本作を観て否定する人はいないだろう。
いるとすれば余程のひねくれ者。
普通の日本人ならウルウルしながら映画を観終えるはず。
家族や親しい人を亡くす辛さは誰しも経験があり、自分事のように映画に没入する。
作者の意図は素直に伝わり評価の高さにも繋がる。
冷静にみればそんな作品。
だから僕は当初、観る予定はなかった。
「お涙頂戴」作品なのは何度も観た予告編で理解できたし、
実際、作者の意図に乗るのも目に見えていた。
案の定、そうだった。
葬儀が行われる度に感情を持っていかれる。
連ドラを一気に観させられた感じで、単発ドラマが上手く重ね合わさり、
一本の映画としてまとまった。
とはいえ本作が秀作といえるのか。
失礼ないい方になるが、それはない。
今年観た感動的な作品に留まる。
僕はそうしておきたい。
目黒連の凛とした振舞いもよかったし、「豊臣兄弟」で愛らしい浜辺美波も可愛かった。
脇役陣も好演。
祖母役の夏木マリも母親役の永作博美も内に秘める想いを上手く表現していた。
本作はいい意味で見送る側と見送られる側の気持ちを表している。
「死人に口なし」というので亡くなった方がどんな思いを抱いているかは分からない。
しかし、浜辺美波演じる美空の能力がそれを代弁。
亡くなった人と会話ができるから、まず間違いない。
双方に想いはある。
悲しんでほしい人もいれば、喜んでほしい人もいるはず。
人には寿命があり、短ければ悲しみは増え、長ければ喜ばれるというより納得感は増す。
僕はつくづく思う。
順番は守りたいと。
僕が親より先に亡くなってはいけないし、子供が僕より先に亡くなってはいけない。
生活を共にするパートナーなら最低でも40年は逝ってはいけない。
40年一緒に生活すれば、まあまあ気持ちを和らぐし。
本作がズルいのはそのほとんどが順番を守っていない。
だから悲しみは増す。
もっと幸せな葬儀を描くべきだとも思ってみたり。
葬儀場の仕事が必要不可欠で大切なのは十分分かった。
僕が亡くなる時は目黒連や浜辺美波のような方にお世話になりたい。
「ほどなく、お別れです」といってね。


