間抜けの構造 (新潮新書) 間抜けの構造 (新潮新書)
(2012/10/17)
ビートたけし

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著者の作品を読むのは20年振りくらいだと思う。
20代前半に「だから私は嫌われる」や「たけしくん、ハイ」を読んだと記憶している。アマゾンで調べてみるとかなり多くの作品を出版していることに気づかされる。やっぱり才能のある方は違うのだ。湯水のごとくアイデアが沸く。
途中の作品を読んでいないので偉そうに語れるわけではないが、本書は著者の人生観を表現した作品のようにも思う。
特に最終章の「人生の”間”」はそう感じざるを得なかった。自らが起こしたフライデー事件やバイク事故に触れながら、なぜそのような行動を取ったのかも少しばかり述べている。自伝を出されれば、もっと深い話になるのだろうけど。安易に結びつけるわけではないが、その事件前後が生きることにおいて、一番意味を問いた時期でもあるのだろう。
そこも”間”なんだな。こんなことも言われている。
どの時代に生まれてくるかというのは本当に大事だね。その人の”間”がいいか悪いかというのは、どの時代に生まれたかに尽きるんじゃないか。
確かにそう思う。時代より半歩進み過ぎてて認められなかったり、時代遅れのため才能が発揮できなかったり・・・。身近でも結構あり得る話だ。時代に敏感になることが最優先ではないだろうが、その時代を読む力を持ち合わせないと、”間”の取り方を誤ってしまう。自分が気を付けなければならない・・・。
本書にも紹介されているが、北野武映画の間は他の映画に比べ異質だ。それを秀逸と捉える方もいれば、理解不能な方も多いだろう。
本人は全く気にされていないようだからいいのだけど、身勝手といえば身勝手だ(笑)。
僕はあの間が独特の緊張感を生み出していると思う。画面の切り替わりも観客の想像力に任せている。だから玄人受けをするのかなと本書を読んで初めてそんな認識を持った。
やっぱりビジネス書ばかり読んでいると人としての視野が狭くなる。たまにはこの手の本を読んで、自分自身をグイッと広げなければならない。