誰かが言った。
「映画コラムニストを名乗る山田さん、『きっと、うまくいく』はどうでしたか?」
「あ~、インド映画ね。観ていないよ。」
「はっ、マジですか?映画コラムニスト失格ですね。」
「えっ、そうなの?」
「あの映画を観ずして映画コラムニストを語るなんて許しません。」

会話の内容が正しいかはともかく、誰かは強い口調で僕に言い放った。
それ以降、ずっと気になっていたが、機会がなかなか訪れなかった。

そんなさ中のゴールデンウイーク。
立場としては話題の「アベンジャーズ エンドゲーム」を観るべき。
周りの評判もいい。

しかし、映画コラムニストを名乗る僕はこのシリーズを一作も観ていない。
今さら最終章だけ観て、エラそうに語るわけにはいかない。
それこそ、その名が地に落ちてしまう。

ということはまず「きっと、うまくいく」を観ておくことが必要。
Amazonプライムをチェックすると本作はGW期間は100円で観ることが可能。
それはたまたま。
値段の安さが理由ではなく、映画コラムニストのプライドに賭けて本作を観ることにした。

5年ほどの前の作品と思っていたが、インドで公開されたのは10年前。
それなりのお国事情を反映させていたと想像できる。
それも含め大ヒット作品。

いや、しかし、誰かが言っていた通り。
このインド映画を観ていないのは、映画コラムニストとしての仕事を放棄しているのと同じ。
観ておくべき一本であると同時にインド映画の楽観性を示しているようなもの。

昨年観た「パッドマン 5億人の女性を救った男」の原点となるような作品。
170分という約3時間の長編作品だが、その長さは一切感じない。
クスっとした笑いとホロっとした感動と共に映画は小気味よく動いていく。
まさに躍動している。
ド派手なアクションやSFXの演出ではない。
僕らが最も大切にしなければならないことを躍動的に描いてる。

いやあ~、面白かった。
もっと早い時期に観ておくべきだった。
誰かさん、ありがとうございました。

映画は人をシアワセにしなければならない。
そのお手本のような作品だった。