・」
と一瞬、愚かな発言をしそうになったが、真山氏は元々、読売新聞の記者。
当たり前の話。
それも中部読売新聞に在籍されていたので名古屋周辺の取材も多かったのだろう。
どっかでお会いしてたりして(笑)。
テーマは年号の改元からゴーン問題、働き方改革、東京五輪、新型コロナと時代と共に移っていく。
過去の話ではなく同時進行でその時々の事象に関して著者の考えが披露されるわけだが、
それぞれの章で執筆後記が書かれ、その比較が興味深い。
特に東京五輪については開催される前の著者の意見と延期になった時の意見、
そして延期後迎えた時の意見と環境が大きく変化する中で世の在り方を問うている。
コロナ禍での開催であろうとなかろうと真山氏の意見は概ね一貫している。
意見を聞いたことはないが、沢木耕太郎氏に近いのではないだろうか。
ノンフィクション作家と小説家の違いはあるにせよ、世の中の見方は共通しているように思える。
「正しさ」を暴走させない視点に同じ価値観を感じたり・・・。
僕が勝手に思っているだけだが、その分、ストンと腹落ちすることが多かった。
個人的には第11章の「タワマンの未来」が胸に迫ってきた。
数年前まで首都圏のタワーマンションのセールスが僕の元にもやってきた。
住まいを構えるよりは投機に近いと思うが、これも考えもの。
数年で転売するならともかく長い所有は禁物かも。
マンション販売者は自分では絶対に購入しないというし、リスクが相当高いようだ。
「いまニュータウンで起きている問題は、タワーマンションがいずれ辿る道かもしれない」
と専門家はいう。
極端にいえば「スラム化」へ向かう。
修繕だとか管理だとか考えれば、誰が住んでいるのかも知っておかなきゃいけない。
分かりようはないが・・・。
これは一つの例だが、真山氏は様々は事象に対し問題提起をする。
すべて身近な問題であり、自分の未来に繋がる話。
知らぬ存ぜぬでは許されないし、逃げることもできない。
そう思うとやはり「言葉」は重要。
何を発するかでこちら側の問題意識も変わる。
小説を読んで一喜一憂するだけではいけない。
現実をもっと視る必要性を教えてもらった気がした。
緊急事態宣言は解除されましたが、先週は静かな一週間でした。
今週からぼちぼち予定が入り、来週はめまぐるしい日々になりそうです。
体が素直に反応しているのでしょう。
先週は静かに過ごしましたが、どうやら体は正直なようです。
昼間ではありますが、気が付くと錦三丁目にたどり着いていました。
ふと目を横にやると気になる看板があります。
誘われるまま新錦ビルの地下に向かいます。
夜にはこのあたりのお店も賑わいを見せていくのでしょう。
ちなみに行ったことあるお店はありません。
奥に構える「美波」さんに入りました。
美波と聞いて、ピーンときた方も多いでしょう。
映画「MINAMATA」でジョニー・デップの相手アイリーン役の女優さんです。
これからきっと日本でもブレイクするんじゃないでしょうか。
これも運命的な出会いのような気がしてなりません。
メニューを眺めます。
この場所にしてはかなりお値打ち。
かしわ御膳580円、豚汁御膳630円とビジネスマンが喜びそうな価格帯です。
しかし、ここは人気食べ物ブロガー、美波さんを前にいい格好をしなければなりません。
「すいません、おまかせ御膳をお願いします!」
オーダーに来られた方は美波さんに似ても似つかないおばさんでした・・・。
まあ、物事にはステップが必要です。
おまかせ御膳 880円
メインは豚天。
そしてマグロ山かけ、小鉢が並びます。
みそ汁もいい出汁が出ています。
豚天にはからし醤油。
久しぶりに味わいます。
「いいぞ、いいぞ、この感じ」
一人で納得し平らげます。
