これからも前向きに 名大社会長ブログ

カテゴリ「本を読む 映画を観る」の記事一覧:

リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ

リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ (角川oneテーマ21) リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ (角川oneテーマ21)
(2013/05/10)
高野 登

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朋友櫻山氏が以前ブログで紹介していたこととクレドを真剣に取り入れてみようと思い手に取った本書。
前リッツカールトン日本支社長の高野氏のお名前は知っていたものの、著書を読むのは初めて。クレドを目的に書かれた書物ではないので、その件にあまり触れていないのは当然だが、ヒントとなる言葉はあちらこちらにちりばめられていた。
リッツ・カールトンの有名な取り組むとして「一人2000ドルの決裁権」がある。素人目にみれば、なんて羨ましい権利だと思ってしまうが、それはとんだ勘違い。
2000ドルの決裁権は信頼の証であり、何よりも重大な責任感を伴う。僕が大きな案件に勇気のいる決断をするようなものだ。20ドルの決裁であれば安易に判断してしまうだろうが、2000ドルであれば簡単にはいかない。エンパワーメントが信頼のバロメーターであるのも納得である。
ホスピタリティという言葉はサービス業のために使われているような気もしてしまうが、実際はそうではない。我々のような事業でもホスピタリティは必要だし、普段の仕事生活、家庭生活においてもついて回る。何気ない一言が相手に喜びを与えることもあれば、傷つけることもある。
文字でいえば、たった一文字にあたる言葉でも使い方で、相手の捉え方は変化するのだ。上手くメッセージを伝えようとする前に、普段の会話も十分気を遣わなければならない。そんなことを考えると人前で偉そうなことを喋ってもできてないことは山ほどある。反省・・・。
本書に書かれている通り、一流のホスピタリティを得ようと思うなら、感性を磨かなければならない。何気ない日常の中で、いかに発見し、俯瞰し、想像し、観察する力を養わねばならない。
ぼ~っと歩いているのでは、何も見えない。常に目の前を意識することも重要なんだ。
ここにも登場する長野にある伊那食品工業。最近、僕の周りでもベンチマークツアーであったり、講演会であったり、出掛ける人が多い。参考になる点が多分にあるのだろう。これはいずれ伺う機会もあるだろうな。
そして、肝心のリッツ・カールトン。
僕は一度も宿泊したこともなければ、お邪魔したこともない。家族で出掛けることがないので、出張の際、思い切って泊まってみるのもいいかもしれない。一流のおもてなしを肌で感じるのも一つの学びだ。
といいながら、まだまだビジネスホテルに泊まる生活なんだろうけど・・・(笑)。

不格好経営

不格好経営―チームDeNAの挑戦 不格好経営―チームDeNAの挑戦
(2013/06/11)
南場 智子

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発売からまだ1か月足らずというのにあちこちで話題に上っている。
僕の友人もfacebookやいろんな場所で感想もアップされていたり・・・。それだけ著者の南場さんは注目度が高いわけだ(さん付けで呼ぶのは失礼な気もするがこの方が相応しいような気がして)。
何かと露出が多いDeNAの創業者であるとか、いきなり社長を辞任してしまうとか、ビジネスマンにとっての興味度は高く、その真相を教えてくれ~と仕事に尖がった連中が周りに多いと予測。そんな人たちとお付き合いするケースが多数あり、僕の周りに読者が増えるのは自然なことだろう。
僕は10年以上前に南場さんの講演を偶然にも名古屋で拝聴したことがあった。当時から女性起業家としてマスコミを騒がしていたので、どんな経営者なのか興味もあり参加させてもらった。
(偉そうに。ボンクラサラリーマンだったくせに・・・笑)。
確か全国のリサイクルショップの情報を共有させてというような話をされていたと思うが、僕としてはあまりピンと来なかった記憶がある。また、もっと熱く語る経営者かとも思っていたが、とても自然体で表現される方という印象。そのあたりは本書を読めば、素直に納得できる。
南場さんが辿ってきた道のりや想いについては、他の方が述べられているので、あえて僕が感想を言うまでもない。いろんな書評を読んでもらえればと思う。
僕が感じたのは現社長の守安氏の存在の大きさだ。
守安氏の存在は社長交代時とベイスターズ買収の際に頻繁にマスコミに登場した姿しか知らず、どんな方かも全く無知であった。
テレビで観る印象もそれほどインパクトの強い社長像は感じなかった。勝手に今後のDeNAは大丈夫かと大変失礼なことを思っていたくらい。ほんと、すみません・・・。
本書ではその守安社長の会社内における才能や仕事の貢献度が細かに著されている。それは勉強になった。こんな人物だからこそ、この成長企業を引継ぐこともできたのだろうと納得もした。それがよかった。
その買収した横浜ベイスターズは今までの弱さでいいんだけど・・・(笑)。ファンに叱られるな・・・。
お~い、ブランコ、ホームラン打ちすぎだ!
よく勘違いしてしまうのは、スポーツニュースの野球結果の表示。
巨12×D1。なんて表示されると、つい、ドラゴンズぼろ負けじゃんと嘆いてしまう。DはDeNAのことなので関係ないが、Dragons(ドラゴンズ)と勘違いしてしまうのだ。そんな人多くない?(笑)。ちょっと紛らわしかったりする。
とまたしても本書に興味ある方には全く参考にならないブログになってしまった。すいません・・・。
でも、その語り口にとても好感を持った本書。自らのペンで書いた気もしますよ。
ありがとうございました。

