クリント・イーストウッドは常にチャレンジしている。
そして、いつも我々に問うている。
本作もそんな作品。

87歳になられる現在も製作者としての貪欲さは忘れていない。
勝手な見方でしかないが、それはご自身の挑戦であり、
映画界への問題提起でもあるように感じる。

この作品の評論をしようと思うとどうしてもネタバレになってしまう。
どこまで表現していいか、僕の映画コラムニストとしてのスキルが問われるが、
まあ、そんなことはどうでもいい(笑)。

僕の本作に関しての事前知識はほとんどなし。
たまたま時間的な都合が良かったのと
監督がクリント・イーストウッド氏ということだけで観ることにした。
偶然が重なった。

観ながら感じた。
これはドキュメンタリー映画かと・・・。
それはある意味正解。ある意味不正解。
しかし、観客の多くは僕と同じで巧みに騙されていく。

それは決して気分が悪いものではない。
主役の3名の生き方に吸い込まれていくように、時に共感し、時に反発する。
普通というよりもちょっと問題児であった3人が少しずつ大人になり、
自分たちの生きていく世界を求めていく。

本作は実話を忠実に描いている。
これは映画を観終わった後に分かったことだが、主役の3名はその実在の人物。
すなわち本人。
ここでもクリント・イーストウッドは実験的だ。
映画の新しい可能性にチャレンジしている。

なぜフランスの大統領が映画に出演しているのか不思議に思ったが、
なるほどそういうことか・・・。
このあたりはネタバレになるので、書くのを止めておく。

表現として正しいかはともかく、
主人公の3名はクランボルツの言うところの「プランドハプンスタンスセオリー」。
偶発的な出来事が運命であり、それは本人にとっていい人生になるということ。
それを証明した映画であり、主役3人の人生でもある。

クリントイーストウッドは我々に問う。
偶然を受け入れているか。
諦めない毎日を過ごしているかと・・・。

この先も彼の作品は観ていきたい。