先週は時間を見つけて「日経トップリーダー プラチナフォーラム2021」に参加。
例年であればリアルでの開催だが、昨年、今年はオンライン。
品川プリンスホテルのあの雰囲気も好きだったが、このコロナ禍の中ではやむを得ない。

今年は日経トップリーダーの北方編集長と築地本願寺の安永雄玄代表役員の講演を拝聴。
北方編集長の「失敗の法則」は2年前のFBAAの記念講演会での内容と近い。
改めて「成功はアート、失敗はサイエンス」を認識。
失敗については再現性が高く、企業が潰れる理由も共通する点が多い。
やりきれないから失敗する・・・。

肝に銘じなければいけない。

今日のブログネタは築地本願寺の安永氏の講演。
こちらが思いのほか面白く、かつ勉強になった。

「伝統的な寺を大改革した元銀行マン」
ブログタイトル、そのまんま(笑)。
安永氏は都市銀行に長く勤務された後、コンサルタントを経て住職になられた異色の方。
話しぶりも住職というより経営者が登壇されているよう。

宗教界の環境変化に伴った新たなマーケティング戦略はとても新鮮。
そもそも僕の中にお寺の経営改革なんて発想がなかった。

僕の実家でも檀家はあり、法事などではお世話になっている。
父親の死去の際は随分と勉強もさせてもらった。
僕らのような資本の社会とは別で需要は減少しているとはいえ、
守られている世界だと思い込んでいた。

しかし、よく考えれば実情は理解できるはず。
急激な人口減少や葬儀に対する意識の変化により、お寺を必要とするニーズは減る一方。
僕は田舎育ちで関係性もあるが、一般的には檀家がない家庭もあるだろう。

宗教界で代表役員は聖と俗に分かれ、聖は教えを説く責任者、俗は法人の経営の責任者。
学校でいえば学長と理事長にあたるのか。
宗教法人は公益法人であり、公益的役割が求められる。

全く違う見方をすればサービス業とも受け取れる。
しかし、世間とのギャップは大きく、宗教団体の信頼度は低い。
上から目線で顧客視点がないのも大きな理由。
今までお寺に対し、そんな捉え方をしていなかったが、
当たり前といえば当たり前。

そこに危機感を感じた安永氏は様々な改革を行った。
反発は当然ついてはくるが、少しずつ成果を出すことで築地本願寺の住職からも支持を得ていった。
それは企業の生き残りをかけた改革に近い。

お洒落なカフェを本願寺内にオープンしたり、ヨガやセミナーを提供する銀座サロン、
寺婚という結婚相談所も運営されているという。
古い考えの持ち主であれば違和感しかないが、これがお寺におけるイノベーション。

来訪者は増え、合同墓や納骨堂に予約される方も多い。
新たなニーズを開拓しているわけだ。
どんな世界でもイノベーションは起きているわけだし、
起こさなければますます厳しい時代になっていく。

そんな話を聞けただけでも十分参考になった。
安永氏はそんなビジネス視点の話だけでなく、宗教家らしい生き方の話も。

その中のひとつに承認欲求を否定し、ありのままの自分を受け容れるというものも。
自らのダークサイドを理解し受け容れる。
それが大切。

これから生きていく上で少なからず気持ちがラクになったような・・・。
うちの檀家のご住職も有難い話は頂けるが、今回も有難い話が伺えた。

たまには普段とは異なる方の話を聞くのも重要。
もう少しこの分野の勉強もしないとね。

とても参考になりました。