店内を見渡すとあちこちに張り紙が貼っています。
日本酒の種類が多く、それもお値打ちに飲ませてくれるようです。
「まいったなあ~、美波さんはオレを誘っているのか」
またまた一人で勝手に納得します。
いいお店を発見しました。
やはり嗅覚は大切ですね。
ごちそうさまでした。
夜には美波さんのような女将さんが相手してくれるのでしょうか。
近々、お邪魔しなきゃいけませんね。
先週火曜日は午後の時間を丸っと使って「名大社のミライを考えるカイギ」。
例年であれば幹部研修会と称し、半期に一度、役職者が集まり会議を行っていた。
半期、通期を振り返り、今後の計画について喧々諤々と行っていた。
土曜日を一日使って行うことも多かったが、
働き方改革もあるので、ここ1~2年は平日にシフトし話し合い。
山田体制になって12年目。
そろそろこのやり方も見直した方がいい。
いつまでもこちら主導でやっても、あまり未来は感じない。
4月から組織を大きく変え、役職に変わるグレードも浸透してきたため、この会議も大幅に変更。
それが「名大社のミライを考えるカイギ」。
G3以上のグレードが集まって、ビジネスモデル論と組織のつくり方論を話し合う。
G3というのは一般企業にあてはめるとサブリーダー。
事前にこんな案内を提供し、全社員にも意見を求めた。
これはニシダが作成し、当日のファシリテーターも彼女が行った。
まあまあ大変だったね。
お疲れ様でした。
この会議では基本的に経営陣は発言しない。
冒頭に僕が10分、タカイが15分、歴史や業績の推移、今後の計画を話をしただけ。
あとはマスクに×マークを付けられ、意見を求められた時しか発言してはならない。
タカイは我慢しきれずに喋っちゃったけどね(笑)。
その方が各自意見も出しやすいし、その中でまとまる内容も多い。
主体性を求めながらそれを塞いでいたのはむしろ経営陣かもしれないと反省。
G3からG5までが未来の名大社について語り合った。
現在のビジネスモデルをどう変えていくか、
ベテラン、中堅、若手のコミュニケーションをどう図っていくか、
部門間の相互理解をどこまで進めるか、
そもそも名大社スタンダードとは何か?
など現状の課題を再定義しながら、話し合いは進んでいった。
あくまで僕は見ているだけ。
行ったり来たりする場面もあるがそれでいい。
ある意味、新しい幹部会議はこの日がスタート。
最初から全てスムーズいくことなんて稀。
どんな意見を言ってもいい。
それについて否定はしない。
お互いの考えを素直に語り、名大社を自分事として捉えていく。
誰しも会社をよくしたいと思っているのは事実。
それを待っているのではなく、自分たちの力でよくしていく。
建設的な意見が中心で、いくつかのNextStepが明確になったのも良かった。
そして、手を挙げたメンバーがそれをまとめることに・・・。
この4時間だけでいい流れができたんじゃないのかな。
僕は後方席に陣取りながら温かく見守っていただけだが、それでも結構疲れるもの。
それはそれだけ集中していたから。
適度な緊張感の中で有意義な議論ができた。
名大社のミライを作ることは同時に業績も上げていくこと。
価値がなければ業績もあがらない。
そのために事業と組織を上手く回す。
これからを期待していきたいね。
冒頭の漁のシーン。
どこの海だろう?と考えながら映画は始まった。
しばらくして主役古田新太が運転する車は豊橋ナンバー。
そこが蒲郡であるのが後で分かった。
娘が通学で歩いていたのも三河湾。
注目していた映画だが、全編蒲郡ロケとは知らなかった。
実在するスーパーは浜松みたいだけど・・・。
最近、蒲郡ロケの映画って多いよね。
あんなふうに漁港が取り上げられるのもいい。
いいぞ、愛知県!
