10月からスタートした毎週火曜夕方の那古野塾も残すところ、あと1回となった。時間の経過は早い。
今週はコンニャクを製造するサン食品株式会社の加藤社長の講演。
タイトルは”「何のために」を追求して新しい価値を創出する”。
経営者は何のために働くのかを明確にして、その事業に取り組む必要があるというのが講演の主旨であったが、僕が最も響いたのは別の内容。ブログのタイトルにしたようなことなのだ。
これではサッパリ理解できないと思うので、講演の内容を要約して解説。
加藤社長はサラリーマン勤めをした後、父親の事業を引き継ぐ為にサン食品に入社。会社に入る理由は親孝行するためと世界にコンニャクを広めるため。
「何のために」は明確なのだが、当時ははっきりと言えなかったとのこと。また、次第に当初の目的も薄れ、安易に規模の拡大を目的にしてしまった。売上が伸びたものの採算性構造は芳しくなく、そんな時に原料が高騰し、事業拡大が裏目に出て資金不足に陥ったという。
社長自ら懸命に働くも社員のロイヤリティは低く、思うように理解されない。そもそも規模の拡大は社員の疲弊を招いただけで、そこに価値を見出す社員はいなかったのだ。
やることなすこと上手くいかず、眠れない日々も続いたという。そんな時に父親の糖尿病が分かり、看病も必要になってきた。糖尿病を治すための調査をするうちに1冊の書籍に出会う。ある病院の先生が著したその書籍を父親と共有しながら、糖尿病と闘う日が続く。
その頃、「何のために」は親孝行と世界へコンニャクを広めることためだと初心に帰ったという。そして、やったふりは捨て、本来の目的だけを行うことを決意。
そうこうするうちに会社に一本の電話が会社に入る。取り扱うコンニャクに対しての問い合わせだったのだが、その電話の主は驚くことにその書籍の著者。
本来、個人の電話問い合わせを受付けない加藤社長だが、たまたま電話を繋いだのが新入社員でやむを得ず対応したことが、運命の電話となった。名前を聞いた途端、書籍の著者の先生とわかり、問合せとは逆にアポイントを取る。
その先生も個人の対応は全て断っていたというが、この偶然が運命。先生を口説き落とし、共同でコンニャクの新製品を開発することに辿り着く。
今、世界に広まりつつあるコンニャクライスやコンニャクパスタ、コンニャクパンを・・・。それが世界の糖尿病患者に受け入れられている。
これも「何のために」の一つ、世界にコンニャクを広めるという本来の目的に繋がる。
僕の拙い表現力では、その感動を伝えることは難しいかもしれないが、素晴らしい話だった。そこで僕が響いたのが、運命の電話・・・。
講演終了後、加藤社長と話をさせて頂いたが、あの電話がなければ今の自分は存在しないとキッパリと言われた。運命だ。
その運命は、きっと待っているだけではやってこない。引き寄せている力があるということだ。それは何なのかはわからないが、多くの苦労や努力があってこそ、生まれたには違いない。
運命を引き寄せろ!
そのために日々精進しなければならない。
加藤社長、ありがとうございました。