正直なところ、映画としてはさほど面白くはない。
あくまでも個人的な感覚。
本作が面白いという人は多いし、評価も高い。
映画をこき下ろすものではないと理解してもらいたい。

実話の映画化で、上映時間112分の約9割は会議のシーン。
延々とユダヤ人への対応が話し合われる。
映画の解説にもあるようにここで決まったことがユダヤ人の虐殺に繋がる。
僕がここ数年で観たアウシュビッツ関連映画の元凶といっていい。

せっかくなので、紹介しておこう。
「アウシュヴィッツのチャンピオン」
「サウルの息子」
「アウシュヴィッツ・レポート」
アウシュビッツ強制収容所での悲劇はここで繰り広げられた会議の結果。
会議が不調に終わるか、もしくはなければ、
1100万人のユダヤ人の命は守られたのかもしれない。
実際はそんな甘っちょろいものではないと思うが・・・。

冒頭に映画は面白くないと書いたが、映画としては大いに意味がある。
それを当事者であるドイツが自ら製作し公開することに意味がある。
同じ過ちを犯さないためにも作品の存在価値はあるし、観る必要もある。

世界史をもっと勉強すれば理解できると思うが、
ドイツ人はなぜこんなにもユダヤ人を嫌うのか。
会議では全くと言っていいほど人間扱いをしていない。

世の中から失くすべく存在。
それを当然のこととして議論を進める精神は到底理解できないが、
当時は至極まっとうな議論だったのだろう。

本作を楽しむのであれば、ビジネスの視点で映画を観ること。
議論の進行方法、落としどころのポイント、論破の仕方、感情の押し殺し方など、
会議手法は学びになる。
こんな進め方が自分たちにとって都合のいい議論ができるわけだし・・・。

もし、僕がこの場に参加していたら、自分の意見を言えただろうか。
迎合してしまうか。
そんなことも考えてしまった。

先日の「SHE SAID その名を暴け」は数人の女性が世界を変えたが、
本作は10人程度の男どもが世界を最悪の方向へ持っていった。

結局、どんな時代でも人が何かを起こす。
多くの人を傷つける。
その点だけは頭に叩き込んでおきたい。