futi1610

残酷だが、微かな希望を見い出せた映画。
しかし、気持ちは重い。
映画「怒り」よりも個人的には重い。

ロングショットを多用し、正面からずっと捉える映像が
映画の重さを象徴しているようにも思えた。
HPでもポスターでも主役は浅野忠信氏だが、僕はそうだとは思わない。
この映画の主役は母親役の筒井真理子さん。
どっかで見たことあるようで、どんな映画に出ていたかが全然思いつかないのがこの女優さん。
しかし、今年、僕が観た映画の中では主演女優賞を取るべき存在。
それだけ印象が強かった。

愛くるしい姿から自分を叩きつける姿まで、
彼女の存在をなくして映画は語れないだろう。
なんだか映画評論家のようなコメントだな・・・(笑)。

この作品に対して、どこまで説明すればいいのだろう。
書きたいことを書いてしまえば明らかにネタバレになる。
ネタバレになったところで「君の名は。」程の興行成績は収められない。
多分、観客は限定的だ。
だとすれば、ネタバレOKということか。
やっぱ、止めておこう(笑)。

映画全体を漂う絶望感がこの映画の見どころ。
いかにも日本映画らしいし、
カンヌ国際映画祭「ある視点部門」で受賞したのも日本映画の特徴と表れ。
玄人好みの映画。
これから深田監督は是枝氏のように独自路線を歩んでいくのだろう(笑)。
よくわからんけど・・・。

本作のテーマは家族。
一見、平和そうに見えてバラバラな状態がどこにでもある家庭の姿。
夫婦の会話を聞きながらヒヤリとしてしまった(苦笑)。
小さな闇が絶望へと導くのが主張であるならば、
僕も僕の周りも気をつけなければならない。
崩壊なんていとも簡単。
最後に叫んだところで何の意味もない。
それを教えてもらったような気がした。

なぜか園子温監督の「冷たい熱帯魚」を思い出した。
全体の構成も描かれ方もまるで違う。
しかし、繋がっているように思えた。
それは僕だけのこと?

赤いシャツが示す意味。
もっと深く考えたいと思う。