と気軽なノリでスタートしたブログだが、
映画はとことん重い。そして辛い。
ここに悪人は誰も登場しないが、全員が悪人にも思える。
誰にも希望が見えない。
どうしよもなく救いようがない気持ちになるが、そこは吉田監督の人間性か。
園子温監督とは違う。
いい意味で裏切られるんじゃないかな。
ここ最近、観た映画やドラマは全て正しさがつきまとう。
今秋は「正しさ強化月間」でも敷いているのだろうか。
そんなふうに思ってしまう。
「しんがり」も「由宇子の天秤」も「MINAMATA」も正しさとは何かを求めていた。
そして、本作も見せ方は違うにせよ、正しさとは何かを求めている。
実に面倒な時代だと感じると共に、
目の前で起き得る可能性の中でどう判断するか?を突きつけられる。
どんな状況であれ、逃げられない状況に追い込まれて。
自分が原因ではない。
巻き込まれている人物に過ぎない。
被害者といっても間違いではない。
しかし、加害者として捉えるのが一般的な見方。
どちらの立場に立っても自分を維持することができるか。
自分の中の正しさを貫くことができるか。
吉田監督は観る者に答えを委ねる。
決して楽しい映画ではないが、どんどん深みにはまる。
目を背くことなく観なきゃいけない。
そんな作品なんだろうね。
いかん、こんなブログではお客さんを増やせないな・・・。
それにしてもマスコミの描き方は酷い。
少なからず事実を含んでいると思うが、これが本当だとすればマスゴミだ。
無責任な人間が一番強いというのはやはりおかしい。
吉田監督はマスコミに恨みがあるのかもしれないけど。
本作は役者陣も光る。
モンスター親父の古田新太はそのまんまだが、スーパー店長松坂桃李もはまり役。
「孤狼の血LEVEL2」と比較すると彼の今後はより楽しみ。
寺島しのぶの嫌みな正義感も良かった。
あとは個人的には野村麻純の動揺と懸命さ。
彼女は可哀そうだった。
あんなふうにしちゃダメだね。
と、またまた映画を理解できないブログになってしまった。
こちらもこの秋、観るべき一本。
そろそろ「正しさ強化月間」は終わりにしたいけど。
ただタイトルに惹かれて買った書籍。
街で飲み歩く日が無くなったので体が勝手に反応した。
(これからは違うけど・・・)
そんな読者も多いんじゃないかな。
いやいや、そんな読者はいません(笑)。
銀座で43年間、文壇バーを経営するママが書いたエッセイ。
たまにはこんな分野を読むのも普段飲まない酒を飲むようでいい。
文壇バーといっても要はクラブ。
そこに集まるお客さんが著名な作家なのでそんな呼び方が相応しい。
銀座の文壇バーで飲むことには憧れるので、銀座を制覇するT社長に連れてってもらいたい(笑)。
リリーフランキーがパーソナリティを務めるラジオ番組とは装いは違うだろうね。
僕はあれくらいの敷居で十分だけど・・・。
多少なりとも憧れがあるが、その分野が得意かといえばそうではない。
名古屋でいえば錦三丁目がそれにあたると思うが、もう1年ほど行っていない。
あれっ、4月に行ったかな・・・。
いや、先々週?
ただ行っていないに等しい。
社長になり付き合う方の幅が広がり、一時期は頻繁に錦のクラブにもお邪魔したが、
いつまで経っても慣れないのが正直なところ。
かなり見栄を張るし、反対にこちらが気を遣ってしまうので、
それなりに楽しんでも後で結構疲れたりする。
懐も痛むし・・・。
そんな嗜みも経営者として必要だろうが、むしろ静かなBARでゆったりと飲む方がいい。
隣に女性が座る必要はない。
しかし、本書を読む限り著名人は華やかな雰囲気の方がいいようだ。
ゴージャスな高級クラブではなく、落ち着きを保ち華やかさも残しながら。
それが本書に登場する文壇バー「ザボン」。
写真だけでは分かりにくいがそんな派手さはないし。
ここに来られるのが業界で認められた証にもなるんだろう。
錦にもそんな店があるような・・・。
本書には多くの作家の振る舞いを紹介している。
ママとの付き合いで了解を得てはいるだろうが、きわどい話も多い。
まあ、酔った勢いでOKを出したケースもあるだろう・・・。
破天荒な作家ならまだしも、半藤一利氏のような硬派な作家もここでは乱れる。
乱れるという表現は適切ではないが、柔軟な人間性を示す。
そんな寛げる場なんだろうね。
常連作家が本書で特別寄稿を贈るくらいだがら、
水口ママは本当に愛されているキャラ。
店を続ける苦労もさらりと書いているが、
銀座で40年以上この世界で生きるのは並大抵の努力ではないはず。
切った張ったで乗り越えた経験も多いと思う。
それだけでも尊敬に値する。
