成功は一日で捨て去れ (新潮文庫) 成功は一日で捨て去れ (新潮文庫)
(2012/03/28)
柳井 正

商品詳細を見る

いつか読もうと思っているうちに文庫本が先ごろ発売された。従って文庫本を購入し、本書を読んだわけだ。遅すぎたかもしれない。
しかし、これは逆にラッキー。
2010年から2012年の柳井氏が表明する新年の抱負が追加で掲載されているのだ。
本書に書かれている2004年からの新年の抱負を読むとユニクロの変遷が理解できると共に、時代の移り変わりも手に取るようにイメージできる。
僕も会社を任された2010年より新年に標語を作成し、社員に発信するのだが、柳井氏の表現される思いを込めた内容とボリュームを比較すると恥ずかしくなる。その力強いメッセージに対して、自分の信念の貧弱さが如実に見えてしまう。経営者の格の違いは、こんな点にも大きく反映されるようだ。
裏を返せば、それがいい勉強材料になることに感謝すればいい。参考図書として役に立たせてもらえばいいだけだ。(前向き、前向き・・・)
本書で勉強になったのは、新年の抱負だけではない。
柳井氏の仕事へのこだわり、甘え構造の排除、顧客志向の徹底など、本書から読み取れる面は他にも多い。勝ち続ける経営者だからこそ、その言葉に説得力が生まれている。
全てが実践から発せられた言葉で、机上で進められる戦略は一つもない。己に対してどれだけ厳しく接すればいいのかが、恐ろしくなることも含めて・・・。
「会社経営で危機と利益は同義語」「チラシはお客様へのラブレター」「経営とは創意工夫で矛盾の解決をすること」などなど・・・。感心させられる言葉は多い。
年頭の標語についても同様だ。
2007年 「儲ける」
2011年 「Change or Die」(変革しろ、さもなくば、死だ)
と強烈な言葉が続く。
経営者の心構えと発信すべきメッセージは何が重要かを学んだ一冊であった。