2年前の公開時は見逃した。
映画評論仲間や映画コラムニスト見習いからは
「これを見逃すなんてコラムニスト失格だ!」とボロクソに叩かれた。
仕掛人でもこんなひどい仕打ちはしないと思いながら、ネット配信の時期を待った。
Amazonプライムで公開となり、本シリーズを立て続けに鑑賞。
確かに見逃した相手を叩く気持ちもよく分かった。
本来、大スクリーンで観るべきだろう。
暗いシーンが多いので大スクリーンの方が鮮明で迫力も伝わる。
観たとはいえ、その点ではまだ失格なのかもしれない。
池波正太郎の原作も読んでなければ過去のドラマも観ていない。
必殺仕事人シリーズもわずかにかじっただけ。
ここに時代劇の面白さが隠されている。
観終わった後、ジャパニーズハードボイルドじゃないか。
そんなふうに感じた。
海外作品でいえば探偵もの、刑事もの、殺し屋ものがそれにあたる。
国内作品も松田優作作品あたりはそうなるのだろう。
すべて現代劇が基本。
時代劇にその雰囲気を漂わせる作品は意外と少ない。
殺陣も派手だし、悪人はもっと悪人らしいが本作はそうでもない。
その抑えた演出がハードボイルド。
いや、悪人らしいヤツは登場してるか。
1作目は小物だが板尾創路が演じた嶋田大学。
ヤラれて当然のスケベ旗本。
2作目となるとかなり酷いヤツが現れる。
椎名桔平が演じた井坂惣市。
こいつは救いようのない。
こんな連中のおかげでダークヒーローの藤枝梅安と彦次郎のコンビが輝く。
藤枝梅安を演じたのがトヨエツ。
最近でいえばドラマ「地面師たち」の冷徹さが光ったが、
本作も感情を抑えた仕事ぶりがよかった。
彦次郎役の片岡愛之助はなんでもこなせる役者だが、
一歩引いた存在として際立っていた。
1作目と2作目はそれぞれ観ても楽しめるが、併せて観た方がいい。
梅安と彦次郎の背景や関係性がより理解できるのではないか。
2作目のラストシーンから3作目を期待させるが実際はどうなんだろう。
一気に3作目、4作目と流れを組んでいったりして・・・。
菅野美穂や高畑淳子ら脇役の存在もシリーズには欠かせない。
時代劇に縁がない若者は本作からスタートすると面白さが理解できるのでは。
3作目の公開時は映画館で観ることを映画評論仲間やコラムニスト見習いに約束しておこう。