そう考えるとそんなお店に通うのも悪くはない。
僕もいずれ「よっ!」と一人で寄れる店も現れるのだろうか。
居酒屋やBARじゃなくてね。
緊急事態宣言も解除されました。
ホッとされた方も多いでしょう。
急に元気の出てきた人も多いでしょう。
そして再開できるお店も・・・。
第6波なんて来ることなく以前のような日常を迎えられるのを祈るばかりです。
いずれにしても今回は緊急事態宣言解除記念とさせてもらいます。
伏見を離れ東京・築地までやってきました。
こちらに先月オープンした話題のお店があるというではないですか。
銀座を語らせたら五本の指に入るグルメ王は築地にも顔が利くようです。
その方と一緒に「海玄seagen」さんにやってきました。
これでシーゲンと読むようですね。
お邪魔した時はオープンから間もない日。
このようにすらりとお祝いの花が並びます。
どこかで聞いたことのある名前も見られます。
お店を運営する山幸さんは業界では有名だそうです。
これは期待が高まるばかり。
お昼のピークを越えた時間でしたが、店内は混み合っていました。
そして漂う高級感。
まず一人ではお邪魔できないでしょう。
誰かとならば見栄を張ることもできるでしょう。
ここは思い切って勝負するのです。
メニューを眺めます。
思わずよだれが出そうになりますが、ここは紳士に努めねばなりません。
日替わりランチもありますが、看板メニューを注文すべきでしょう。
「ゴホン、究極の海玄まぐろ丼をお願いします!」
久々に背筋を伸ばし、キッパリと注文します。
運ばれるまで意外と時間が掛かりました。
ただまぐろの刺身を丼に乗せただけではありません。
究極の海玄まぐろ丼 3800円
「お~、なかなかやるじゃないか・・・」
紳士に努めるつもりがいつもの言葉が出てしまいました。
山芋のすり流し、まぐろの一品、まぐろのコラーゲンスープが丼を取り囲みます。
そして究極の丼は・・・。
3種類の部位が丼の中で存在感を示します。
これを見た瞬間、この価格に納得しました。
人気食べ物ブロガーはこの艶を確認しただけで美味しさを判断することができるのです。
あとは何もいうことはありません。
ひたすら丼に向き合うだけです。
こちらの醤油はねぎとろにシュッシュッするにはいいのでしょう。
適切な表現が見つかりませんでした。
ここ最近、まぐろに魅力を感じることがなかったですが、ここはさすがに違いました。
生まれて初めてまぐろを食べた時の感動を思い出しました。
大きな満足を得てお店を出ます。
「山田さん、今日はいいよ」
「えっ、ごちそうさまです!」
ここは素直な人気食べ物ブロガー。
銀座のグルメ王にすっかり甘えてしまいました。
ごちそうさまでした。
緊急事態宣言解除記念に相応しい食べ物ブログでした。
8月のランニング距離は82kmで目標未達成に終わった。
9か月連続で目標達成していたのが8月で途切れたのだ。
クソ暑い時期とはいえ夏季休暇もあり時間的な余裕はできるはず。
にも拘わらず、残念な結果に終わった。
天候不順が大きな理由とはいえ、明らかにスケジュールの設計ミス。
走れる日に走る。
いくら万全な計画を立ててもその通りに進まないことは多い。
仕事も同じ。
やれるときにやる。
それを強いることで目標にも近づく。
そんなことは10年前から分かっているが、改めて反省。
それを生かすのが9月。
果たしてどうだったのだろうか。
口で言うのも文章で書くのも簡単だが、実行は難しい。
9月は初日から走った。
2週目は平日に4日間も走った。
3週目も平日に3日間走った。
緊急事態宣言中であるため、夜の予定がない分、翌朝の調整がしやすい。
睡眠時間も確保しながら、5時に起床して体調を整え、5時半過ぎからランニング。
出社はいつもと変わらない。
その時間だからペースも維持できる。
理想的といえば理想的。
4週目は祝日が2日。
これは距離を稼ぐチャンスでもある。
平日は5kmだが、休日は10kmを走るようにしている。
本格的なランナーであれば、20kmくらい簡単に走ってしまうが、
そのあたりは素人ランナーの域は越えないので・・・。
それでも継続が大事なのだぞ。
9月も半ばを過ぎると朝晩が涼しくなる。
日中は30度を超える日も多いが、朝晩は涼しく気持ちがいい。
周りの風景も秋らしくなる。
普段は手ぶらだが、たまにはスマホを持参でRUNを楽しむ。
休日のコースである戸田川緑地公園も秋の装いとなってきた。
以前から稲を育ててたっけ?疑問を持ちながら駆け抜ける。
子供に稲刈りでも体験させるのかな・・・。
10月は秋桜が咲き乱れるだろうか?
