著者の山口周氏は僕より4歳年下。
しかし、どうしても自分より年上と思ってしまう。
著書はかなり読んでいるが、その度に「は~」「お~、なるほど」と感心させられる。
素直に納得するので先生のように思えてならない。
だから勝手に年上と脳が働いてしまう。
そのあたりもバイアスが掛かっており、著者からすればダメ出しの相手になるさろう。

あと一年で還暦を迎える身として今さら「人生の経営戦略」なんて関係ない。
と思うかもしれない。
そうではない。
今の状況だからこそ、限られた人生をどう描いていくかを考える必要もある。

それだけではない。
これでも今は若者を育てる立場。
どんな選択肢を持ってもらうか、そのための情報提供も必要。
効果的なアウトプットのためには有益なインプットをしなきゃいけない。
そんな点でも本書は最適。

僕は目の前のことをガムシャラにこなし今に至るが、
振り返ると著者の提供するライフステージに合致する面が多い。
都合よく解釈しているせいもあるが、それぞれのステージは間違っていない。
現状では納得度は高く満足もしている。
出来すぎと思うこともしばしば。
一方でまだ未熟と感じる面も多いので、新たな「人生の経営戦略」を考える。

著者は人生を春夏秋冬と4つのステージに分ける。
20代を人生の春、30~40代を人生の夏、50~60代を人生の秋、70代以降を人生の冬に分け、
それそれのステージで果たす役割を解説。
コンサルティングファーム的な目線やビジネススクール的な観点もあるが、
更に上段に立った見方に思える。
歴史や哲学の重要性を説く山口氏ならではの構成。

僕と同世代や経営者が学ぶ必要もあるが、
できれば20代に本書に触れると今後の人生がより豊かになる。
表現がちょっとチープか(笑)。

本書の目的は
「経営戦略論をはじめとした経営学のさまざまな知見を、
個人の「人生というプロジェクト」に活用するためのガイドを提供する」
経営戦略で使用するフレームワークも分かりやすく活用。

山口氏の書籍やvoicyから思うのはその圧倒的な知識量。
いや、それは知識というより知恵といった方がいいか。
いつも驚かされる。
それも年上に思う理由だったりして・・・。

大切なのはアリストテレス的人生論であり、
「社会資本」「金融資本」より「人的資本」であり、
「打率」よりも「打席の数」。
読んでもらうと納得できる。

大学の授業でも紹介し、ネタとしても使いたい。
勉強になった一冊だった。