毎年、この時期になると戦争の悲惨さを描く映画が公開される。
とても意味があることと思う。
描き方は様々だが間接的に反戦を訴える作品が多い。

ぜひともプーチン大統領やネタニヤフ首相にも観てもらいたいが、
本作を観たところで何も感じないだろう。
異国の小さな出来事としか捉えないんじゃないか。
犠牲に合うのは一般人でそれが一番辛い事実のはずだが、
旗を振る人はどうでもいい正論を振りかざす。
戦後80年といっても何も変わっていないのかな・・・。

本作は太平洋戦争末期の1945年の沖縄が舞台。
米軍の侵攻から逃れた日本兵2人の生き抜く姿を描く。
実話がベースだという。
そんな事実を僕は映画を通して知る。
事実を知らない愚か者にとっては意味がある。

終戦から2年間、2人だけで何の情報を得ることもなく生活を送る。
戦争が続いているという恐怖と戦いながら。
健全な精神の持ち主もそんな生活を送れるだろうか。
いつ襲われるかもしれないと怯えながら避難した木の上での暮らしを。

毎日、のほほんと暮す僕は到底耐えられない。
平和な日々に感謝するのみ。
同時に平和ボケにならないように注意するのみ。

先々に希望があれば何とかなるかもしれない。
それが見えない。
それでも生きようとする力は愛国心なのか、遠い存在である家族への想いか。

堤真一演じる上官山下と山田裕貴演じる新兵セイジュンの捉え方は異なる。
立場が違えば当然だが、人としての本質は同じ。
2人の立場から僕は自分の取るべき行動を考える。
逃げるか、投降するか、戦うか、諦めるか、諦めないか。
ほぼ2人で展開するので、それを考えさせる。

銃撃戦のない戦争映画は考えさせる余裕が大切。
結局、人は弱くて強いということだけど。
これでは内容が伝わらないかな(汗)。

本作はダブル主演だが明らかに山田裕貴。
これまでさほど演技が上手いとは思わなかったが、本作で一気に開花。
と個人的な判断。

時にのどかで、時に意志が明確で、時に普通の若者を緊張感の中、演じていた。
沖縄出身者が脇を固める中、沖縄の若者を絶妙に表現していた。
お涙頂戴でもない、完全無欠の反戦でもない。

過剰な演出はなく物足りなさを感じるかもしれないが、2年の日々は激しいばかりじゃない。
その方がリアリティ。

地味だが夏休みには必要な作品といえるだろう。