そんな気分が余裕を感じさせる。
では、9月のランニング距離はどうだったのか。
105kmで終了。
再び目標を達成。
それもギリギリではなく27日にはクリア。
走れる日に走る。
やれるときにやる。
有言実行ですな。
パチパチ。
たかだか数キロでも目標をクリアするかしないかでは気持ちは違う。
自分に爽やかな風が吹く。
10月は更に走りやすい季節。
昨日の段階で20km。
滑り出しもまずまず。
今月も目標達成目指して励んでいこう。
以上、ライバル3人のためのブログでした。
僕が学校で学んだのは小学校高学年か中学生だったか。
記憶は定かでないが、水俣病とイタイイタイ病と工業汚染が原因で集団発生した公害病だと・・・。
事件からまだ20年ほどの経過だが、遠い世界の事実という認識だった。
単なる知識不足なのか、それほど情報が届いていなかったのか。
残念ながらユージン・スミスという写真家も知らなかった。
無知は罪。
その分、映画は多くのことを教えてくれる。
事実をより過激にするきらいはあるが、学びを与えてくれる。
その点だけでも本作には感謝。
いい機会を作ってもらった。
同時に思った。
この作品は日本映画ではなくアメリカ映画だと。
やはりこの手の映画は国内で製作するのは難しいのだろうか。
その点、アメリカ映画は政治批判も社会問題も正面に向き合い堂々と作られる。
歴代大統領さえ叩き切る。
自由の国と短絡的にまとめるつもりはないが、この差が埋められることはなさそうだ。
あまり息苦しいことを語るつもりはない。
ふと、思ったことにすぎない。
僕はそうはいっても日本映画ファン。
しっかりと応援し続ける。
そのためにはあえて批判することも必要。
本作で描かれることを100%鵜呑みにするわけではない。
本当に?と思うシーンも多い。
工場の屋外通路での國村隼演じるチッソ社長とユージン・スミスの会話は事実なのかと・・・。
あっ、ユージン・スミスはジョニー・デップのことね。
事実だとすれば本来もっと断罪されるべきだろう。
株主総会の場面もね・・・。
しかし、そんな演出でより社会をえぐることも必要なのかも。
映画はエンターテインメントでありジャーナリズムではない。
ドキュメンタリーでもない。
当時の社長が生きていたら激怒する可能性も高い。
もしかしたらそんな点が作品の賛否になるのかもね。
本作はどこまでいってもジョニー・デップだが、さすが変幻自在の演技。
昨年観た「グッバイ、リチャード」とは180度異なる。
キムタクと比較する人もいたがそれは酷というもの。
「マスカレード・ナイト」はあれでいいんだよ。
本作は多くの方に観てもらいたいし、全編通してビシビシと伝わってきた。
しかし、若干の違和感があったのも事実。
あの風景や民家は当時の熊本だろうか?
海外から見た日本であるような気がしてならない。
そんなことを感じた。
なんだかこの秋は”正しさ”を問う映画が多いように思う。
次のコラムは「空白」だし・・・。
とりとめなく書いたブログだが、強く胸に刻まれたのも事実。
感動した作品。
やはり自分の中の正しさを求めていかないとね。
随分とイメージが違った。
もっと理詰めで攻める固い人かと思っていた。
誰かといえば著者のソニー前社長の平井一夫氏。
大変失礼な言い方だが、大企業のトップとは思えない普通の人。
どちらかといえば僕に近い。
いや、いかん、それでは本当に失礼な物言いになってしまうが、読後の感想はそんなところ。
カリスマ経営者でも、本流を走ってきた人でも、強烈なリーダーシップを発揮する人でもない。
健全な危機意識を持ち、物事の優先順位を明確にし、
やるべきことをブレずに取り組んできた方。
大赤字に陥ってきた企業を任されたのだから相当なプレッシャーもあったと思うが、
それもあまり感じない。
自然体に粛々と改革を推進してきた。
著者の表現だけでは名門を復活させたダイナミックさはさほど感じない。
しかし、これは平井氏が自分の成功物語を遠慮がちに謙遜して書いているからだろう。
自分の手柄ではなく、周りの手柄だと・・・。
それも人柄の表れ?