なぜ大企業が突然つぶれるのか

なぜ大企業が突然つぶれるのか 生き残るための「複雑系思考法」 (PHPビジネス新書) なぜ大企業が突然つぶれるのか 生き残るための「複雑系思考法」 (PHPビジネス新書)
(2012/09/19)
夏野 剛

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かなり意味深なタイトルである。しかし、本書を読む限り、意味深なタイトルを言及している箇所はない。だからと言って詐欺まがいの書籍ではない(笑)。周辺情報から推察して、「それが原因になっているでしょ!」と強いメッセージを発しているのだ。読み手によっては不快感を持つケースも多いかもしれないけど。
著者の夏野氏といえば、NTTドコモで「iモード」のサービスを立ち上げたことで有名。僕も12~13年前に「iモード・ストラテジー」を読んだ記憶がある。
内容はさっぱり覚えていないが、日本には素晴らしく先端的で優秀な方がいるもんだと感心していた。本書でもその口調は最先端を走る秀才そのもので、痛烈なコメントは小気味いいくらい。共感できる面も多い。と同時に僕のような凡人は取り残されてしまうのではという恐怖も覚える。
変化する必要は感じているし、自分自身も常に変化しているつもり。トップが変化を意識し実践しなければ、この複雑な時代を切り拓いていくことも難しいと思っている。
恐怖を抱くのは、その変化のスピード。著者は訓練により100メートルを10秒で走ることができるかもしれないが、僕はまず無理だ(苦笑)。僕に限らず大半の人は無理だ。
これは本書を非難しているのではなく、著者が自分をスタンダードな基準に置かれていることに若干の違和感を感じた。自分の能力のなさを露呈させただけかもしれないが・・・。
しかし、その考え方やアウトプットの手法には勉強させられる面は多い。例えば、こんな文章。
重要なのは「ITという”武器”を使っていったい何をしたいのか」という目的である。そこで単純に「鉄砲を集める」ことをめざした軍は、「弾の補充」という隙を突かれて貴重な兵力をうしなうことになるだろう。一方、「鉄砲を使って、組織の戦力を上げる」というお目的意識を明確に持っていた信長軍は、旧来の戦い方を続ける武田軍を完膚なきまでに叩きのめすことができた。

なるほどな、と感心してしまう。
名古屋の地下鉄名城線の「右回り・左回り」という表現に感動する場面も著者の思考の深さを捉えているだろう。何も考えずぼんやり見ている自分はまだまだレベルが低い。
進化するための材料は目の前に転がっているが、それに気づかず通り過ぎてしまうことがいかに多いか。無理だ無理だと言いながら、やっぱり反省しきりだな・・・(苦笑)。
家で本書を読んでいたら、6年生の息子がタイトルを見て僕に言った。
「お父さんには関係ないじゃん」。
確かにそうだけど、別にいいいだろ!