きっと出井氏やストリンガー氏であれば、大袈裟に自分の実績をアピールしていたと思う。
いや、それも大変失礼な話か。
あくまでもイメージです。
作ったマスコミが悪いのです(笑)。
僕のブログだけでもソニー関連のネタは結構書いている。
代表的なのは「またか!ソニーショック」や「切り捨てSONYを読む」。
かなりネガティブな内容。
僕は営業時代、美濃加茂市にあったソニーイーエムシーエスに大変お世話になっていた。
20年前までは地域の代表的かつ憧れの企業。
そこが工場閉鎖となり、本体もリストラの嵐が吹き荒れた。
4~5年ほど前までは暗いニュースしか流れていなかった。
平井氏も就任当初は大きな赤字を抱え、
大胆なリストラを実行しないと会社を潰しかねない状況まで陥っていた。
そこからの立て直し。
壮絶な苦労はあったと思うし、恨まれることも多いはず。
主観的にと客観的にと会社を見るのは異なる。
外部は無責任に客観的な捉え方しかしない。
いくら主観的な正当性を語ったところで理解してもらえない。
そんなことを繰り返してきたはず。
平井氏はそんな状況の中で客観的に会社を分析しながら主観的に物事を進める。
それも熱くも冷たくもなく。
もちろん熱さは感じるが、そこにはドラマにありがちな熱血的なリーダーシップではない。
そんな持ち味だったからこそ、再生させることができたのではないだろうか。
ノスタルジーと決別し、メイン事業を売却するのも客観性に優れていたから。
やはりトップへの人事は変なしがらみはない方がいい。
そんな点も僕に近かったりして。
従業員16万人の会社と一緒にするな!
はい、すいませんでした・・・。
これだけ人材が揃う会社で本流にトップに相応しい人物はいなかったのか。
傍流の平井氏以外の人物はどうだったのだろうか。
これが不思議だし、最後まで分からなかった。
事実は小説より奇なり。
ちょっと例えはよくないか(笑)。
経済小説も面白いが、この類の方がより面白い。
体験に勝るものはない。
十分、楽しませてもらいました。
観終わった後、「う~む」と唸ってしまった。
先日の「マスカレード・ナイト」と違い、かなり考えさせられた。
重い苦しさが体を覆った。
映画は「マスカレード・ナイト」のように娯楽性が高く楽しく終えられるのが理想。
一方で真逆の終わり方する映画もなくてはならない。
僕はどちらか選べと言われれば、後者を選んでしまうのかもしれない。
二者択一であれば「由宇子の天秤」を好きな作品で選ぶ。
自分ではまっとうな人間と思っているが、結構ひねくれているのかもしれない。
本作の問いは”正しさ”とは何か。
一般的に正義とか正しさには正解がある。
これが正しくて、これが間違っている。
子供でも分かる話。
それは上辺の解であって、実のところ”正しさ”なんて自分が勝手に思っていることに過ぎない。
立場や環境が変われば、その正しさは180度変わる。
それが現実であり、社会で生き続けるということ。
最終的には主観で判断するしかない。
本作はそれを観る者に突き刺してくる。
正義をかざすものが本当に正義なのか。
ただの偽善者じゃないのか。
立場を都合よく利用しているだけじゃないか。
そんなふうに思わせる。
毎日報道される世界的なニュースも目の前で起きる些細な出来事も、
大した差はなく自分勝手な正しさで動いていく。
悲しいかな、それに影響を受け、僕らはその視点で解を導き出す。
なんとも暗い話になってしまったが、映画はそれを主張しているように思える。
いやいや、なかなかの物語りじゃないですか・・・。
本作が世間でどれだけ注目されているかは分からない。
しかし、僕は何度となくミリオン座で予告編を観て、自分の中の必見映画となった。
間違いではなかった。
それは僕の中での正しさ。
もちろん瀧内公美という映画では輝く女優を見たいという思いもあった。
僕は彼女の屈託ない笑顔が好きだ。
但し、本作では作り笑顔くらいしか見られない。
過去の作品は大胆な絡みが話題となり、一昨年の「火口のふたり」では主演女優賞も獲得。
本作はそんなシーンも一切ない。
ドキュメンタリーディレクターとして正面からぶつかり、葛藤していくばかり。
それがまたいい。
身内にも関係者にも取材対象にもカメラやスマホで撮り続け真実を掴もうとする。
それが自分を苦しめることになっても・・・。
そして、映像は肝心な場面を映さない。
正面から表情を押さえるべきシーンも側からの撮影。
それがリアルさを醸し出したり。
ラストシーンは驚くね。
由宇子(瀧内公美)の父親は光石研。
これってどこかでと思ったが、「彼女の人生は間違いじゃない」でも父と娘を演じていた。
これは偶然?
これも天秤にかけてるの?
なんては思わないが(笑)、よく出来ている。
毎年、日本映画は秋に優秀作が上映される。
それは”正しい”ようだ。
自分の中の正しさだけだけど。