鍵泥棒のメソッド

kagidoro
内田けんじ監督作品は面白い。商業映画で公開している「運命じゃない人」も「アフタースクール」も全て面白い。
派手な演出やアクションがあるわけではない。壮大なストーリーでもない。しかし、オープニングシーンから引き込まれグイグイと作品にのめりこんでしまう。上質なコメディ映画というのはこんな作品のことをいうのだろう。
脇役陣もスパイスが効いているとはいえ、登場人物は堺正人、香川照之、広末涼子のほぼ3人。それぞれの個性が絡み合って進行していくストーリーは全く展開が読めずハラハラする。コメディにも拘らず緊張感たっぷりなのだ。
何となくラストは予想できるが、それも監督の手のひらに踊らされているようで心地いい。幸せな気持ちになれるのも嬉しい。こんな日本映画の存在って、この先も大切だろう。特に最近は絶望的な映画が増えているような気もするし・・・。ちょっと褒めすぎかな?(笑)。
それにしてもこの内田監督。4年に一度くらいしか映画を撮っていない。周防正行監督も何年に1本しか撮っていないが、作品はかなりヒットしているし、奥様も草刈民代さんだから生活の心配はないだろう。
内田監督の作品もそれなりにヒットはしているだろうが、4年間他の仕事をせずに暮らしていくのは難しいのではないか。余計なお世話でどうでもいい話だが、つい心配になる。この精巧な脚本を仕上げるには相当な時間を要すると予測できても、そんなことを思ってしまうのだ。
それが理由ではないが、もっと作品を作って欲しい。名古屋での公開もどこまであるかわからないが、複数の映画館で上映してもらいたい。一部のマニアに留めておくのはもったいない話だ。
こんなブログを書いているうちに過去の作品もまた観たくなってきた。ちゃんとDVDは置いてあるかな・・・。

旅の窓

旅の窓 旅の窓
(2013/04/26)
沢木 耕太郎

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気分転換にさらりと読める一冊。著者が世界中を周り、その時に出会ったシーンを写真に収め、エッセイを残している。それは中国であり、東アジアであり、ヨーロッパであり、アメリカであり、まあ全世界だ。
そんな全世界を旅して、その時に感じたことを思うまま書ける職業とは何ともうらやましくもあるが、きっとそれは表面的にしか見ていない証拠だろう。
書いてあるのは実に他愛もない日常。普段の光景と普段の生活がにじみ出ている。著者もその場面での感情が異なるのか表現にも違いがあるように思う。軽く流せるエッセイもあればそうでないエッセイもあって・・・。
著者はプロのカメラマンではない。でも、素人の僕が見てもプロとの違いはわからない。本書に掲載されている写真がプロの作品であると言われれば、何ら疑うことはない。しかし、プロから見ればアマチュアの域なのだろうか。
僕は本書を岡山への出張の際、新幹線で読んでいた。東京に出張する時の風景はすでに見慣れた風景だったりする。それが反対方面になるとその感じ方は違う。
京都あたりまでは何度か目にしているわけだから目新しさはないが、大阪を越えると途端に新しい風景が目に入ってくる。本を読んでいるわけだから、ずっと眺めているわけではない。時々、ぼんやりと見る程度。それでも新鮮なのだ。
僕の「旅の窓」と沢木氏の「旅の窓」とでは雲泥の差はあるが、なぜ沢木氏が旅先で写真を撮りたくなるのかは何となく分かるような気がした。そして、思った。ちょっといいカメラが欲しいと・・・。
一眼レフの高級品は使いこなせないが、せめてモックンが宣伝しているカメラくらいは・・・。facebookやブログ用にスマホで写真を撮っているだけでは、本当にいい絵は撮れないのかな。
最近はスマホのカメラも優秀なので、それは単に腕の問題だとは思うのだけれど。

日本人はこれから何を買うのか?

日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動 (光文社新書) 日本人はこれから何を買うのか? 「超おひとりさま社会」の消費と行動 (光文社新書)
(2013/04/17)
三浦 展

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著者名とタイトルに惹かれ、何も考えずに購入した1冊。
単に日本人の消費行動を解説したわけではなく、サブタイトルにある『「超おひとりさま社会」の消費と行動』を基本ベースに今後の消費の傾向や生活スタイルについて書かれている。自分とは無縁の存在であるおひとりさまが近い将来、家族よりも多くなる。2035年には一人暮らしの世帯が主流になるというのだ。
本書では、だから結婚して子供を産め!など説教じみたことは一切言わない。その生活を標準と捉え、どんな価値観でもって買物をしていくかを世代ごとに明確に著している。
一人暮らしは若い独身者という考えは古く、未婚の中高年も多い。自分の周りを見渡しても、そんな方が実際、存在もしているし・・・。それが不思議と悲壮感はなく、充実した日々を送っている。まさに「おひとりさま」の消費行動の見本と言えるだろう。
様々なデータから導き出した傾向性は説得力の高いものだが、その消費傾向の分析結果を男女別、年齢別に上手く言い表したのがこれ。
・シニア男性は「若者化」
・シニア女性やミドル女性は「アクティブ化」
・ミドル男性は「おうち志向化」
・若年男性は「主婦化」
・若年女性は「男性化」
何の根拠もないが、「ああ~、なるほど!」と手を打ってしまいそうだ。言い得て妙。
今後、我々は自分たちのビジネスにおいても、この傾向を意識して取り組まないといけないだろう。全ての男性がキャリアアップを目指し上昇志向ではないし、全ての女性が家庭内に収まりたいわけではないのは紛れもない事実。しかし、これまであった傾向は今後、加速度的に変化していくとも考えられる。
当然、企業内における職域やポジションも大きく変わっていくのではないか。この傾向を読み取り、先んじて企業に対し提案する必要も生じるだろう。常識なんて、あっという間に古くなってしまうと考えておいた方がいい。
と仕事ベースに考えながら、いざ自分が一人になったらどうするのだろう。嫁さんにも子供にも見捨てられないとは限らない(苦笑)。
そんな時は本書にも登場するコムビニ=コミュニティ・コンビニエンス・ストアに頼らざるを得なさそうだ。やっぱりずっと「おひとりさま」の生活は寂しいと思ってしまうし・・・。

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

探偵バー2
続編で製作された映画の場合、一作目よりもつまらないケースがほとんど。作品として前作を上回ることは相当難しい。
しかし、この第2作はかなり面白い。このままシリーズ化され、第3作、第4作へと続いていきそうな予感がプンプンとしてくる。
1作目をDVDで観た時もブログで書いたが、主役の大泉洋は実にカッコよくはまり役。彼はコメディアンなのか、二枚目俳優なのか、もしくはアクション俳優なのか、どのジャンルに属するのだろうか。軟派も硬派も同時に演じ切る俳優って、今の日本映画界には案外いないかもしれない。歩き方がメチャクチャ格好いいと思うのは僕だけではないだろう。
今回も舞台は札幌ススキノ。猥雑感たっぷりの情緒ある街を醸し出している。
絡まれて殴られるのは嫌だが、深夜の時間帯に彷徨ってみたいと思わせる魅力的な街。映画を観ながら、もう一度行ってみたいと本能的に思ってしまう。前回も同じことを書いているが、更にエスカレートしているようだ。秋の北海道も魅力的だし。
コンビ役の松田龍平もいい相棒を演じている。ここ最近は「ハゲタカ鑑賞会」の開催でよく目にするし、「船を編む」は予告篇しか見ていないので何とも言いようがないが個性が光っているように思える。
弟は完全な二枚目路線だが、兄は多種多様な役をこなしそうだ。本作でのとぼけぶりは映画のいいアクセントになっている。このコンビで次作も観てみたいな・・・。
いつものように映画の中味には全く触れていない評論になってしまった。
あっ、そうそう、登場する大物政治家はきっとモデルになる人物がいるはず。誰を想定して役作りをしたのだろうか。

海賊とよばれた男

umiyoba
この小説では男がよく泣く。大の大人がよく泣くのである。主人公の「国岡商店」国岡鐵造であり、その多くの部下がである。
しかし、その涙は美しく、カッコいい。男が泣くのは恥ずかしいことでも情けないことでもない。素晴らしいことなのだ。
本書は2013年の本社大賞を受賞した作品であり、各方面で大絶賛されている作品。僕が尊敬する多くの先輩経営者や友人もかなりの割合で読まれている。同じような立場の方であれば、必読書と言っても大げさでない。
だから、本当は書評を書く必要もない。ネットで調べれば、参考になる書評が溢れているわけだし・・・。
ただ僕はこの小説を読んだことを証明するために、このブログを書いているに過ぎない。しかし、書く以上は少しは伝えなきゃいけない。冒頭の4行で充分だと思うけど(笑)。
一人の企業家を描いていると共に、昭和時代の苦悩も見事に描いている。昭和がどんな時代であったかを知るには参考になり、僕らが知っているようで知らないのはこの時代を、こういった作品を通して学ぶのが理想的だろう。
もっと激動の昭和を知る必要性を本書を読んで痛烈に感じた。先日、観た映画「アルゴ」にもしっかり繋がっているし・・・。
国岡鐵造の唱えるタイムカードなし、定年なし、労働組合なしの考え方も共感するところ。本来、働くというのはこんな関係性を築かなければならない。法律によるがんじがらめのルールで縛ることで、経営者と雇用者の信頼関係が悪化するとも言えなくはない。そして、それを細かくすればするほど個人や組織の主体性もなくなる。
だから、理想の姿なのだ。
僕は涙を流す男になりたい。
悲しくて泣くのではなく、悔しくて泣く、嬉しくて泣く。そんな男になりたい。それが美しい姿だし、本来あるべき姿だと思えるから・・・。
「海賊とよばれた男」に教えてもらった。

明日のリーダーのために

明日のリーダーのために (文春新書) 明日のリーダーのために (文春新書)
(2010/04)
葛西 敬之

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これもブックオフで手にした一冊。新刊で書店に並んだ時は、迷ってみたものの購入しなかった。JR東海という大きな組織、そして巨大インフラ企業のトップのリーダーシップ論が自分に合うかが疑問であったのが、その理由。
そんな気持ちを抱いている段階でリーダー失格なのかもしれない。
組織の大小、企業文化の違いに限らず、学ぼうと思えば、どんな点でも学ぶべき点はあるはず。読後に改めてそんな感想を持ってしまった。
著者はエリートであることは間違いないが、純粋培養的に育成されたというよりも、自分のポリシーに基づいて仕事を進めた結果、そのポジションを得たことになる。
元来、国営の守られた存在であり、政治介入の度合いが高いとどうしても内向きな思考や行動へと移っていくと思うが、それに反発する姿勢が結果として、現在のJR東海へと繋がっているのだろう。
自らの組織を断罪している点も気持ちがいい。
また、歴史に対しての造詣も深く、自らの歴史観や日本人論もしっかりと持っている。そんな軸がないと本来リーダーは務まらないのかもしれない。
そんなところばかりクローズアップしていると、自分はう~ん、リーダー失格。あまりにも幼稚なレベルになってしまう・・・。一つひとつクリアするしか方法がないのはわかっちゃいるけど・・・。
巻末にあるリーダーのためのブックガイドも参考になった。そのほとんどが読んだこともなければ、存在自体も知らないことが多い。
どこまでいっても解決するのは不可能なんだろうな・・・。

映画「希望の国」

kibou
本作の1年前に作られた園子温監督の「冷たい熱帯魚」は凄まじい映画だった。ブログに映評を書こうと思ったができなかったし(苦笑)、R18指定も納得してしまう。強烈すぎる作品だった。個人の感情を抉り出す演出は観ていて恐ろしくなったものだ。
本作も同様だが、社会に痛烈なメッセージを残す日本では稀な監督になるのかもしれない。
この映画は東日本大震災の数年後を描いている。架空の県で原発は稼働し続け、再び事故が起きるのだが、オーバーラップするのは福島原発事故。それがもたらす悲惨な状況を描き出している。だからといって安易に原発を批判する映画とはいえないと感じる。
テーマはあくまでも家族の絆であり、愛する地域で生きていくことなのだ。それは親子であり、夫婦であり、代々続く先祖へのリスペクトでもあるだろう。
一つの突然な事故により全ての環境が破壊されるのは、想定できないだけであり得ること。この映画を観終わった後、なんらリスク管理をしていない自分に危機感を覚えてしまった。2年前に起きた大震災の恐怖が自分の中でも知らず知らずのうちに遠のいているのだ。情けないな。
今後、園監督は要チェックだ。その前に撮られた「恋の罪」や「ヒミズ」も観なければならない。ただ観終わった後は、清々しい気分というよりは、ずっしりと重い気分になってしまいそうだけど・・・。この「希望の国」も「冷たい熱帯魚」もそうだった。ちょっと辛いな(笑)。
この監督の作品に出演する役者さんはいわゆる常連が多い。大林宣彦監督の大林組ではないが、園組と呼ばれることも近い将来あるのかもしれない。既にそうかもしれないが・・・。でんでん、吹越満、奥さんとなった神楽坂恵など。
そして、悲しいニュースが・・・。この映画で好演された主役の夏八木勲さん。昨日、すい臓がんで逝去された。お悔やみ申し上げます。